線型計画法(文章問題)

領域と最大最小値に関する文章問題について見ていきます。
文章で書かれたものを数式に変換することがポイントとなります。

 

(例題)
ある動物は炭水化物とタンパク質については、一定期間にそれぞれ\(700g\)以上,\(400g\)以上摂取しなければならない、と仮定しよう。
2種類の飼料\(A\)と\(B\)があり、それぞれ\(1\)単位に含まれる栄養素の含有量,及び単位あたりの価格が次の表によって与えられている。

線形計画 文章 表

(1)各栄養素の最小必要量以上を確保した上で、その総費用を最小にするには、\(A,B\)を何単位(整数単位とする)与えるのがよいか。
(2)\(A\)の単位価格(整数円とは限らない)が上昇したので、総費用を最小にするために\(B\)のみを用いることになった。\(A\)の単位価格は何円を超えたか。

 

 

(解答)
(1)

与える\(A,B\)の単位数を\(x,y\)\((≧0)\)とすると、炭水化物とタンパク質がそれぞれ\(700g\),\(400g\)以上必要なことから
\(x+2y≧700\), \(x+y≧400\) となります。かかる総費用は、\(11x+12y\) なので、不等式を満たす\(x,y\)で \(11x+12y\) が最小値をとるときの\(x,y\)を求めます。
領域を図示して、\(11x+12y=k\) との共有点をもつときを考えればよいですね。

与える\(A,B\)の単位数を\(x,y\)とすると、条件より

\(x+2y≧700\), \(x+y≧400\), \(x≧0\), \(y≧0\)

これらの不等式を満たす\(x,y\)について、総費用 \(11x+12y\)が最小となるときを考える。
\(11x+12y=k\)・・・① とおくと、①は\(y=-\displaystyle\frac{11}{12}x+\displaystyle\frac{k}{12}\)。

不等式の表す領域\(D\)と①が共有点をもつうち\(\displaystyle\frac{k}{12}\)(直線①の\(y\)切片)が最小となるときは図の\(T\)を通るときで、このとき\(k\)も最小。

線形計画 文章 例題(1)

\(x+2y=700\), \(x+y=400\) の交点\(T\)の座標は、\(T(100,300)\)

したがって費用が最小となるのは \(x=100\),\(y=300\) のとき(ともに整数値となる)。

答え \(A\)を\(100\)単位, \(B\)を\(300\)単位

 

①の傾き\(-\displaystyle\frac{11}{12}\) は、
\(x+2y=700\), \(x+y=400\) の傾きの間にあるので、最小値をとるとき図の\(T\)を①が通ることになります。傾きの大小関係が変わってくると最小値をとるときの通る点が変わってきます(問の(2)の考え方につながる)。

 

(2)

解答に入る前にまずざっくりと問題の趣旨をとらえます。
(1)では \(A\)が11円、\(B\)が12円のとき \(A\)を\(100\)単位,\(B\)を\(300\)単位与えるときが費用が最小となりました。(\(A,B\)両方を使う)
ここで\(A\)の値段が例えばものすごく高くなるときを考えると、当たり前ですが安い方の\(B\)のみを使った方が費用としては抑えることができます。
\(B\)のみを使った方が安く済むときの境目となる\(A\)の値段が問題で聞いていることです。
\(A\)の単位あたりの価格を\(a\)円とすれば、かかる費用は
\(ax+12y=k\)・・・② (\(y=-\displaystyle\frac{a}{12}+\displaystyle\frac{k}{12}\))です。\(x,y\)の条件は(1)のままなので、領域\(D\)と②が共有点をもつときを考えます。\(B\)のみを使用する、つまり\(A\)を全く使わないとき最小費用となるので、②が\(y\)軸上の点を通るとき最小となるときを考えればよく、領域\(D\)の\(y\)軸上の点で\(k\)が最小となるのは\(S(0,400)\)を②が通るときです。
よって、②が\(S\)を通るとき最小となるような\(a\)の条件を求めることになります。(1)の価格設定\(a=11\)では\(T(100,300)\)を通るときが最小となるときで、\(a\)を大きくしていくと直線②の傾きがどんどん小さくなり(傾きが急になり)、しばらくは\(T\)を通るときが最小となるときですが、\(-\displaystyle\frac{a}{12}=-1\) のときには最小となるとき②はぴったり\(y=-x+400\) と重なるので、線分\(ST\)上のすべての座標について、費用が最小となります。これだとまだ\(B\)のみを使ったほうが安いとはいえないので、さらに傾きが小さいとき、つまり\(-\displaystyle\frac{a}{12}<-1\) のとき、\(S\)を通るときに最小となるので、\(a>12\)。よって\(12\)円を超えると\(B\)のみを使用したほうが安くなります。
線形計画 文章 例題(2)-1
線形計画 文章 例題(2)-2

\(A\)の単位あたりの価格を\(a\)円とすれば、かかる費用\(k\)は
\(ax+12y=k\)・・・② (\(y=-\displaystyle\frac{a}{12}+\displaystyle\frac{k}{12}\))

直線②の傾きが直線\(ST\)の傾き\(-1\)より小さいとき、\(k\)が最小となるのは②が\(S(0,400)\) を通るときである。\(x=0\)なので\(A\)を使用しないことになる。

\(-\displaystyle\frac{a}{12}<-1\) を解くと
\(a>12\)

したがって12円を超えると\(B\)のみを使用した(\(A\)を使用しない)ほうが費用が最小となる。

\(12\)円

 

 

 

以上になります。御疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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