複素数の相等

 

\(a+bi=c+di\) のとき、\(a,b,c,d\)がすべて実数の場合には単純に両辺を比較することができます。

 

・複素数の相等
\(a,b,c,d\)が実数のとき次のことが成り立ちます。

①\(a+bi=0\) \(\leftrightarrow\) \(a=0\) かつ \(b=0\)
\(a\)\(+\)\(b\)\(i=\)\(c\)\(+\)\(d\)\(i\) \(\leftrightarrow\) \(a=c\) かつ \(b=d\)

(証明)
①の\(a+bi=0\) \(→\) \(a=0\) かつ \(b=0\) について

\(b≠0\)とすると、\(bi=-a\) より \(i=-\displaystyle\frac{a}{b}\)
二乗すると、\(i^2=(-\displaystyle\frac{a}{b})^2\) だから、
\(-1=\displaystyle\frac{a^2}{b^2}\)・・・(A)

(A)の左辺は負の数、\(a,b\)は実数だから右辺は\(0\)以上の数となり矛盾。
よって、\(b=0\) また、\(a+bi=0\)に\(b=0\)を代入すると、\(a=0\)

よって、\(a=0\) かつ \(b=0\)

\(a+bi=0\) \(←\) \(a=0\) かつ \(b=0\) は明らかに成り立つ。

 

②の、\(a\)\(+\)\(b\)\(i=\)\(c\)\(+\)\(d\)\(i\) \(→\) \(a=c\) かつ \(b=d\) について

\(a\)\(+\)\(b\)\(i=\)\(c\)\(+\)\(d\)\(i\)より
\((a-c)+(b-d)i=0\)

\(a-c\), \(b-d\) は実数だから①より \(a-c=0\) かつ \(b-d=0\)
つまり、\(a=c\) かつ \(b=d\)

\(a\)\(+\)\(b\)\(i=\)\(c\)\(+\)\(d\)\(i\) \(←\) \(a=c\) かつ \(b=d\)
は明らかに成り立つ。

 

 

\(→\)が成り立つのは、\(a,b,c,d\)がすべて実数の場合です。
実数でない場合には例えば①では、\(a=2\), \(b=2i\) のとき \(a+bi=2+2i・i=0\) となり、\(a=b=0\)とならない場合がでてきます。

 

 

(例題1)次の等式を満たす実数\(x,y\)の値をそれぞれ求めよ。
(1)\((2+i)x+(3-2i)y=-9+20i\)
(2)\((3+2i)(2x-yi)=4+7i\)

 

(解答)
(1)

左辺を整理して\(x,y\)が実数であることから両辺比較です。

与式は
\((2x+3y)+(x-2y)i=-9+20\)

\(x,y\)が実数であることから、\(2x+3y\),\(x-2y\)も実数

よって、\(2x+3y=-9\) , \(x-2y=20\)

連立方程式を解いて、\(x=6\), \(y=-7\)

 

(2)

左辺を展開してもよいですが、\(3+2i\)で両辺を割るとすっきり解けます。

与式の両辺を\(3+2i\)で割ると
\(2x-yi=\displaystyle\frac{4+7i}{3+2i}\)

\(\displaystyle\frac{4+7i}{3+2i}\)\(=\displaystyle\frac{(4+7i)(3-2i)}{(3+2i)(3-2i)}\)\(=\displaystyle\frac{26+13i}{13}\)\(=2+i\) より

\(2x-yi=2+i\)

\(x,y\)は実数だから、\(2x\),\(-y\)も実数
よって、\(2x=2\), \(-y=1\)

したがって、\(x=1\), \(y=-1\)

 

赤字で書いた「~は(も)実数」という記載は忘れずに。
実数だからこそ両辺を比較することができるからです。

 

 

(例題2)
\(α=\displaystyle\frac{1-i}{2+i}+\displaystyle\frac{x+3i}{2-i}\) が次の条件を満たすような実数\(x\)の値を求めよ。
(ア)\(α\)が実数 (イ)\(α\)が純虚数

 

(ア)(イ)について\(α\)の実部、虚部がどうなるか考えることになるため、
\(α\)を \(a+bi\) (\(a,b\)は実数) の形にします。

(解答)
\(α=\displaystyle\frac{(1-i)(2-i)}{(2+i)(2-i)}+\displaystyle\frac{(x+3i)(2+i)}{(2-i)(2+i)}\)

\(=\displaystyle\frac{1-3i}{5}+\displaystyle\frac{(2x-3)+(x+6)i}{5}\)

\(=\displaystyle\frac{2x-2}{5}+\displaystyle\frac{x+3}{5}i\)

(ア)
\(α\)が実数のとき虚部が\(0\)なので、\(x+3=0\)
よって、\(x=-3\)

(イ)

純虚数とは\(2i\),\(-6i\),\(\displaystyle\frac{2}{3}i\)のように実部が\(0\)の虚数です。
注意点ですが、実部が\(0\)という条件だけでなく、虚部が\(0\)でない条件もいります。虚部が\(0\)だと実部虚部ともに\(0\)となり実数\(0\)になってしまうからです。

\(α\)が純虚数のとき、\(2x-2=0\) かつ \(x+3≠0\) (純虚数のときは虚部は\(0\)でない確認をする)

よって、\(x=1\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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