独立試行

 

→高校数学TOP

 

 

 

・独立な試行の確率
1個のさいころを投げる試行と、1枚の硬貨を投げる試行において、さいころの目の出方と、硬貨の裏表の出方は無関係であり、この2つの試行は互いにその結果に影響を及ぼしません。このように2つの試行が互いに他方の結果に影響を及ぼさないときこれらの試行は独立であるといいます。

 

似たような言葉で排反というものがありましたね。
排反も独立もお互い何も関係がなさそうというイメージは同じですが、
排反は「2つの事象が同時に起こらないこと」で、意味は違います。

 

2つの独立な試行について、その結果として起こる確率について考えてみます。
1個のさいころと1枚の硬貨を投げるとき、さいころは3以上の目が出て、硬貨は表が出る確率を求めてみると、次の表より
\(p=\displaystyle\frac{4×1}{6×2}=\displaystyle\frac{4}{6}×\displaystyle\frac{1}{2}\) となります。
独立試行

 

ここで、さいころを投げる試行を\(T_1\)、硬貨を投げる試行を\(T_2\)として、それぞれの試行での全事象を\(U_1,U_2\) します。また、\(T_1\)で3以上の目が出るという事象を\(A_1\)、\(T_2\)で表が出るという事象を\(A_2\)として、\(A_1\)と\(A_2\)が同時に起こる、つまり\(T_1,T_2\)を行い、さいころは3以上の目が出て、硬貨は表がでるという事象を\(A\)とします。

全事象\(U\)について、
\(n(U)=n(U_1)×n(U_2)\) (\(12=6×2\))

事象\(A\)について
\(n(A)=n(A_1)×n(A_2)\)  (\(4=4×1\))

が成り立ち、\(U\)の根元事象は同様に確からしいので
\(p=P(A)\)を求めると

\(P(A)=\displaystyle\frac{n(A)}{n(U)}\)

\(=\displaystyle\frac{n(A_1)×n(A_2)}{n(U_1)×n(U_2)}\)

\(=\displaystyle\frac{n(A_1)}{n(U_1)}×\displaystyle\frac{n(A_2)}{n(U_2)}\)

\(=P(A_1)×P(A_2)\)

 

 

今述べたことは一般的に2つの独立な試行について成り立つ。

 

2つの独立な試行\(T_1,T_2\)について、\(T_1\)で事象\(A_1\)が起こり、\(T_2\)で事象\(A_2\)が起こるという事象を\(A\)とすると、
\(P(A)=P(A_1)×P(A_2)\)
長々と書きましたが、簡単に言うと、2つの試行が独立であるときは、それぞれの試行での確率を単純に掛けるだけで、それぞれの事象が同時に起こる確率を求めることができるということです。
例でいうと、「さいころは3以上の目が出て、硬貨は表が出る」確率は、
(さいころで3以上の目が出る確率)×(硬貨で表が出る確率)
ということです。

 

 

(例題1)
1つのサイコロを2回投げるとき、1回目と2回目ともに1の目が出る確率

 

1回目の結果は、2回目の結果に影響を及ぼしません。
サイコロは毎回等確率で6つのどれかの目が出ます。
(解答)
2回のサイコロを投げる試行は互いに独立。よって
\(p=\displaystyle\frac{1}{6}×\displaystyle\frac{1}{6}=\)\(\displaystyle\frac{1}{36}\)

 

 

・3つ以上の独立な試行の確率
3つ以上の試行においても、どの試行の結果も他の試行の結果に影響を及ぼさないとき、これらの試行は独立であるといいます。例えば3回さいころを投げるときの各さいころを投げる試行は独立です。
3つの独立な試行\(T_1,T_2,T_3\)において、\(T_1\)で事象\(A_1\)が起こり、\(T_2\)で事象\(A_2\)が起こり、\(T_3\)で事象\(A_3\)が起こるという事象を\(A\)とすると、2つの独立な試行の場合と同様に

 

\(P(A)=P(A_1)×P(A_2)×P(A_3)\)

 

が成り立ちます。
4つ以上の独立な試行についても同様の等式が成り立ちます。

 

 

・独立な試行と、そうではない例
(独立な試行)
①さいころを投げる試行と硬貨を投げる試行
②さいころを複数回投げるときの各さいころを投げる試行どうし
③赤球と白球が複数入った袋の中から、玉を1個取り出す試行を\(T_1\)、続いて球を取り出す試行を\(T_2\)としたとき、最初の球を袋に戻すときの \(T_1,T_2\)

 

(独立な試行ではない)
③において、最初の球を袋に戻さないときの\(T_1,T_2\)

 

など

 

球を戻さないときは、最初に取り出した球が赤か白のどちらかによって、次の赤球白球の取り出される確率が変わってきます。

 

 

(例題2)
3人の射手A,B,Cが標的に向かって射つとき、当てる確率はそれぞれ、\(\displaystyle\frac{1}{2}\),\(\displaystyle\frac{1}{3}\),\(\displaystyle\frac{1}{4}\) であるという。このとき少なくとも1人が当てる確率を求めよ。

 

 

特に断りがないですが、3人の射つという試行は独立であると考えてください。
つまり3人の当たる当たらないという結果は互いに影響を及ぼさないことになります。
少なくとも1人が当てる確率なので、1人も当たらない確率(余事象の確率)を求めて解いてみます。
(解答)
A,B,Cが射つという試行において、それぞれが当たらないことは互いに独立であると考えられるから、3人とも当たらない確率は
\((1-\displaystyle\frac{1}{2})(1-\displaystyle\frac{1}{3})(1-\displaystyle\frac{1}{4})=\displaystyle\frac{1}{4}\)
よって、求める確率は
\(1-\displaystyle\frac{1}{4}=\)\(\displaystyle\frac{3}{4}\)

 

 

(例題3)
A,Bの2つの袋があり、Aには赤球3個と白球5個、Bには赤球6個と白球4個が入っている。A,Bの袋から1つずつ球を取り出すとき、取り出した2個の球の色が同じである確率を求めよ。

 

それぞれの袋から球を1個取り出す試行は独立です。
(解答)
袋Aから球を取り出す試行と、袋Bから球を取り出す試行は独立である。
取り出した球が同じ色であるのは
①2個とも赤色 ②2個とも白色
のいずれかで、これらは排反である。

①について
それぞれの袋から赤球を取り出す確率を考えると
\(\displaystyle\frac{3}{8}×\displaystyle\frac{6}{10}=\displaystyle\frac{18}{80}\)

②について同様に考えるとその確率は
\(\displaystyle\frac{5}{8}×\displaystyle\frac{4}{10}=\displaystyle\frac{20}{80}\)

 

以上より求める確率は
\(\displaystyle\frac{18}{80}+\displaystyle\frac{20}{80}=\)\(\displaystyle\frac{19}{40}\)

 

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

→高校数学TOP next→反復試行 back→対等条件と確率

タイトルとURLをコピーしました