\(x^p\) の導関数について見ていきます。
実数で成り立つことの証明には対数微分法が必要なので、今回は有理数までの範囲を扱っていきます。復習も兼ねて、\(p\)が自然数であることから始めたいと思います。
・\(x^{p}\)の導関数
\(\{x^{p}\}’=px^{p-1}\) (\(p\)は定数) が成り立つことについて、
\(p\)が自然数、整数、有理数 のときについて順に検討していきます。
\(f(x)=x^{p}\) とおくと
(\(p\)が自然数のとき)
微分の定義から
\(f'(x)=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{(x+h)^{p}-x^p}{h}\)
(\(p\)は自然数だから、2項定理が利用できて)
\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\displaystyle\frac{\{x^{p}+{}_p\mathrm{C}_1x^{p-1}h+(hの2次以上の項)\}-x^p}{h}\)
\(=\displaystyle\lim_{h \to 0}\{px^{p-1}+(hの1次以上の項)\}\)
\(=px^{p-1}\)
(\(p\)が\(0\)のとき)
\(f(x)=1\) より、\(f'(x)=0\)
よって、\(f'(x)=px^{p-1}\) は、\(p=0\) でも成り立つ。
(\(p\)が負の整数のとき)
\(p=-n\) (\(n\)は自然数) とおけば、自然数の場合に帰着できる。
\(f(x)=x^{-n}=\displaystyle\frac{1}{x^n}\) だから、商の微分を利用して
\(f'(x)=\displaystyle\frac{-nx^{n-1}}{x^{2n}}=-nx^{-n-1}=px^{p-1}\)
(\(p\)が有理数のとき)
\(y=g(x)=x^{\frac{1}{n}}\) の導関数でワンクッションしたいと思います。
\(p=\displaystyle\frac{m}{n}\) (\(n\)は自然数、\(m\)は整数) とおける。
まず、\(y=g(x)=x^{\frac{1}{n}}\)・・・① の導関数を求めると
①を\(n\)乗して・・・(注)
\(x=y^n\)・・・②
②を\(y\)で微分して
\(\displaystyle\frac{dx}{dy}=ny^{n-1}\)
よって
\(g'(x)=\displaystyle\frac{dy}{dx}=\displaystyle\frac{1}{ny^{n-1}}=\displaystyle\frac{1}{n(x^{\frac{1}{n}})^{n-1}}\) (①より)
\(=\displaystyle\frac{1}{n}x^{\frac{1}{n}-1}\) (これも\(\{x^{p}\}’=px^{p-1}\)が成り立っている)
したがって
\(f(x)=x^{\frac{m}{n}}=(x^{\frac{1}{n}})^m\) については、合成関数の微分より
\(f'(x)=m(x^{\frac{1}{n}})^{m-1}\cdot(x^{\frac{1}{n}})’\)
\(=m(x^{\frac{1}{n}})^{m-1}\cdot\displaystyle\frac{1}{n}x^{\frac{1}{n}-1}\)
\(=\displaystyle\frac{m}{n}x^{\frac{m}{n}-1}\)
\(=px^{p-1}\)
以上より
\(\{x^{p}\}’=px^{p-1}\)
ゆえに、\(y=\sqrt[3]{x^2}\)、\(y=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{x}}\) のような関数の微分についても、整式のときと同様に扱うことができます。
(注)について
\(y=x^{\frac{1}{n}}\) と \(x=y^n\) は\(n\)が偶数の時は同値ではありません。
例えば \(y=\sqrt{x}\) と \(x=y^2\) については、後者のグラフの半分が前者になっています。
ただし、\(x=y^2\)が必要条件になっているので、\(x=y^2\) の微分について、\(y=\sqrt{x}\) の部分をカバーできているので(大は小を兼ねるの精神)、特に問題ないです。
(例題)次の関数を微分せよ。
(1)\(y=\sqrt[5]{(3-x^2)^3}\)
(2)\(y=(3x^2-2)\sqrt{1-x^2}\)
(3)\(y=\sqrt{x+\sqrt{1+x^2}}\)
(4)\(y=\displaystyle\frac{x}{\sqrt{2x+1}}\)
(5)\(y=\sqrt[3]{\displaystyle\frac{x^2+x+1}{x^2-x+1}}\)
(解答)
(1)
\(y=\sqrt[5]{(3-x^2)^3}=(3-x^2)^{\frac{3}{5}}\) より、合成関数の微分を利用して
