定積分を含む条件式

条件や条件式に定積分が含まれる問題について見ていきます。

 

(例題1)
\(p(x)\) は1次関数で条件 \(\displaystyle\int_0^1p(x)dx=0\), \(\displaystyle\int_0^1\{p(x)\}^2dx=1\), \(p(0)>0\) を満たす。

(1)\(p(x)\)を求めよ。
(2)\(a,b\)を実数の定数とする。関数 \(f(x)=ap(x)+b\) が \(\displaystyle\int_0^1\{f(x)\}^2dx=1\) を満たすとき、\(f(1)\)のとりうる値の範囲を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

\(p(x)\)は1次関数なので、\(p(x)=mx+n\) (\(m≠0\))とおきます。

\(p(x)=mx+n\) (\(m≠0\))とおく。

\(\displaystyle\int_0^1p(x)dx=0\) より
\(\displaystyle\int_0^1(mx+n)dx=0\)
\(\left[\displaystyle\frac{m}{2}x^2+nx\right]_0^1=0\)

よって
\(\displaystyle\frac{m}{2}+n=0\)
・・・①

\(\displaystyle\int_0^1\{p(x)\}^2dx=1\) より
\(\displaystyle\int_0^1(mx+n)^2dx=1\)
\(\displaystyle\int_0^1(m^2x^2+2mnx+n^2)dx=1\)
\(\left[\displaystyle\frac{m^2}{3}x^3+mnx^2+n^2x\right]_0^1=1\)

よって
\(\displaystyle\frac{m^2}{3}+mn+n^2=1\)・・・②

また \(p(0)>0\) より \(n>0\)・・・③

①より \(m=-2n\)・・・④
②に代入して
\(\displaystyle\frac{4}{3}n^2-2n^2+n^2=1\)
\(n^2=3\)
③より
\(n=\sqrt{3}\)

④より
\(m=-2\sqrt{3}\)

したがって
\(p(x)=-2\sqrt{3}x+\sqrt{3}\)

 

(2)

\(\displaystyle\int_0^1\{f(x)\}^2dx=1\) を使う際に、(1)で求めた\(p(x)\)を具体的に代入するより、\(p(x)\)をそのままにしたほうが楽です。

\(\displaystyle\int_0^1\{f(x)\}^2dx=1\) より

\(\displaystyle\int_0^1\{ap(x)+b\}^2dx=1\)
\(a^2\displaystyle\int_0^1\{p(x)\}^2dx+2ab\displaystyle\int_0^1p(x)dx+b^2\displaystyle\int_0^1dx=1\)

問題文の条件から
\(a^2\cdot1+2ab\cdot0+b^2[x]_0^1=1\)
\(a^2+b^2=1\)・・・⑤

また
\(f(1)\)\(=ap(1)+b\)\(=-\sqrt{3}a+b\)

 

条件⑤における、\(-\sqrt{3}a+b\) の値の範囲を求めることになります(条件付き最大最小)。円の媒介変数表示、図示して共有点をもつ条件を調べるなど色々方法はあると思いますが、解答では \(=k\) とおいて2次方程式の実数解条件で求めたいと思います。

\(-\sqrt{3}a+b=k\) とおくと

\(b=\sqrt{3}a+k\) を⑤に代入して
\(a^2+(\sqrt{3}a+k)^2=1\)
整理して
\(4a^2+2\sqrt{3}ka+k^2-1=0\)

この\(a\)の2次方程式が実数解をもてばよいので
\(\displaystyle\frac{D}{4}≧0\) より
\((\sqrt{3}k)^2-4(k^2-1)≧0\)
\(k^2-4≦0\)
\(-2≦k≦2\)

したがって
\(-2≦f(1)≦2\)

 

 

 

(例題2)
2次関数 \(f(x)=ax^2+bx+c\) が次の関係式
\(\displaystyle\int_0^1f(x)dx=1\), \(\displaystyle\int_0^1xf(x)dx=\displaystyle\frac{1}{2}\)
を満たすとする。このとき、\(\displaystyle\int_0^1\{f(x)\}^2dx>1\) となることを証明せよ。

 

 

 

