円と曲線と面積

円と曲線に囲まれうる図形の面積の例題です。

円が絡む面積の問題は、円に関する曲線の方程式を積分する際にの情報が必要になってきます。よって角が分かる場合になるために、扇形のような円の一部の面積を直接求めるほうが楽になることが多いです。

 

(例題1)
2つの曲線
\(x^2+y^2=1\)、\(y≧0\)・・・①
\(y=\displaystyle\frac{1}{4x}\)・・・②
の2つの交点の\(x\)座標を、それぞれ\(p,q\) (ただし \(p<q\)) とする。

(1))\(\cos\displaystyle\frac{α}{2}=p\)、\(\cos\displaystyle\frac{β}{2}=q\) をみたす\(α,β\) を求めよ。ただし、\(0<α<π\)、\(0<β<π\) とする。
(2)曲線①と②で囲まれた部分の面積を求めよ。

 

(解答)
(1)

交点の位置を表す角の情報について調べる問題です。
直接交点を \((\cosθ,\sinθ)\) とおくと有名角の三角比にならないので\(\displaystyle\frac{θ}{2}\) という誘導がついています。

円曲線面積 3c 例題1-1

図のように点を設定する。交点は第1象限にあるので、\(x>0\)。
\(x^2+y^2=1\)、\(y≧0\)・・・①
\(y=\displaystyle\frac{1}{4x}\)・・・②

②を①に代入して
\(x^2+\displaystyle\frac{1}{16x^2}=1\)

\(16x^4-16x^2+1=0\)
(\(x^2\)の2次方程式として解くと)
\(x^2=\displaystyle\frac{8±\sqrt{48}}{16}=\displaystyle\frac{2±\sqrt{3}}{4}(>0)\)

交点の\(x\)座標を \(\cos\displaystyle\frac{θ}{2}\) とおくと、\(x=\cos\displaystyle\frac{θ}{2}\) であり
\(\cosθ=2\cos^2θ-1=\displaystyle\frac{2±\sqrt{3}}{2}-1=±\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)

\(0<θ<π\) より
\(θ=\displaystyle\frac{π}{6},\displaystyle\frac{5}{6}π\)
ゆえに
\(\displaystyle\frac{θ}{2}=\displaystyle\frac{π}{12},\displaystyle\frac{5}{12}π\)

よって、\(p<q\) (\(\cos\displaystyle\frac{α}{2}<\cos\displaystyle\frac{β}{2}\)) に注意すると
\(\displaystyle\frac{α}{2}=\displaystyle\frac{5}{12}π\)、\(\displaystyle\frac{β}{2}=\displaystyle\frac{π}{12}\)

したがって
\(α=\displaystyle\frac{5}{6}π\)、\(β=\displaystyle\frac{1}{6}π\)

\(\cosθ\) は \(0<θ<π\) で単調減少になるので、角の大きさは大小が入れ替わります。図も合わせて判断すると間違いにくいと思います。

 

(2)

\(p~q\) までの積分をしてもよいですが、扇形に着目してパズルのように解いてみます。

円曲線面積 3c 例題1-2

求める面積を\(S\)とすると
\(S=扇形OPQ-T\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\cdot1^2\cdot\displaystyle\frac{4π}{12}-(△OAP+\displaystyle\int_{p}^{q}\displaystyle\frac{1}{4x}dx-△OBQ)\)

\(=\displaystyle\frac{π}{6}-\left(\displaystyle\frac{1}{2}p\cdot\displaystyle\frac{1}{4p}+\displaystyle\frac{1}{4}\log\displaystyle\frac{q}{p}-\displaystyle\frac{1}{2}q\cdot\displaystyle\frac{1}{4q}\right)\)

\(=\displaystyle\frac{π}{6}-\displaystyle\frac{1}{4}\log\displaystyle\frac{q}{p}\)

ここで(1)より
\(x^2=\displaystyle\frac{2±\sqrt{3}}{4}\) であり、\(0<p<q\) だから
\(p=\displaystyle\frac{\sqrt{2-\sqrt{3}}}{2}\)、\(q=\displaystyle\frac{\sqrt{2+\sqrt{3}}}{2}\)

よって
\(S=\displaystyle\frac{π}{6}-\displaystyle\frac{1}{4}\log\sqrt{\displaystyle\frac{2+\sqrt{3}}{2-\sqrt{3}}}\)

\(=\displaystyle\frac{π}{6}-\displaystyle\frac{1}{8}\log\displaystyle\frac{2+\sqrt{3}}{2-\sqrt{3}}\)

\(=\displaystyle\frac{π}{6}-\displaystyle\frac{1}{8}\log\displaystyle\frac{(2+\sqrt{3})^2}{1}\)

\(=\displaystyle\frac{π}{6}-\displaystyle\frac{1}{4}\log(2+\sqrt{3})\)

 

 

 

(例題2)
\(f(x)=\log\displaystyle\frac{x^2+1}{2}\) とおく。\(xy\)平面上の円\(C\)と曲線\(D:y=f(x)\)は\(D\)のすべての変曲点で接しているとする。ただし、2つの曲線がある点で接するとはその点で共通の接線をもつことをいう。

