2次曲線の接線の公式について見ていきます。
・2次曲線の接線の方程式
\(p≠0\)、\(a,b>0\) とすると、2次曲線上の点 \((x_1,y_1)\) における接線の方程式はそれぞれ次のようになります。
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\) では \(\displaystyle\frac{x_1x}{a^2}+\displaystyle\frac{y_1y}{b^2}=1\)
(双曲線)
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}-\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=±1\) では \(\displaystyle\frac{x_1x}{a^2}-\displaystyle\frac{y_1y}{b^2}=±1\)
(放物線)
\(y^2=4px\) では \(y_1y=2p(x+x_1)\)
\(x^2=4py\) では \(x_1x=2p(y+y_1)\)
覚え方は、楕円と双曲線の場合は円の場合と同じで
2乗のうち1つの文字を \(x \to x_1\)、\(y \to y_1\) とするだけ。
放物線の場合は、例えば \(y^2=4px\) だと
2乗の方は1つの文字を \(y \to y_1\)、1乗の方は \(4x \to 2x+2x\) と分けて1文字を \(2x+2x_1\) とすればよいです。
証明は判別式を利用する方法と微分(陰関数の微分)を利用する方法があります。
いずれにせよ、\((x_1,y_1)\) が曲線上にあるので曲線の方程式に代入すると成り立つことに注意です。
(証明1)楕円:判別式
(ア)\(y_1≠0\) のとき
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\)・・・①
\(y=mx+n\)・・・② (接線)
②を①に代入して
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+\displaystyle\frac{(mx+n)^2}{b^2}=1\)
整理すると
\((b^2+a^2m^2)x^2+2a^2mnx+a^2n^2-a^2b^2=0\)・・・③
\(b>0\) より、\(x\)の方程式③の2次の係数は\(0\)ではないので
\(\displaystyle\frac{D}{4}=0\) より
\((a^2mn)^2-(b^2+a^2m^2)(a^2n^2-a^2b^2)=0\)
よって
\(a^2b^2n^2=a^4b^2m^2+a^2b^4\)
\(a,b>0\) だから
\(n^2=a^2m^2+b^2\)・・・④
(\(m,n\)の関係式④を用いて、最終的に\(m,n\)を消去して\(x_1,y_1\)で表すことを目標にします)
接点の\(x\)座標は③の重解だから
\(x_1=-\displaystyle\frac{a^2mn}{b^2+a^2m^2}\)
④を用いると、④の右辺は\(0\)ではないから \(n≠0\) で
\(x_1=-\displaystyle\frac{a^2m}{n}\)・・・⑤
接点の\(y\)座標は
\(y_1=mx_1+n=-\displaystyle\frac{a^2m^2}{n}+n\)
\(=\displaystyle\frac{-a^2m^2+n^2}{n}\)
\(=\displaystyle\frac{b^2}{n}\) (④より)
ゆえに
\(n=\displaystyle\frac{b^2}{y_1}\)・・・⑥
⑥を⑤に代入して\(m\)について整理すると
\(m=-\displaystyle\frac{b^2x_1}{a^2y_1}\)・・・⑦
したがって接線の方程式は⑥⑦を②に代入して
\(y=-\displaystyle\frac{b^2x_1}{a^2y_1}x+\displaystyle\frac{b^2}{y_1}\)
整理すると
\(\displaystyle\frac{x_1x}{a^2}+\displaystyle\frac{y_1y}{b^2}=1\)
(イ)\(y_1=0\) (\(x_1=±a\)) のとき
(ア)より、\((0,b),(0,-b)\) における接線の傾きは\(0\)
よって、楕円を\(90°\)回転させて考えることにより、\((a,0),(-a,0)\) における接線は\(x\)軸に垂直であることが分かるので、接線の方程式は
\(x=±a\)
(ア)で \(x_1=±a\)、\(y_1=0\) とすると、\(x=±a\) が得られるので、(ア)は\(y_1=0\)のときも成り立つことになる。
以上より接線の方程式は
\(\displaystyle\frac{x_1x}{a^2}+\displaystyle\frac{y_1y}{b^2}=1\)
(別証明1)楕円:微分を利用
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\)・・・①
①の両辺を\(x\)で微分すると
\(\displaystyle\frac{2x}{a^2}+\displaystyle\frac{2y}{b^2}\cdot\displaystyle\frac{dy}{dx}=0\)
よって、\(y≠0\) のとき
\(\displaystyle\frac{dy}{dx}=-\displaystyle\frac{b^2x}{a^2y}\)
したがって \(y_1≠0\) の場合の接線の方程式は
\(y=-\displaystyle\frac{b^2x_1}{a^2y_1}(x-x_1)+y_1\)
整理して
\(\displaystyle\frac{x_1x}{a^2}+\displaystyle\frac{y_1y}{b^2}=\displaystyle\frac{x_1^2}{a^2}+\displaystyle\frac{y_1^2}{b^2}\)・・・②
\((x_1,y_1)\)は楕円上の点だから②の右辺は\(1\)であり
\(\displaystyle\frac{x_1x}{a^2}+\displaystyle\frac{y_1y}{b^2}=1\) (これは\(y_1=0\)の場合も成り立つ)
判別式でも微分でもどちらもできます。
(証明2)双曲線
\(y=mx+n\) と 双曲線の方程式から\(y\)を消去すると\(x^2\)の係数は \((b^2-a^2m^2)\) になりますが、2次方程式にならないと重解をもたない(接しない)ので、\(b^2-a^2m^2≠0\) として扱ってよいです。なお縦開き型の、\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}-\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=-1\) の方については \(y≦-b,y≧b\) (\(y≠0\)) なので、場合分けは不要です。(頂点における接線は傾き\(0\)になるだけ)
(証明3)放物線
\(y^2=4px\) について、\(y=mx+n\) により\(y\)を消去すると\(x^2\)の係数は\(m^2\)。重解をもつために \(m≠0\) として処理していきます。また頂点(原点)における接線は\(x\)軸と垂直になるために、原点と他の点で場合分けが必要です。そして必要があれば \(y_1^2=4px_1\) も成り立つことを利用します。
\(x^2=4py\) については、こちらは頂点(原点)における接線は傾き\(0\)になるだけなので場合分けは不要です。
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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