3項間漸化式②

定数項がある3項間漸化式の解法について見ていきます。

\(=0\)の3項間漸化式の解き方が基礎になります。

 

(例題)次の条件で定義される数列の一般項をそれぞれ求めよ。
(1)\(a_1=0\),  \(a_2=1\),  \(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=12\)
(2)\(a_1=1\),  \(a_2=2\),  \(a_{n+2}-3a_{n+1}+2a_{n}=3\)
(3)\(a_1=1\),  \(a_2=2\),  \(a_{n+2}-2a_{n+1}+a_{n}=2\)
(4)\(a_1=1\),  \(a_2=2\),  \(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=2n+3\)

 

 

(解答)
(1)その1 特性方程式を利用する方法

まずは定数項を無視したときを考えます。
漸化式が \(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=0\) ならば、特性方程式 \(x^2-5x+6=0\) より解が\(x=2,3\) なので、
\(a_{n+2}-2a_{n+1}=3(a_{n+1}-2a_{n})\)
\(a_{n+2}-3a_{n+1}=2(a_{n+1}-3a_{n})\)
と変形できます。実際の漸化式には定数項\(12\)があるのでこの分を加えて
\(\color{blue}{a_{n+2}-2a_{n+1}}=3(\color{blue}{a_{n+1}-2a_{n}})+12\)・・・①
\(\color{blue}{a_{n+2}-3a_{n+1}}=2(\color{blue}{a_{n+1}-3a_{n}})+12\)・・・②
が実際の漸化式の変形になります。どちらも青色の部分を置き換えれば \(a_{n+1}=pa_n+q\) 型の漸化式になっています。①か②の一方だけでも一般項は求まりますが、それぞれ利用したほうが楽です。これが一般的な解法になりますが、特性方程式の解が\(1\)をもたない場合には、もっと楽な変形もあります。(参考を参照して下さい)

特性方程式 \(x^2-5x+6=0\) より
\((x-2)(x-3)=0\)
\(x=2,3\)

よって漸化式は次のように変形できる。
\(\color{blue}{a_{n+2}-2a_{n+1}}=3(\color{blue}{a_{n+1}-2a_{n}})+12\)・・・①
\(\color{blue}{a_{n+2}-3a_{n+1}}=2(\color{blue}{a_{n+1}-3a_{n}})+12\)・・・②

①について
特性方程式 \(α=3α+12\) を解くと
\(α=-6\) より
\(a_{n+2}-2a_{n+1}+6=3(a_{n+1}-2a_{n}+6)\)

\(a_1=0\),  \(a_2=1\) だから
\(a_{n+1}-2a_n+6\)\(=(a_2-2a_1+6)3^{n-1}\)\(=7\cdot3^{n-1}\)・・・③

②について
特性方程式 \(α=2α+12\) を解くと
\(α=-12\) より
\(a_{n+2}-3a_{n+1}+12=2(a_{n+1}-3a_{n}+12)\)

\(a_1=0\),  \(a_2=1\) だから
\(a_{n+1}-3a_n+12\)\(=(a_2-3a_1+12)2^{n-1}\)\(=13\cdot2^{n-1}\)・・・④

③-④より
\(a_n-6=7\cdot3^{n-1}-13\cdot2^{n-1}\)
\(a_n=7\cdot3^{n-1}-13\cdot2^{n-1}+6\)

 

(参考)
特性方程式の解が \(x=2,3\) で\(1\)でないので

\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}-12=0\)・・・(a)

の定数項を3つの項に割り振って変形することが可能になります。つまり

\((a_{n+2}-k)-5(a_{n+1}-k)+6(a_{n}-k)=0\)

と変形できるとすると
\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}-k+5k-6k=0\)・・・(b)

(a),(b)を比べて
\(-2k=-12\) より \(k=6\) だから漸化式は

\((a_{n+2}-6)-5(a_{n+1}-6)+6(a_{n}-6)=0\)
と変形できることになります。これは \(a_n-6=b_n\) とおけば定数項のないただの3項間漸化式です。ただし、解に\(1\)をもつ場合には\(k\)が消えてしまうのでこの方法は使えません(例題(2)の場合)。

 

