項によって変わる漸化式

2通りの漸化式で定まる数列の例題にについて見ていきます。

 

(例題)
数列\(\{a_n\}\)は初項が\(1\)で、どの2つの項の値も互いに異なる。またすべての自然数\(n\)で
\((a_{n+1}-a_{n}-1)^2=4n^2\)
が成り立っている。

(1)ある自然数\(k\)に対して \(a_{k}<a_{k+1}\) が成り立つならば \(a_{k+1}<a_{k+2}\) が成り立つことを示せ。
(2)\(a_1,a_2,\cdots,a_n,\cdots\) の中で最小の値が\(-15\)であるとき、数列\(\{a_n\}\)の一般項を求めよ。

 

\(n\)は自然数なので
\(a_{n+1}-a_{n}-1=±2n\) つまり
\(a_{n+1}=a_{n}+1±2n\)
です。(1)ではこの式を利用しますが、少しだけ実験してみると、\(a_1=1\) であることは分かっているので仮に\(a_2\)を求めてみると、この段階では \(a_2=a_1+1±2\cdot1=4,0\) の2通りが考えられます。

(解答)
(1)
\((a_{n+1}-a_{n}-1)^2=4n^2\) より

\(a_{n+1}-a_{n}=1±2n\)・・・①

ある自然数\(k\)に対して \(a_{k}<a_{k+1}\) が成り立つとき①より
\(a_{k+1}-a_{k}=1+2k\)・・・②

\(a_{k+1}-a_{k}=1-2k\) とすると\(k\)は自然数だから、\(1-2k<0\) となってしまうので不適です。あとは \(a_{k+2}\)を①②を使って計算していきます。\(a_{k+2},a_{k+1}\)の大小は分かっていないので(寧ろこれが示したいものである)、\(a_{k+2}\)については①を使うことに注意してください

①より
\(a_{k+2}-a_{k+1}=1±2(k+1)\)
だから、②と合わせて

\(a_{k+2}\)
\(=a_{k+1}+1±2(k+1)\)
\(=(a_k+1+2k)+1±2(k+1)\)
\(=a_k+2(k+1)±2(k+1)\)

-のほうをとると、\(a_{k+2}=a_k\) となってしまいどの項も異なることに反してしまうので不適です。

ゆえに
\(a_{k+2}-a_{k+1}=1-2(k+1)\) と仮定すると
\(a_{k+2}=a_k\) となり、条件に反し不適。

したがって
\(a_{k+2}-a_{k+1}=1+2(k+1)>0\) だから
\(a_{k+1}<a_{k+2}\)

 

(2)

\(a_{n+1}-a_{n}=1±2n\)・・・①
の一方のみが常に成り立つとすると、階差が正または負になるので数列が単調減少 or 単調増加になるので、最小値が\(-15\)という条件に合いません。よって①の±の部分は項によって異なることになります。ただしそこまで複雑ではなく、(1)で一旦項の値が増加すると増加し続けることが分かったので \(a_1=1\) から、\(-15\)になるまで下がり続けてそこから増加するような数列になっていることが分かります。

(1)より数列の項の値が一旦増加すると増加し続けることになる。

\(a_{n+1}-a_{n}=1+2n\)・・・③ のとき、\(a_{n}<a_{n+1}\)
\(a_{n+1}-a_{n}=1-2n\)・・・④ のとき、\(a_{n}>a_{n+1}\)

だから、第\(m\)項で\(-15\)になるとすると \(a_1=1\) より、項の値は「初項から第\(m\)項までは減少し、そこから増加し続ける」ことになる。

初項から第\(m\)項までは④の漸化式が成り立つからこれを解くと、\(n≧2\)のとき
\(a_{n}=a_1+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(1-2k)\)
\(=1+(n-1)-\displaystyle\frac{2}{2}(n-1)n\)
\(=-n^2+2n\) (\(n=1\)でも成立)

\(a_m=-15\) より\(m\)を求めると
\(-15=-m^2+2m\)
\(m^2-2m-15=0\)
\((m-5)(m+3)=0\)
\(m=5\)

\(1≦n≦5\) のときは \(a_n=-n^2+2n\) となることが分かりました。
\(n≧6\) のときはもう一方の漸化式から求めます。\(a_5=-15\) スタートになっていることには注意です。

よって \(n≧6\) のとき③より

\(a_n=a_5+\displaystyle\sum_{k=5}^{n-1}(1+2k)\)
\(=a_5+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(1+2k)-\displaystyle\sum_{k=1}^{4}(1+2k)\)

\(=-15+(n-1)+\displaystyle\frac{2}{2}(n-1)n-(3+5+7+9)\)

\(=n^2-40\)

以上から
\(a_n=-n^2+2n\) (\(1≦n≦5\))
\(a_n=n^2-40\) (\(n≧6\))

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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