図形と数列・漸化式②(分割)

平面や空間の分割に関する例題です。

この手の問題は、例えば平面の分割だとある状態から1本直線を加えたときの変化(加えた直線がどう分割されるか)に着目して、漸化式を立てて解いていきます。空間の場合も同様です。

 

 

(例題1)
平面上に\(n\)本の直線があって、どの2本も平行でなく、またどの3本も1点で交わらないとする。これら\(n\)本の直線が平面を\(a_n\)個の領域に分けるとするとき、\(a_n\)を\(n\)の式で表せ。

 

 

1本直線を加えたときのその直線の分割に着目して、漸化式を立てますが少しだけ実験してみます。
数列 図形② 例題1-1

(解答)
\(n\)本の直線により\(a_{n}\)個の領域に分けられているときに、\(n+1\)本目の直線を加えると、加えた直線は既にある\(n\)本の直線と\(n\)個の異なる点で交わり、加えた直線は\(n+1\)個の部分に分割される。そしてこの分割された個数の分だけ領域が増えるので

\(a_{n+1}=a_n+(n+1)\) (階差型)

また \(a_1=2\) だから\(n≧2\)のとき
\(a_{n}=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(k+1)\)

\(=2+\displaystyle\frac{1}{2}(n-1)n+(n-1)\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}n^2+\displaystyle\frac{1}{2}n+1\) (\(n=1\)でも成立)

 

 

 

(例題2)
平面上にどの2つをとっても互いに2点で交わり、またどの3つをとっても同一の点で交わらない\(n\)個の円がある。これらの円が平面を\(a_n\)個の領域に分けるとするとき、\(a_n\)を\(n\)の式で表せ。

 

同様に新たに加えた円が何個に分割されるかに着目します。
数列 図形② 例題2

(解答)
\(n\)個の円で平面が\(a_n\)個の領域に分けられているとき、\(n+1\)個目の円を条件にあうように加えると、既にあった\(n\)個の円とそれぞれ2点ずつ交わりこれらの交点はすべて異なるので、新たに加えた円は\(2n\)個の弧に分割される。そして分割された部分の個数の分だけ領域が増えるので

\(a_{n+1}=a_n+2n\) (階差型)

また、\(a_1=2\) だから \(n≧2\) のとき
\(a_n=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}2k\)

\(=2+\displaystyle\frac{2}{2}(n-1)n\)

\(=n^2-n+2\) (\(n=1\)でも成立)

 

 

 

(例題3)
空間に相違なる平面\(α_0,α_1,\cdots,α_n,\cdots\)があり、次の条件をみたしている。

(i)どの2平面も平行でない。
(ii)2枚の平面の交線は、どの2本も平行でない。
(iii)どの3平面も同一直線を共有しない。
(iv)どの4平面も1点では交わらない。

(1)平面\(α_0\)と平面\(α_k\) (\(k≧1\)) とが交わってできる直線を\(l_k\)で表す。平面\(α_0\)が直線\(l_1,l_2,\cdots,l_n\)によって分割された部分の個数\(f(n)\)を求めよ。
(2)空間が平面\(α_1,α_2,\cdots,α_n\)によって分割された部分の個数\(F(n)\)を求めよ。

 

空間の分割された領域の個数の問題です。(1)が誘導になっています。

(解答)
(1)

異なる2平面が交わるとき(平行でないとき)、その交わりは直線(交線)になります。
\(n\)枚の平面\(α_1~α_n\)に\(α_0\)を加えると、(i)~(iv)の条件からその交わりは\(n\)本の直線になり、どの2本も平行でなく、どの3本も1点で交わらない配置になります。(i)~(iv)の条件がないと、これらの直線の本数が減ったり、平行になったり、3本以上の直線が1点で交わったりします(詳しくは後で説明します)。
よって、(1)は平面の直線による分割で、(例題1)と同じです。

図形 数列② 例題3-1

平面\(α_0\)と平面\(α_1~α_n\)との交わりは異なる\(n\)本の直線であり、これらの直線は「どの2本も平行でなく、どの3本も1点で交わらない。」・・・①

平面\(α_0\)が\(n\)本の直線\(l_1,l_2,\cdots,l_n\)により\(f(n)\)個の領域に分けられているとき、\(n+1\)本目の直線を①を満たすように加えると、\(n+1\)個の領域が増えるので

\(f(n+1)=f(n)+(n+1)\)

を満たす。\(f(1)=2\) だから、\(n≧2\)のとき
\(f(n)=f(1)+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(k+1)\)

\(=2+\displaystyle\frac{1}{2}(n-1)n+(n-1)\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}n^2+\displaystyle\frac{1}{2}n+1\)
(\(n=1\)でも成立)

 

(注)条件(i)~(iv)について
(i)どの2平面も平行でない。
平行だと交わりが無いので、交線が減ります。

(ii)2枚の平面の交線は、どの2本も平行でない。
例えば\(n=3\)のとき、\(α_1,α_2\)の交線に平行に3枚目の平面\(α_3\)を入れると、\(α_3\)上では\(α_1,α_2\)は交わらないので、\(α_3\)上において\(α_1,α_2\)との交線(2直線)は、平行になる。

数列 図形② 例題3-2

また(i)(ii)を合わせて「どの3平面も少なくとも1点で交わる」とする場合もあります。

(iii)どの3平面も同一直線を共有しない。
例えば\(n=3\)のとき、\(α_1,α_2\)の交線すべてを含むように平面\(α_3\)を入れると、\(α_3\)上で\(α_1,α_2\)との交線は1本になる。

図形 数列② 例題3-3

(iv)どの4平面も1点では交わらない。
例えば\(n=4\)のとき、\(α_1,α_2,α_3\)の交わり(1点\(X\))を通るように\(α_4\)を入れると、\(α_4\)上で\(α_1,α_2,α_3\)との交線(3直線)はどれも交点\(X\)を通ることから、3直線が\(α_4\)上で1点\(X\)で交わることになる。

図形 数列② 例題3-4

 

(2)

平面の分割と同様に、\(n+1\)枚目の平面を追加したときの追加した平面の分割される個数に着目します。
数列 図形② 例題3-5

\(n\)個の平面\(α_1~α_n\)によって空間が\(F(n)\)個に分割されているとき、\(n+1\)個目の平面\(α_{n+1}\)を追加すると、既にある\(n\)個の平面によって追加した平面\(α_{n+1}\)は(1)の\(f(n)\)個に分割される。分割された個数の分だけ領域(空間)が増えるので

\(F(n+1)=F(n)+\displaystyle\frac{1}{2}n^2+\displaystyle\frac{1}{2}n+1\) (階差型)

\(F(1)=2\) より \(n≧2\) のとき
\(F(n)=F(1)+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(\displaystyle\frac{1}{2}k^2+\displaystyle\frac{1}{2}k+1)\)

\(=2+\displaystyle\frac{1}{2}\cdot\displaystyle\frac{1}{6}(n-1)n(2n-1)+\displaystyle\frac{1}{2}\cdot\displaystyle\frac{1}{2}(n-1)n+(n-1)\)

\(=\displaystyle\frac{1}{6}n^3+\displaystyle\frac{5}{6}n+1\)
(\(n=1\)でも成立)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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