その2 定数項を消去する方法

\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=12\)・・・(A)
と1つ項を上げた
\(a_{n+3}-5a_{n+2}+6a_{n+1}=12\)・・・(B)
で、(B)ー(A)より定数項\(12\)を消去することができます。
残りの例題(2)(3)(4)も同様にこの方法で解けます。((4)は2段階で差をとることにはなる)

\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=12\)・・・(A)
\(a_{n+3}-5a_{n+2}+6a_{n+1}=12\)・・・(B)

(B)-(A)より
\((a_{n+3}-a_{n+2})-5(a_{n+2}-a_{n+1})+6(a_{n+1}-a_{n})=0\)

\(b_n=a_{n+1}-a_{n}\) とおくと、\(a_1=0\),  \(a_2=1\) より
\(b_1=a_2-a_1=1\)
(A)より \(a_3=5a_2-6a_1+12=17\) だから
\(b_2=a_3-a_2=16\)
\(b_{n+2}-5b_{n+1}+6b_n=0\) (定数項のない3項間漸化式)

特性方程式
\(x^2-5x+6=0\) の解は \(x=2,3\) だから、\(b_n\)の漸化式は次のように変形できる。
\(b_{n+2}-2b_{n+1}=3(b_{n+1}-2b_n)\)
\(b_{n+1}-3b_{n+1}=2(b_{n+1}-3b_n)\)

よって
\(b_{n+1}-2b_n=(b_2-2b_1)3^{n-1}=14\cdot3^{n-1}\)・・・(C)
\(b_{n+1}-3b_n=(b_2-3b_1)2^{n-1}=13\cdot2^{n-1}\)・・・(D)

(C)-(D) より
\(b_n=14\cdot3^{n-1}-13\cdot2^{n-1}\)

\(14\cdot3^{n-1}-13\cdot2^{n-1}=a_{n+1}-a_{n}\) (階差型)
だから \(n≧2\) のとき

\(a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(14\cdot3^{k-1}-13\cdot2^{k-1})\)

\(=0+\displaystyle\frac{14(3^{n-1}-1)}{3-1}-\displaystyle\frac{13(2^{n-1}-1)}{2-1}\)

\(=7(3^{n-1}-1)-13(2^{n-1}-1)\)

\(=7\cdot3^{n-1}-13\cdot2^{n-1}+6\) (\(n=1\)でも成立)

 

 

(2)

\(a_{n+2}-3a_{n+1}+2a_{n}=3\) について \(=0\) としたときの特性方程式は \(x^2-3x+2=0\) より \(x=1,2\) です。簡易的な変形
\((a_{n+2}-k)-3(a_{n+1}-k)+2(a_{n}-k)=0\)
では、\(-k+3k-2k=0\) と\(k\)の項が消えてしまうのでこの方法は使えません。

\(a_1=1\),  \(a_2=2\),  \(a_{n+2}-3a_{n+1}+2a_{n}=3\)

特性方程式 \(x^2-3x+2=0\) を解くと
\((x-1)(x-2)=0\)
\(x=1,2\)

よって漸化式は次のように変形できる。
\(a_{n+2}-a_{n+1}=2(a_{n+1}-a_{n})+3\)・・・①  (\(a_{n+1}=pa_n+q\) 型)
\(a_{n+2}-2a_{n+1}=(a_{n+1}-2a_{n})+3\)・・・② (等差型)

①について
\(α=2α+3\) を解くと \(α=-3\) だから
\(a_{n+2}-a_{n+1}+3=2(a_{n+1}-a_n+3)\)
\(a_{n+1}-a_n+3=(a_2-a_1+3)\cdot2^{n-1}=4\cdot2^{n-1}=2^{n+1}\)・・・③

③は階差型になっているのでこのまま\(a_n\)を求めてもよいですが、もう1つ式があるのでそちらを利用していきます。

②について、数列\(\{a_{n+1}-2a_{n}\}\)は公差\(3\)の等差数列だから
\(a_{n+1}-2a_{n}=(a_2-2a_1)+(n-1)\cdot3=3n-3\)・・・④

③-④より
\(a_n+3=2^{n+1}-(3n-3)\)
したがって
\(a_n=2^{n+1}-3n\)

 

(3)

