定積分と極値

定積分で表された関数の極値に関する問題について見ていきます。

 

(例題1)
関数 \(f(x)=\displaystyle\int_{-2}^x(t^2+t-2)dt\) の極値と、それを与える\(x\)の値を求めよ。

 

 

 

最終的に極値を求めるので積分計算が必要にはなってきますが、極値を与える\(x\)だけを求める場合には導関数、つまり定積分を微分することを考えればよいので積分計算が不要です。極値を求める際に結局積分計算が必要になるのであまり意味がないように思えますが、検算などにも使えるので知っておいて損にはならない知識です。(この問題だと定積分の微分を考えると計算がかなり楽になります)

(解答)
\(f(x)=\displaystyle\int_{-2}^x(t^2+t-2)dt\) より

\(f'(x)=x^2+x-2=(x+2)(x-1)\)

よって
極大値をとるとき \(x=-2\)
極小値をとるとき \(x=1\)

\(f(-2)=\displaystyle\int_{-2}^{-2}(t^2+t-2)dt\)\(=0\)

\(f(1)=\displaystyle\int_{-2}^1(t^2+t-2)dt\)
\(=\displaystyle\int_{-2}^1(t+2)(t-1)dt\) (1/6公式が使える)
\(=-\displaystyle\frac{1}{6}(1+2)^3\)
\(=-\displaystyle\frac{9}{2}\)

以上から
極大値 \(0\) (\(x=-2\))
極小値 \(-\displaystyle\frac{9}{2}\) (\(x=1\))

 

 

 

(例題2)
\(F(x)=\displaystyle\int_0^x(at^2+bt+c)dt\) で表される関数 \(F(x)\) は \(x=1\) で極小値 \(-4\) をとり、\(x=3\) でも極値をとるとする。このとき \(a,b,c\) の値を求めよ。

 

 

\(x=1,3\) で極値をとるので導関数について式が2つ、極小値\(-4\) をとるので積分について式が1つ、合計\(a,b,c\)の等式が3つ作れるので値が求まります。
なお、\(x=1,3\)で極値をとることから導関数の符号が変わっていることの確認、特に\(x=1\)で極小値となっているから「負から正」に変わっていることのチェックをしておきます。

(解答)
\(F(x)=\displaystyle\int_0^x(at^2+bt+c)dt\) において

\(F'(x)=ax^2+bx+c\)

\(x=1,3\) で極値をとるから、これらが\(F'(x)=0\) の解になり
\(a+b+c=0\)・・・①
\(9a+3b+c=0\)・・・②

また \(x=1\) で極小値 \(-4\) をとるから
\(F(1)=-4\)
\(F(1)=\displaystyle\int_0^1(at^2+bt+c)dt\)
\(=\left[\displaystyle\frac{a}{3}t^3+\displaystyle\frac{b}{2}t^2+ct\right]_0^1\)
\(=\displaystyle\frac{a}{3}+\displaystyle\frac{b}{2}+c\)

よって
\(\displaystyle\frac{a}{3}+\displaystyle\frac{b}{2}+c=-4\)・・・③

①②③より\(a,b,c\)を求めると(途中式省略)
\(a=-3\), \(b=12\), \(c=-9\)

逆にこのとき
\(F'(x)=-3x^2+12x-9\)
\(=-3(x-1)(x-3)\)
であり、\(x=1,3\) で極値をとり、特に \(x=1\)で極小値をとるから題意を満たす。

 

 

 

(例題3)
\(-3≦x≦3\) のとき、関数 \(f(x)=\displaystyle\int_{-3}^{x}(t^2-2t-3)dt\) のとりうる値の範囲を求めよ。

 

 

 

同様に微分(定積分の微分)をしていきます。
最大値と最小値が知りたいので、極値と範囲の端点\(x=-3,3\)のときの値に注目です。今回は積分計算が複数必要なので、\(f(x)\)を積分して求めておきます。

(解答)
\(f(x)=\displaystyle\int_{-3}^{x}(t^2-2t-3)dt\)  (\(-3≦x≦3\)) において

\(f'(x)=x^2-2x-3\)\(=(x+1)(x-3)\)

\(f'(x)=0\)となるのは \(x=-1,3\)

また
\(f(x)=\displaystyle\int_{-3}^{x}(t^2-2t-3)dt\)
\(=\left[\displaystyle\frac{1}{3}t^3-t^2-3t\right]_{-3}^x\)
\(=\displaystyle\frac{1}{3}x^3-x^2-3x+9\)

よって増減表は次の通り。

極値と積分

したがって
\(0≦f(x)≦\displaystyle\frac{32}{3}\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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