極限値

極限値の計算について見ていきます。

基本的には近づく値を代入するだけになります。
ただし分数の形の場合、\(\displaystyle\frac{0}{0}\) の形 (不定形という) になっている場合には約分や有理化をします。

 

 

(例題)次の極限値を求めよ。
(1)\(\displaystyle\lim_{x \to 2}(x^2+3x-1)\)
(2)\(\displaystyle\lim_{x \to -2}(x^2+1)(x-1)\)

(3)\(\displaystyle\lim_{x \to 3}\displaystyle\frac{x^2-2x-3}{x^2-x-6}\)

(4)\(\displaystyle\lim_{x \to -4}\displaystyle\frac{x^3+4x^2+2x+8}{x^2+x-12}\)

(5)\(\displaystyle\lim_{x \to a}\displaystyle\frac{x^2-a^2}{x-a}\) (\(a≠0\))

(6)\(\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{\sqrt{x+8}-3}{x-1}\)

 

 

(解答)
(1)

\(\displaystyle\lim_{x \to 2}(x^2+3x-1)\) について
\(x→2\) のとき \(x^2→2^2\),  \(3x→3×2\) に近づきます。よって結局 \(x=2\) を代入すればよいことになります。

\(\displaystyle\lim_{x \to 2}(x^2+3x-1)\)
\(=2^2+3\cdot2-1\)
\(=9\)

(2)
((1)と同様で)

\(\displaystyle\lim_{x \to -2}(x^2+1)(x-1)\)
\(=\{(-2)^2+1\}\cdot(-3)\)
\(=-15\)

 

(3)

(3)~(6)はすべて代入すると \(\displaystyle\frac{0}{0}\) になる不定形です。
仮に \(\displaystyle\frac{0}{0}=k\) とおくと、\(0=k×0\) となり、\(k\)がいくつであっても成り立つ等式となります(\(k\)が定まらないので不定形ということです)。そこでこの不定形を解消するために約分や有理化をしていきます。
数Ⅱの範囲ではこれで解決できますが、一般には不定形で極限値が存在しない場合もあります。また極限値を考えたときに、分母のみが\(0\)である \(\displaystyle\frac{4}{0}\) の形になるときもあります(不能という)。これらの詳しい話は次回にしたいと思います。

\(\displaystyle\lim_{x \to 3}\displaystyle\frac{x^2-2x-3}{x^2-x-6}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to 3}\displaystyle\frac{(x-3)(x+1)}{(x-3)(x+2)}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to 3}\displaystyle\frac{x+1}{x+2}\)

\(=\displaystyle\frac{3+1}{3+2}\)

\(=\displaystyle\frac{4}{5}\)

 

(4)
\(\displaystyle\lim_{x \to -4}\displaystyle\frac{x^3+4x^2+2x+8}{x^2+x-12}\)

(分子は \(x+4\) を因数にもちます。組立除法などを利用してもよいですが、解答では因数分解していきます)

\(=\displaystyle\lim_{x \to -4}\displaystyle\frac{x^2(x+4)+2(x+4)}{(x+4)(x-3)}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to -4}\displaystyle\frac{(x^2+2)(x+4)}{(x+4)(x-3)}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to -4}\displaystyle\frac{x^2+2}{x-3}\)

\(=-\displaystyle\frac{18}{7}\)

 

(5)
\(\displaystyle\lim_{x \to a}\displaystyle\frac{x^2-a^2}{x-a}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to a}\displaystyle\frac{(x+a)(x-a)}{x-a}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to a}(x+a)\)

\(=2a\)

 

(6)

分子を有理化します。

\(\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{\sqrt{x+8}-3}{x-1}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{(\sqrt{x+8}-3)(\sqrt{x+8}+3)}{(x-1)(\sqrt{x+8}+3)}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{(x+8)-9}{(x-1)(\sqrt{x+8}+3)}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{x-1}{(x-1)(\sqrt{x+8}+3)}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{x+8}+3}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{6}\)

 

(注)分母を無理やり因数分解すると
\(\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{\sqrt{x+8}-3}{x-1}\)

\(\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{\sqrt{x+8}-3}{(x+8)-9}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{\sqrt{x+8}-3}{(\sqrt{x+8}-3)(\sqrt{x+8}+3)}\)

\(=\displaystyle\lim_{x \to 1}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{x+8}+3}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{6}\)

とできますが、やはり有理化のほうが分かりやすいと思います。

 

 

(参考)
実はこの例題では以下の定理を利用していることになります。(定理の紹介は数Ⅲでされます)

\(\displaystyle\lim_{x \to a}f(x)=α\), \(\displaystyle\lim_{x \to a}g(x)=β\),   \(k,l\) を定数とするとき
(1)\(\displaystyle\lim_{x \to a}kf(x)=kα\)
(2)\(\displaystyle\lim_{x \to a}\{f(x)±g(x)\}=α±β\)
(3)\(\displaystyle\lim_{x \to a}\{kf(x)+lg(x)\}=kα+lβ\)

(4)\(\displaystyle\lim_{x \to a}f(x)g(x)=αβ\)
(5)\(\displaystyle\lim_{x \to a}\displaystyle\frac{f(x)}{g(x)}=\displaystyle\frac{α}{β}\) (ただし \(β≠0\) )

要は、個別の極限値を代入して計算することで全体の極限値を求めることができるという当たり前のような定理ですが、証明は高校数学の範囲を超えるので省略します。

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→係数決定(極限値) back→平均変化率・微分係数

タイトルとURLをコピーしました