直線との交点を利用した2次曲線の媒介変数表示です。
・2次曲線の媒介変数表示(有理式型)
円 \(x^2+y^2=a^2\)・・・①
と、円周上の点 \((-a,0)\) を通る傾き\(t\)の
直線 \(y=t(x+a)\)・・・②
の交点の座標 \(P(x,y)\)を考えることで、有理式で表された円の媒介変数表示を導くことができます。
②を①に代入すると
\(x^2+t^2(x+a)^2=a^2\)
\(x=-a\) を解にもつことに注意して変形すると
\(x^2-a^2+t^2(x+a)^2=0\)
\((x+a)\{(x-a)+t^2(x+a)\}=0\)
よって、もう一方の解は
\((1+t^2)x+a(t^2-1)=0\) より
\(x=\displaystyle\frac{a(1-t^2)}{1+t^2}\)・・・③
となり、③を②に代入すると
\(y=t\left\{\displaystyle\frac{a(1-t^2)}{1+t^2}+a\right\}\)
つまり
\(y=\displaystyle\frac{2at}{1+t^2}\)・・・④
が得られ、③④が有理式による円の媒介変数表示になります。
③より
\(x=-a+\displaystyle\frac{2a}{1+t^2}\)
となり、\(x=-a\) という値はとらないことになるので③④で表される曲線は \((-a,0)\) を除いた円となります。このことは上図で直線②(\(x\)軸に垂直な直線は表せない)を変化させても分かります。
ところで、三角関数を利用した円の媒介変数表示は
\(x=a\cosθ\)、\(y=a\sinθ\)・・・⑤
であり、\(θ\)は円の中心角であることから、円周角の定理より直線②が\(x\)軸の正の方向となす角は\(\displaystyle\frac{θ}{2}\)となるので、直線②の傾き\(t\)は \(t=\tan\displaystyle\frac{θ}{2}\) で表されることになります。よって、\(t=\tan\displaystyle\frac{θ}{2}\) とおいたときに、三角関数の関係式(主に倍角・半角の公式)を利用して\(t\)を用いて\(\sinθ,\cosθ,(\tanθ)\) を表すと
\(\sinθ=\displaystyle\frac{2t}{1+t^2}\)、\(\cosθ=\displaystyle\frac{1-t^2}{1+t^2}\)、(\(\tanθ=\displaystyle\frac{2t}{1-t^2}\) (\(t^2≠1\)))・・・⑥
(ただし、\(θ=π\) となる場合は表せない)
となることから、これらと⑤から③④を導くことも可能です。
同様に、楕円・双曲線も⑥を利用することで有理式で媒介変数表示すると次のようになります。
(楕円)
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\) (\((-a,0)\) を除く)
楕円上の点は \((a\cosθ,\ b\sinθ)\) より
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = \displaystyle\frac{a(1-t^2)}{1+t^2} \\ y = \displaystyle\frac{2bt}{1+t^2}\end{array} \right. \end{eqnarray}\)
(双曲線) \(t^2≠1\) として
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}-\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\) (\((-a,0)\) を除く)
双曲線上の点は \((\displaystyle\frac{a}{\cosθ},\ b\tanθ)\) より
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = \displaystyle\frac{a(1+t^2)}{1-t^2} \\ y = \displaystyle\frac{2bt}{1-t^2}\end{array} \right. \end{eqnarray}\)
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}-\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=-1\) (\((0,-b)\) を除く)
双曲線上の点は \((a\tanθ,\ \displaystyle\frac{b}{\cosθ})\) より
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = \displaystyle\frac{2at}{1-t^2} \\ y = \displaystyle\frac{b(1+t^2)}{1-t^2}\end{array} \right. \end{eqnarray}\)
なお \(y^2=4px\) 放物線の媒介変数表示
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x = pt^2 \\ y = 2pt\end{array} \right. \end{eqnarray}\)
はそもそも有理式表示です。
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→媒介変数表示と曲線の方程式(文字消去) back→2次曲線の媒介変数表示①