少なくとも・すべての に関する証明

 

少なくとも1つは・・・、すべての・・・に関する証明問題について見ていきます。
日本語で書かれた文章を数式にうまく変換することがポイントとなってきます。
その際に次の性質を利用します。

 

\(A,B,C\)を実数とするとき
\(ABC=0\) \(\leftrightarrow\) \(A=0\) または \(B=0\) または \(C=0\) (少なくとも1つの・・・に関する証明に利用)
\(A^2+B^2+C^2=0\) \(\leftrightarrow\) \(A=B=C=0\) (すべての・・・に関する証明に利用)

①は\(ABC=0\)のとき、\(A,B,C\)の少なくとも1つ(最低1個)が\(0\)ということです。

②は実数の\(2\)乗は\(0\)以上なので、左辺を\(0\)にするのは、\(A,B,C\)すべてが\(0\)になるしかないということです。

 

 

(例題)
実数\(α,β,γ\)が \(α+β+γ=3\) を満たしているとき、
\(p=αβ+βγ+γα\),   \(q=αβγ\) とおく。
(1)\(p=q+2\) のとき、\(α,β,γ\)の少なくとも1つは\(1\)であることを示せ。
(2)\(p=3\)のとき、\(α,β,γ\)はすべて\(1\)であることを示せ。

 

 

(解答)
(1)

少なくとも1つは\(1\)の証明です。
\((α-1)(β-1)(γ-1)=0\) を示せばよいことになります。
対称式(基本対称式)にも着目します。

\((α-1)(β-1)(γ-1)\)
\(=αβγ-(αβ+βγ+γα)+\)\((α+β+γ)-\)\(1\)
\(=q-p+3-1\)
\(=q-(q+2)+2\)
\(=0\)

よって、\(α-1=0\) または \(β-1=0\) または \(γ-1=0\) であるので
\(α,β,γ\)の少なくとも1つは\(1\)である。

 

(2)

すべて\(1\)であることの証明です。
\((α-1)^2+(β-1)^2+(γ-1)^2=0\) を示します。
対称式(基本対称式)にも着目します。

\((α-1)^2+(β-1)^2+(γ-1)^2\)
\(=α^2+β^2+γ^2-2(α+β+γ)\)\(+3\)
\(=(α+β+γ)^2-2(αβ+βγ+γα)\)\(-2(α+β+γ)\)\(+3\)
\(=3^2-2・3-2・3+3\)
\(=0\)

よって \(α-1=β-1=γ-1=0\) であるから
\(α=β=γ=1\)
題意は示された。

 

 

(1)(2)ともに、条件から順方向に証明するのではなく、最終目標の等式を定めて変形する方法となっています。この解法は意識してないと思いつかないと思うので、強く意識するようにしましょう。

 

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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