確率変数の独立

確率変数の独立について見ていきます。
事象の独立の乗法定理をベースにしているので、内容はだいたい同じです。

 

・確率変数の独立(2変数)
2つの確率変数\(X,Y\)の関わりについて、独立・従属というものがあります。例えば

\(X:\)サイコロを\(1\)回投げて出た目の数
\(Y:\)\(1\)から\(3\)までのカードが\(1\)枚ずつ入った袋から、\(1\)枚だけカードを引いて出た数

とすれば、この2変数は互いに関係のない(影響のない)変数であると考えられます。このことを事象の独立の乗法定理をベースにして、次のように確率変数の独立として定義します。

「\(X\)のとる任意の値\(a\)と、\(Y\)のとる任意の値\(b\)について
\(P(X=a,Y=b)=P(X=a)×P(X=b)\)・・・①
が成り立つとき、確率変数\(X\)と\(Y\)は互いに独立であるとする」

\(P(X=a,Y=b)\) は「\(X\)が値\(a\)をとり、かつ\(Y\)が値\(b\)をとる確率」です。上式①は事象の独立でいう
\(P(A \cap B)=P(A)P(B)\)
に対応しています。

また、\(X,Y\)が独立でないときは、確率変数\(X\)と\(Y\)は従属であるといいます。任意の\(X,Y\)の値で上記①の積の式が成りたつことが独立の条件なので、1つでも①式が成り立たないことがある場合には従属ということになります。

確率変数の独立は単に確率を求めるときだけでなく、積の期待値\(E(XY)\)や和の分散\(V(X+Y)\)を求めるときに深く関わってきます。

 

 

・確率変数の独立(3変数以上)
3つの事象の独立 (→参照) をベースにして、3つの確率変数\(X,Y,Z\)の独立を次のように定義します。\(X,Y,Z\)のとる値をそれぞれ\(a,b,c\)とすると、任意の値\(a,b,c\)について

\(P(X=a,Y=b)=P(X=a)×P(Y=b)\)
\(P(Y=b,Z=c)=P(Y=b)×P(Z=c)\)
\(P(Z=c,X=a)=P(Z=c)×P(X=a)\)
\(P(X=a,Y=b,Z=c)=P(X=a)×P(Y=b)×P(Z=c)\)

のいずれもが成り立つとき、確率変数\(X,Y,Z\)は互いに独立であるとする。

 

また、\(n\)個の確率変数\(X,Y,Z,W,\cdots\)のとる値をそれぞれ\(a,b,c,d,\cdots\)とすると、任意の\(a,b,c,d,\cdots\)について、

(2個)
\(P(X=a,Y=b)=P(X=a)P(Y=b)\)、\(P(Y=b,Z=c)=P(Y=b)P(Z=c)\)、・・・・

(3個)
\(P(X=a,Y=b,Z=c)=P(X=a)P(Y=b)P(Z=c)\)、\(P(Y=b,Z=c,W=d)=P(Y=b)P(Z=c)P(W=d)\)、・・・

(4個)
\(P(X=a,Y=b,Z=c,W=d)=P(X=a)P(Y=b)P(Z=c)P(W=d)\)、・・・
・・・・
(n個)
\(P(X=a,Y=b,Z=c,W=d,\cdots)=P(X=a)P(Y=b)P(Z=c)P(W=d)\cdots\)

(\(n\)個の変数から\(2~n\)個選び、その選び方全てで考える)

のいずれもが成り立つとき、確率変数\(X,Y,Z,W,\cdots\)は互いに独立であるとする。

 

 

(例題)
\(A,B,C\)の3人が次のゲームを行う。\(A\)が1つのサイコロを投げて出た目の数が\(1\)または\(2\)なら\(A\)の勝ち、\(3\)または\(4\)なら\(B\)の勝ち、\(5\)または\(6\)なら\(C\)の勝ちとし、勝者はコインを\(1\)枚獲得する。このゲームを2回行い、\(A\)が獲得するコインの総数を\(X\)、コインを獲得する総人数を\(Y\)とする。確率 \(P(X=0,Y=1)\) を求めて、確率変数\(X,Y\)は独立でないことを示せ。

 

\(P(X=0,Y=1)\) については、\(A\)はコインを獲得せず、コインの獲得人数が1人になるため、\(B\)か\(C\)がコインを全取りです。
また、示すことは\(X,Y\)が独立でないということなので目標は
\(P(X=0,Y=1)≠P(X=0)P(Y=1)\)
です。右辺もそれぞれ求めていきます。

(解答)
\(P(X=0,Y=1)\) は、\(B\)または\(C\)の一方が\(2\)枚コインを獲得する確率になるから
\(P(X=0,Y=1)=\displaystyle\frac{2^2+2^2}{36}=\)\(\displaystyle\frac{2}{9}\)

また \(P(X=0)\) は、\(A\)がコインを獲得しない確率だから、\(B,C\)のみがコインを獲得することになるので
\(P(X=0)=\displaystyle\frac{4×4}{36}=\)\(\displaystyle\frac{4}{9}\)

\(P(Y=1)\) は、コインを獲得する人数が\(1\)人である確率なので、\(A,B,C\)のいずれか一人のみがコインを獲得することになり
\(P(Y=1)=\displaystyle\frac{2^2+2^2+2^2}{36}=\)\(\displaystyle\frac{1}{3}\)

よって
\(\displaystyle\frac{2}{9}≠\displaystyle\frac{4}{9}\cdot\displaystyle\frac{1}{3}\)
つまり
\(P(X=0,Y=1)≠P(X=0)P(Y=1)\)
となるので、\(X,Y\)は独立ではない。

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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