\(a_{n+2}-2a_{n+1}+a_{n}=2\) の \(=0\) の特性方程式は
\(x^2-2x+1=0\) より \(x=1\) (重解) が解です。簡易的な式変形は使えず、漸化式の変形は1通りになります。

\(a_1=1\),  \(a_2=2\),  \(a_{n+2}-2a_{n+1}+a_{n}=2\)

特性方程式 \(x^2-2x+1=0\) の解は
\((x-1)^2=0\) より \(x=1\)

よって漸化式は次のように変形できる。
\(a_{n+2}-a_{n+1}=(a_{n+1}-a_n)+2\) (等差型)

\(a_{n+1}-a_n=(a_2-a_1)+(n-1)\cdot2=2n-1\) (階差型)

\(n≧2\)のとき
\(a_{n}=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(2k-1)\)

\(=1+2\cdot\displaystyle\frac{1}{2}(n-1)n-(n-1)\)

\(=n^2-2n+2\) (\(n=1\)でも成立)

 

(4)

\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=2n+3\) を原則通りに解くと、特性方程式 \(x^2-5x+6=0\) の解は \(x=2,3\) だから
\(a_{n+2}-2a_{n+1}=3(a_{n+1}-2a_n)+2n+3\)
\(a_{n+2}-3a_{n+1}=2(a_{n+1}-3a_n)+2n+3\)
となり、どちらも \(a_{n+1}=pa_n+f(n)\) 型です。これでも解けますが、\(x=1\)が解でないから簡易的な変形をしたほうがこの問題に関しては楽です。今回は\(2n+3\)と\(n\)の式になっているので、\(n\)を分配するときずれた形にしていきます。

\(a_1=1\),  \(a_2=2\),  \(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=2n+3\)

\(\{a_{n+2}+a(n+2)+b\}-5(a_{n+1}+a(n+1)+b)+6(a_{n}+an+b)=0\)

と変形できるとすると、
\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_n+(2an-3a+2b)=0\)

\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}-2n-3=0\) と比較して
\(2a=-2\),  \(-3a+2b=-3\)
\(a=-1\),  \(b=-3\)

よって漸化式は次のように変形できる。
\(\{a_{n+2}-(n+2)-3\}-5(a_{n+1}-(n+1)-3)+6(a_{n}-n-3)=0\)

\(a_n-n-3=b_n\) とおくと
\(b_{1}=a_1-1-3=-3\)
\(b_2=a_2-2-3=-3\)
\(b_{n+2}-5b_{n+1}+6b_{n}=0\)

特性方程式 \(x^2-5x+6=0\) を解くと
\((x-2)(x-3)=0\) より \(x=2,3\) だから、\(b_n\)の漸化式は次のように変形できる。

\(b_{n+2}-2b_{n+1}=3(b_{n+1}-2b_n)\)
\(b_{n+2}-3b_{n+1}=2(b_{n+1}-3b_n)\)

よって
\(b_{n+1}-2b_n=(b_2-2b_1)\cdot3^{n-1}=3^{n}\)・・・①
\(b_{n+1}-3b_n=(b_2-3b_1)\cdot2^{n-1}=6\cdot2^{n-1}=3\cdot2^{n}\)・・・②

①-②より
\(b_n=3^{n}-3\cdot2^{n}\)

したがって
\(a_n=b_n+n+3\)

\(=3^{n}-3\cdot2^{n}+n+3\)

 

(参考)指数関数が含まれる場合
3項間漸化式に整式が含まれる場合には、特性方程式の解が\(1\)かどうかがポイントになりますが
\(a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_{n}=2^{n}+7\)・・・(i)
のような指数関数が含まれる場合には、\(2\)が解になるかがポイントになります。(i)の特性方程式 \(x^2-5x+6=0\) の解の1つは \(x=2\) なので、簡易的な変形
\(\{a_{n+2}+a\cdot2^{n+2}+b\}-5(a_{n+1}+a\cdot2^{n+1}+b)+6(a_{n}+a\cdot2^{n}+b)=0\)
としても、指数の項が
\(a\cdot2^{n}(2^2-5\cdot2+6)=0\)
となってしまい、うまくいきません。この場合は原則通りの変形(2通り)をしていくことになります。

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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