次数と定積分

次数に着目する定積分に関する問題について見ていきます。

 

(例題1)
\(f(x)\) は整式で \(x^4-\displaystyle\int_{-x}^{x^2}f(t)dt\) が1次式となるとき \(f(x)\) を求めよ。

 

 

\(f(x)\)が整式であることに着目します。
ざっくりと問題を捉えると、積分の上端が\(x^2\)なので、\(f(t)\)(\(f(x)\))の次数が高すぎると\(x^4\)の次数を超えてしまうために、与式が1次式になりません。したがって\(f(x)\)の次数はある程度の大きさに収まりますが、これを数式で表現するには\(f(x)\)の次数を\(n\)、係数を\(a\) (0でない数) つまり最高次の項を\(ax^n\)とします。

(解答)
\(f(x)=ax^n+(n-1次以下)\) (\(a≠0\), \(n\)は\(0\)以上の整数) とおく。

\(x^4-\displaystyle\int_{-x}^{x^2}f(t)dt\)
\(=x^4-\displaystyle\int_{-x}^{x^2}\{at^n+(n-1次以下)\}dt\)
\(=x^4-\left[\displaystyle\frac{a}{n+1}t^{n+1}+(n次式以下)\right]\)\(_{-x}^{x^2}\)
\(=x^4-\{\displaystyle\frac{a}{n+1}x^{2n+2}+(2n+1次以下)\}\)

これが1次式になるので、\(x^4\)が消えることが条件(必要条件)となります。

したがって与式が1次式になるためには、\(2n+2=4\)
つまり \(n=1\)

\(f(x)\)が1次式となることが分かったので、\(f(x)=ax+b\) とおいて係数を決定します。

\(f(x)=ax+b\) として、再び与式を計算すると
\(x^4-\displaystyle\int_{-x}^{x^2}(at+b)dt\)
\(=x^4-\left[\displaystyle\frac{a}{2}t^2+bt\right]_{-x}^{x^2}\)
\(=x^4-\{\displaystyle\frac{a}{2}x^4+bx^2-(\displaystyle\frac{a}{2}x^2-bx)\}\)
\(=(1-\displaystyle\frac{a}{2})x^4+(-b+\displaystyle\frac{a}{2})x^2-bx\)

これが1次式になるには
\(1-\displaystyle\frac{a}{2}=0\)・・・①
\(-b+\displaystyle\frac{a}{2}=0\)・・・②
\(-b≠0\)・・・③

①②より
\(a=2\), \(b=1\) (③を満たす)

したがって
\(f(x)=2x+1\)

 

 

 

(例題2)
整式 \(f(x)\) が
\(x^4+2x^3-2x^2+xf(x)-\displaystyle\int_1^xf(t)dt=0\)
を満たすとき、\(f(x)\)を求めよ。

 

 

 

微分しても解けますが「積の微分」が必要になります(別解参照)。(\(\{xf(x)\}’=\{x\}’f'(x)=f'(x)\) とはなりません)
よって別の方法をとることになりますが、\(f(x)\)が整式と分かっているので(例題1)と同様に\(f(x)\)の次数を決定していきます。

(解答)
\(f(x)=ax^n+(n-1次以下)\) (\(a≠0\), \(n\)は\(0\)以上の整数) とおく。

\(xf(x)-\displaystyle\int_1^xf(t)dt\)
\(=ax^{n+1}+(n次以下)\)\(-\left[\displaystyle\frac{a}{n+1}t^{n+1}+(n次以下)\right]\) \(_1^x\)
\(=(\displaystyle\frac{na}{n+1})x^{n+1}+(n次以下)\)