(1)円\(C\)の方程式を求めよ。
(2)\(C\)と\(D\)の共有点は\(D\)の変曲点のみであることを証明せよ。
(3)\(C\)と\(D\)で囲まれた部分の面積を求めよ。

 

(解答)
(1)

数Ⅲにおいて円と曲線が接する問題では、円の接線と円の中心と接点を結ぶ線分(半径)が垂直であることを、つまり法線が円の中心を通ることを利用します。
\(y=f(x)\) が\(y\)軸対称であることから円の中心は\(y\)座標にあることは分かるので解答の目安にはしておきます。
変曲点が接点になっているので、まずこれから求めてみます。

円曲線面積 3c 例題2-1

\(f(x)=\log\displaystyle\frac{x^2+1}{2}=\log(x^2+1)-\log2\) より

\(f'(x)=\displaystyle\frac{2x}{x^2+1}\)

\(f”(x)=\displaystyle\frac{2(x^2+1)-2x\cdot 2x}{(x^2+1)^2}=\displaystyle\frac{2(1-x^2)}{(x^2+1)^2}\)

よって変曲点の\(x\)座標は、\(x=±1\) だから
変曲点は \(A(-1,0),B(1,0)\)

\(C,D\)がこの変曲点で接しているので、2つの変曲点における法線の交点が円の中心となる。
法線の方程式はそれぞれ
\(y=(x+1)\)、\(y=-(x-1)\)
だから、連立すると
\((x,y)=(0,1)\)

半径\(r\)は \((0,1)\) と \(A(-1,0)\) の距離を考えて
\(r=\sqrt{1^2+1^2}=\sqrt{2}\)

したがって円の方程式は
\(x^2+(y-1)^2=2\)

 

(2)

円の方程式を \(y=\cdots\) の形にして\(y=f(x)\)と連立して・・・とやってもよいですが、\(y=f(x)\) 上の点と円の中心との距離の最小値が、接点のときのみ半径\(\sqrt{2}\)になることを示します。円との交点の個数の問題はこの方法をとるとうまくいくことが多いです。

円曲線面積 3c 例題2-2

円と曲線\(y=f(x)\)は、\(y\)軸について対称だから、\(x≧0\) だけ考えればよい。
円の中心\(O'(0,1)\) と、\(y=f(x)\) 上の点 \(X(t,\log\displaystyle\frac{t^2+1}{2})\) の距離の2乗は
\(O’X^2=t^2+(\log\displaystyle\frac{t^2+1}{2}-1)^2\) (\(t≧0\))

これを\(g(t)\)とおくと
\(g'(t)=2t+2(\log\displaystyle\frac{t^2+1}{2}-1)\cdot\displaystyle\frac{2t}{t^2+1}\)

\(=\displaystyle\frac{2t}{t^2+1}\left(t^2+1+2\log\displaystyle\frac{t^2+1}{2}-2\right)\)

(複雑な式ですが、\(t=1\)のみで最小値をとることを意識して進めていきます)
ここで
\(h(t)=t^2+1+2\log\displaystyle\frac{t^2+1}{2}-2\)
は単調増加関数で、\(h(1)=0\) を満たすので
\(0≦t≦1\) のとき \(g(t)\)は単調減少
\(t≧1\) のとき \(g(t)\)は単調増加
となるから、\(t=1\) のときのみ 最小値 \(g(1)=2\) をとる。

したがって \(0≦t<1\)、\(t>1\) では
\(O’X>\sqrt{2}\) となるから、変曲点以外に共有点は存在しない

 

(3)

(例題1)と同様に、円の一部(扇形)の面積を利用して求めます。

円曲線面積3c 例題2-3

図より求める面積\(S\)は

\(S=\displaystyle\int_{-1}^{1}(-\log\displaystyle\frac{x^2+1}{2})dx-T\)

(偶関数の積分、\(T\)は扇形と三角形の差で求まる)

\(=-2\displaystyle\int_{0}^{1}\log\displaystyle\frac{x^2+1}{2}dx-\left\{\displaystyle\frac{1}{2}\cdot(\sqrt{2})^2\cdot\displaystyle\frac{π}{2}-\displaystyle\frac{1}{2}\cdot(\sqrt{2})^2\right\}\)

(\(\log\)の積分なので部分積分)

\(=-2\left[x\log\displaystyle\frac{x^2+1}{2}\right]_{0}^{1}+2\displaystyle\int_{0}^{1}x\cdot\displaystyle\frac{2x}{x^2+1}dx-\left(\displaystyle\frac{π}{2}-1\right)\)

\(=4\displaystyle\int_{0}^{1}\displaystyle\frac{x^2}{x^2+1}dx-\left(\displaystyle\frac{π}{2}-1\right)\)

(分子の次数が大きいので帯分数の形に)

\(=4\displaystyle\int_{0}^{1}\left(1+\displaystyle\frac{-1}{x^2+1}\right)dx-\left(\displaystyle\frac{π}{2}-1\right)\)

(\(x=\tanθ\) の置換をして)

\(=4[x]_{0}^{1}-4[θ]_{0}^{\frac{π}{4}}-\left(\displaystyle\frac{π}{2}-1\right)\)

\(=4-π-\left(\displaystyle\frac{π}{2}-1\right)\)

\(=5-\displaystyle\frac{3}{2}π\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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