定積分を含む関数について学んでいきます。
(1)積分に関係のない変数は前に出す。
(2)定積分が定数ならば文字定数でおく。
(3)定積分が変数(上端,下端が変数)ならば微分する。
(4)\(x\)に都合のいい数を代入する。
このうち、問題を捉えるときに特に重要なのが、定積分が(2)定数になるのか、(3)変数(関数)になるのかです。このうち今回は(2)定数になる場合について見ていきます。
(例題1)
関数 \(f(x)\) が
\(f(x)=2x^2+x\displaystyle\int_0^3f(t)dt-5\)
を満たすとき、\(f(x)\)を求めよ。
まず問題を把握するために、\(\displaystyle\int_0^3f(t)dt\) が一体どんなものになるのかを考えます。\(f(t)\)の原始関数を \(F(t)\) とすれば、
\(\displaystyle\int_0^3f(t)dt=F(3)-F(0)\)
となりますが、\(F(3),F(0)\)は関数に定数を代入したものなので定数です。よって、この定積分はただの定数になるので、\(\displaystyle\int_0^3f(t)dt=k\) とおくことができます。
(解答)
\(\displaystyle\int_0^3f(t)dt=k\)・・・① (\(k\)は定数) とおくことができるので
\(f(x)=2x^2+kx-5\)・・・②
定積分を文字でおくことで\(f(x)\)が表せるので、今度は文字でおいた定積分が計算できるという面白い手法になっています。
②で\(x=t\)としたものを①に代入して
\(\displaystyle\int_0^3(2t^2+kt-5)dt=k\)
\(\left[\displaystyle\frac{2}{3}t^3+\displaystyle\frac{k}{2}t^2-5t\right]_0^3=k\)
\(18+\displaystyle\frac{9k}{2}-15=k\)
\(k\)について解くと
\(k=-\displaystyle\frac{6}{7}\)
したがって②より
\(f(x)=2x^2-\displaystyle\frac{6}{7}x-5\)
(例題2)
次の関係式をみたす関数\(f(x)\)を求めよ。
\(f(x)=x^2+\displaystyle\int_0^1(x^2t+xt^2)f(t)dt\)
(右辺)
\(=x^2+\displaystyle\int_0^1(x^2t+xt^2)f(t)dt\)
\(=x^2+\displaystyle\int_0^1\color{blue}{x^2}tf(t)dt+\displaystyle\int_0^1\color{blue}{x}t^2f(t)dt\)
\(=x^2+x^2\displaystyle\int_0^1tf(t)dt+x\displaystyle\int_0^1t^2f(t)dt\)
\(\displaystyle\int_0^1tf(t)dt,\displaystyle\int_0^1t^2f(t)dt\) が定数となるので(\(tf(t)=f_1(t)\) , \(t^2f(t)=f_2(t)\) と全体としてみると分かりやすい)、それぞれを\(a,b\) と文字でおきます(同じとは限らないので別々の文字にする)。
\(\displaystyle\int_0^1tf(t)dt=a\)・・・①
\(\displaystyle\int_0^1t^2f(t)dt=b\)・・・②
(\(a,b\)は定数)とおけるので
\(f(x)=x^2+ax^2+bx=(1+a)x^2+bx\)・・・③
③を①に代入して
\(\displaystyle\int_0^1t\{(1+a)t^2+bt\}dt=a\)
\(\displaystyle\int_0^1\{(1+a)t^3+bt^2\}dt=a\)
\(\left[\displaystyle\frac{1+a}{4}t^4+\displaystyle\frac{b}{3}t^3\right]_0^1=a\)
\(\displaystyle\frac{1+a}{4}+\displaystyle\frac{b}{3}=a\)
よって
\(9a-4b=3\)・・・④
③を②に代入して
\(\displaystyle\int_0^1t^2\{(1+a)t^2+bt\}dt=b\)
\(\displaystyle\int_0^1\{(1+a)t^4+bt^3\}dt=b\)
\(\left[\displaystyle\frac{1+a}{5}t^5+\displaystyle\frac{b}{4}t^4\right]_0^1=b\)
\(\displaystyle\frac{1+a}{5}+\displaystyle\frac{b}{4}=b\)
よって
\(4a-15b=-4\)・・・⑤
④⑤より
\(a=\displaystyle\frac{61}{119}\), \(b=\displaystyle\frac{48}{119}\)
したがって③より
\(f(x)=(1+\displaystyle\frac{61}{119})x^2+\displaystyle\frac{48}{119}x\)
\(f(x)=\displaystyle\frac{180}{119}x^2+\displaystyle\frac{48}{119}x\)
(例題3)
関数 \(f(x)\) はすべての\(x\)に対し
\(2f(x)=-6x^2+2\left(\displaystyle\int_0^1f(t)dt\right)^2x-k^2+3\)
を満たすとする。
(1)\(k\)を用いて、\(\displaystyle\int_0^1f(t)dt\) の値を表せ。
(2)\(f(1)=0\) となるような\(k\)の値をすべて求めよ。
(解答)
(1)
\(\displaystyle\int_0^1f(t)dt=a\)・・・① (\(a\)は定数) とおける。
与式から
\(2f(x)=-6x^2+2a^2x-k^2+3\)・・・②
①×2 より
\(\displaystyle\int_0^12f(t)dt=2a\)
これに②を代入して
\(\displaystyle\int_0^1(-6t^2+2a^2t-k^2+3)dt=2a\)
\(\left[-2t^3+a^2t^2+(-k^2+3)t\right]_0^1=2a\)
\(-2+a^2-k^2+3=2a\)
\(a^2-2a+(-k^2+1)=0\)
解の公式から
\(a=1±\sqrt{k^2}=1±|k|=1±k\)
\(k<0\)のとき \(1+|k|, 1-|k|=1-k, 1+k\)
で、結局正負に関係せず、\(1±|k|=1±k\) となります。
したがって
\(\displaystyle\int_0^1f(t)dt=1±k\)
(2)
(1)より
(ア)\(\displaystyle\int_0^1f(t)dt=1+k\)のとき
\(2f(x)=-6x^2+2(1+k)^2x-k^2+3\)
\(x=1\)を代入して \(f(1)=0\) より
\(0=-6+2(1+k)^2-k^2+3\)
\(k^2+4k-1=0\)
\(k=-2±\sqrt{5}\)
(イ)\(\displaystyle\int_0^1f(t)dt=1-k\)のとき
\(2f(x)=-6x^2+2(1-k)^2x-k^2+3\)
\(x=1\)を代入して \(f(1)=0\) より
\(0=-6+2(1-k)^2-k^2+3\)
\(k^2-4k-1=0\)
\(k=2±\sqrt{5}\)
答 \(k=-2±\sqrt{5},2±\sqrt{5}\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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