となるから、与式は
\(x^4+2x^3-2x^2+\displaystyle\frac{na}{n+1}x^{n+1}+(n次以下)=0\)・・・①

右辺が\(0\)なので、左辺を計算すると全部項が消えて\(0\)になります。
左辺の最高次の係数に着目すると
\(n+1≧5\) つまり \(n≧4\) のときは \(\displaystyle\frac{na}{n+1}≠0\) より、\(x^{n+1}\)の項が残ってしまうのでダメで、
\(n+1≦3\) つまり \(n≦2\) のときは \(x^4\) の項が残ってしまうのでこれもダメ。
よって \(n+1=4\) つまり \(n=3\) と決定できます。

ここで、\(n+1≧5\) と仮定すると左辺の最高次の項は \(\displaystyle\frac{na}{n+1}x^{n+1}\) となるが、この係数が\(0\)にならないので恒等式①を満たさず不適。

また、\(n+1≦3\) と仮定すると左辺の最高次の項が\(x^4\)が消えないのでこれも①を満たさず不適。

よって \(n+1=4\)  つまり \(n=3\)

\(f(x)=ax^3+bx^2+cx+d\) とおいて与式の等式から係数を決定します。

\(f(x)=ax^3+bx^2+cx+d\) とおくと

\(xf(x)-\displaystyle\int_1^xf(t)dt\)
\(=ax^4+bx^3+cx^2+dx-\left[\displaystyle\frac{a}{4}t^4+\displaystyle\frac{b}{3}t^3+\displaystyle\frac{c}{2}t^2+dt\right]_1^x\)
\(=\displaystyle\frac{3a}{4}x^4+\displaystyle\frac{2b}{3}x^3+\displaystyle\frac{c}{2}x^2-(\displaystyle\frac{a}{4}+\displaystyle\frac{b}{3}+\displaystyle\frac{c}{2}+d)\)

与式  \(x^4+2x^3-2x^2+xf(x)-\displaystyle\int_1^xf(t)dt=0\) より

\((1+\displaystyle\frac{3a}{4})x^4+(2+\displaystyle\frac{2b}{3})x^3+(-2+\displaystyle\frac{c}{2})x^2+(\displaystyle\frac{a}{4}+\displaystyle\frac{b}{3}+\displaystyle\frac{c}{2}+d)=0\)

係数が\(0\)になるから
\(1+\displaystyle\frac{3a}{4}=0\)・・・②
\(2+\displaystyle\frac{2b}{3}=0\)・・・③
\(-2+\displaystyle\frac{c}{2}=0\)・・・④
\(\displaystyle\frac{a}{4}+\displaystyle\frac{b}{3}+\displaystyle\frac{c}{2}+d=0\)・・・⑤

②③④より
\(a=-\displaystyle\frac{4}{3}\), \(b=-3\), \(c=4\)
⑤より
\(d=-\displaystyle\frac{2}{3}\)

以上から
\(f(x)=-\displaystyle\frac{4}{3}x^3-3x^2+4x-\displaystyle\frac{2}{3}\)

 

 

(別解)積の微分を利用する方法

\({xf(x)}’=\{x\}’f(x)+xf'(x)=f(x)+xf'(x)\) を利用するとかなり楽に解けます。

\(x^4+2x^3-2x^2+xf(x)-\displaystyle\int_1^xf(t)dt=0\)・・・(1)
の両辺を\(x\)で微分すると

\(4x^3+6x^2-4x+\{f(x)+xf'(x)\}-f(x)=0\)
\(xf'(x)=-4x^3-6x^2+4x\) より
\(f'(x)=-4x^2-6x+4\)

よって積分すると
\(f(x)=-\displaystyle\frac{4}{3}x^3-3x^2+4x+C\)・・・(2)  (\(C\)は定数)

(1)に \(x=1\) を代入すると
\(1+2-2+1\cdot f(1)-0=0\)
\(f(1)=-1\)

(2)に \(x=1\) を代入して
\(-1=-\displaystyle\frac{4}{3}-3+4+C\)
\(C=-\displaystyle\frac{2}{3}\)

したがって
\(f(x)=-\displaystyle\frac{4}{3}x^3-3x^2+4x-\displaystyle\frac{2}{3}\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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