\(y’=\displaystyle\frac{3}{5}(3-x^2)^{-\frac{2}{5}}\cdot(-2x)=\)\(-\displaystyle\frac{6x}{5\sqrt[5]{(3-x^2)^2}}\)
(2)
\(y=(3x^2-2)\sqrt{1-x^2}\) より、積の微分と合成関数の微分を利用して
\(y’=6x\sqrt{1-x^2}+(3x^2-2)\cdot\displaystyle\frac{1}{2}(1-x^2)^{-\frac{1}{2}}\cdot(-2x)\)
\(=6x\sqrt{1-x^2}+\displaystyle\frac{x(2-3x^2)}{\sqrt{1-x^2}}\)
\(=\displaystyle\frac{6x(1-x^2)+x(2-3x^2)}{\sqrt{1-x^2}}\)
\(=\displaystyle\frac{-x(9x^2-8)}{\sqrt{1-x^2}}\)
(3)
\(y=\sqrt{x+\sqrt{1+x^2}}=(x+\sqrt{1+x^2})^{\frac{1}{2}}\) より
\(y’=\displaystyle\frac{1}{2}(x+\sqrt{1+x^2})^{-\frac{1}{2}}\cdot(x+\sqrt{1+x^2})’\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}(x+\sqrt{1+x^2})^{-\frac{1}{2}}\cdot(1+\displaystyle\frac{1}{2}\cdot(1+x^2)^{-\frac{1}{2}}\cdot2x)\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}(x+\sqrt{1+x^2})^{-\frac{1}{2}}\cdot(1+\displaystyle\frac{x}{\sqrt{1+x^2}})\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}(x+\sqrt{1+x^2})^{-\frac{1}{2}}\cdot\displaystyle\frac{(x+\sqrt{1+x^2})^1}{\sqrt{1+x^2}}\)
\(=\displaystyle\frac{(x+\sqrt{1+x^2})^{\frac{1}{2}}}{2\sqrt{1+x^2}}\)
\(=\displaystyle\frac{\sqrt{x+\sqrt{1+x^2}}}{2\sqrt{1+x^2}}\)
(4)
\(y=\displaystyle\frac{x}{\sqrt{2x+1}}\) より、商の微分を利用して
\(y’=\displaystyle\frac{1\cdot\sqrt{2x+1}-x\cdot\displaystyle\frac{1}{2}(2x+1)^{-\frac{1}{2}}\cdot2}{2x+1}\)
(分母分子 \(\sqrt{2x+1}\) 倍して)
\(=\displaystyle\frac{(2x+1)-x}{(2x+1)\sqrt{2x+1}}\)
\(=\displaystyle\frac{x+1}{(2x+1)\sqrt{2x+1}}\)
(5)
\(y=\sqrt[3]{\displaystyle\frac{x^2+x+1}{x^2-x+1}}=\left(\displaystyle\frac{x^2+x+1}{x^2-x+1}\right)^{\frac{1}{3}}\) より
\(y’=\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{x^2+x+1}{x^2-x+1}\right)^{-\frac{2}{3}}\cdot\left(\displaystyle\frac{x^2+x+1}{x^2-x+1}\right)’\)
\(=\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{x^2+x+1}{x^2-x+1}\right)^{-\frac{2}{3}}\cdot\displaystyle\frac{(2x+1)(x^2-x+1)-(x^2+x+1)(2x-1)}{(x^2-x+1)^2}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{x^2-x+1}{x^2+x+1}\right)^{+\frac{2}{3}}\cdot\displaystyle\frac{-2x^2+2}{(x^2-x+1)^2}\)
\(=-\displaystyle\frac{2}{3}\left(\displaystyle\frac{x^2-x+1}{x^2+x+1}\right)^{\frac{2}{3}}\cdot\displaystyle\frac{x^2-1}{(x^2-x+1)^2}\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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