2つの条件式から、\(a,b,c\)の等式が2つできるので2文字消去が可能です。したがって実質文字としては1文字になります。ただし2次関数なので \(a≠0\) には注意です。
また、\(\displaystyle\int_0^1\{f(x)\}^2dx\) の積分はダイレクトに計算せず(計算しても解けます)、(例題1)と同様に、\(\displaystyle\int_0^1f(x)dx=1\), \(\displaystyle\int_0^1xf(x)dx=\displaystyle\frac{1}{2}\) をうまく活かすために、\(\displaystyle\int_0^1(ax^2+bx+c)f(x)dx\) として計算します。(\(x^2f(x)\) の積分は別途計算します)

(解答)
\(\displaystyle\int_0^1f(x)dx=1\) より

\(\displaystyle\int_0^1(ax^2+bx+c)dx=1\)
\(\left[\displaystyle\frac{a}{3}x^3+\displaystyle\frac{b}{2}x^2+cx\right]_0^1=1\)
\(\displaystyle\frac{a}{3}+\displaystyle\frac{b}{2}+c=1\)
両辺6倍して
\(2a+3b+6c=6\)・・・①

\(\displaystyle\int_0^1xf(x)dx=\displaystyle\frac{1}{2}\) より

\(\displaystyle\int_0^1(ax^3+bx^2+cx)dx=\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(\left[\displaystyle\frac{a}{4}x^4+\displaystyle\frac{b}{3}x^3+\displaystyle\frac{c}{2}x^2\right]_0^1=\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(\displaystyle\frac{a}{4}+\displaystyle\frac{b}{3}+\displaystyle\frac{c}{2}=\displaystyle\frac{1}{2}\)
両辺12倍して
\(3a+4b+6c=6\)・・・②

②-①より
\(a+b=0\)
\(b=-a\)・・・③

③を①に代入して
\(-a+6c=6\)
\(a=6c-6\)・・・④

よって③④より
\(b=-6c+6\)・・・⑤

\(a,b\)を\(c\)で表すことができたので(\(a,b\)消去で\(c\)1文字にできる)、あとは\(\displaystyle\int_0^1\{f(x)\}^2dx\) の計算だけです。なお、\(a,b\)消去にしたのは分数を避けるためです。

ここで、
\(\displaystyle\int_0^1x^2f(x)dx\)
\(=\displaystyle\int_0^1(ax^4+bx^3+cx^2)dx\)
\(=\left[\displaystyle\frac{a}{5}x^5+\displaystyle\frac{b}{4}x^4+\displaystyle\frac{c}{3}x^3\right]_0^1\)
\(=\displaystyle\frac{a}{5}+\displaystyle\frac{b}{4}+\displaystyle\frac{c}{3}\)

\(=\displaystyle\frac{6c-6}{5}+\displaystyle\frac{-6c+6}{4}+\displaystyle\frac{c}{3}\)

\(=\displaystyle\frac{c}{30}+\displaystyle\frac{3}{10}\)

となるから

\(I=\displaystyle\int_0^1\{f(x)\}^2dx\)
\(=\displaystyle\int_0^1(ax^2+bx+c)f(x)dx\)
\(=a\displaystyle\int_0^1x^2f(x)dx+b\displaystyle\int_0^1xf(x)dx+c\displaystyle\int_0^1f(x)dx\)
\(=a(\displaystyle\frac{c}{30}+\displaystyle\frac{3}{10})+b\cdot\displaystyle\frac{1}{2}+c\cdot1\)

\(=(6c-6)(\displaystyle\frac{c}{30}+\displaystyle\frac{3}{10})+(-6c+6)\cdot\displaystyle\frac{1}{2}+c\)

\(=\displaystyle\frac{1}{5}c^2-\displaystyle\frac{2}{5}c+\displaystyle\frac{6}{5}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{5}(c-1)^2+1\)

\(c=1\) のときは \(I=1\) となり、不等式 \(I>1\) が成り立たないので\(c≠1\)を示します。

また、\(f(x)\)は2次関数だから \(a≠0\)。④より
\(6c-6≠0\)
よって \(c≠1\)

したがって
\(I\)\(=\displaystyle\frac{1}{5}(c-1)^2+1\)\(>1\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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