接線の基礎②

前回の知識をもとに色々な接線に関する演習問題を解いていきます。

 

(例題1)
曲線 \(y=x^3-2x-5\) を\(C\)とする。点\((3,0)\) から曲線\(C\)へは複数の接線が引けるが、それらのうち傾きの値が最も小さい接線を\(l\)とする。

(1)\(l\)の方程式を求めよ。
(2)曲線\(C\)と接線\(l\)が、接点以外に共有する点の座標を求めよ。

 

 

(解答)

接点を\((t,f(t))\)とおきます。

(1)
\(y’=3x^2-2\)

接点を \((t,t^3-2t-5)\) とおくと、接線の方程式は
\(y-(t^3-2t-5)=(3t^2-2)(x-t)\)

整理して
\(y=(3t^2-2)x-2t^3-5\)・・・①

①が \((3,0)\) を通るので
\(0=(3t^2-2)\cdot3-2t^3-5\)
\(2t^3-9t^2+11=0\)
\((t+1)(2t^2-11t+11)=0\)

\(t=-1,\displaystyle\frac{11±\sqrt{33}}{4}\)

傾きは \(y’=3t^2-2\) です。この3つの\(t\)のうち傾きが最も小さくなるものを探します。ざっくりと計算すると、\(5<\sqrt{33}<6\) より、
\(\displaystyle\frac{11+\sqrt{33}}{4}≒4\) (\(\sqrt{33}=5\)で計算)
\(\displaystyle\frac{11-\sqrt{33}}{4}≒1.25\)   (\(\sqrt{33}=6\)で計算)
\(y’=3t^2-2\) が最小となるのは\(t\)の絶対値が最小になるときなので、\(t=-1\) です。

ここで

\(\displaystyle\frac{11+\sqrt{33}}{4}>\displaystyle\frac{11-\sqrt{33}}{4}>\displaystyle\frac{11-6}{4}=1.25>1\)

だから、傾き \(y’=3t^2-2\) が最小となるのは、絶対値が最も小さい \(t=-1\)

したがって①より接線\(l\)の方程式は
\(y=x-3\)

 

(2)

\(l:y=x-3\) と \(C:y=x^3-2x-5\) を連立するだけです。

\(y=x-3\)・・・②
\(y=x^3-2x-5\)・・・③

②,③より
\(x-3=x^3-2x-5\)
\(x^3-3x-2=0\)・・・④

④を\(x\)について解くことになりますが、一部の解は確定しています。
②は③に接していて、その\(x\)座標は(1)より、\(x=-1\) だから、\(x\)の方程式④は\(x=-1\)を解にもちます。(接しているので重解になる)

\((x+1)^2(x-2)=0\)

よって、接点以外の共有点の\(x\)座標は \(x=2\)
②より \(y=-1\)

したがって座標は
\((2,-1)\)

接線② 例題1

 

 

 

(例題2)
放物線 \(y=x^2+ax+b\) が 点\((2,2)\) を通り、かつ 直線 \(y=2x-2\) に接するように \(a,b\) の値を求めよ。また、そのときの接点の座標を求めよ。

 

 

 

もっと楽な方法もありますが、丁寧にやるために同様に接点を \((t,f(t))\) とおきます。

(解答)
\(y=x^2+ax+b\) において \((2,2)\) を通るから

\(2=4+2a+b\)・・・①

\(y’=2x+a\) より、接点を \((t,t^2+at+b)\) とおくと、接線の方程式は

\(y-(t^2+at+b)=(2t+a)(x-t)\)
整理して
\(y=(2t+a)x-t^2+b\)・・・②

②が \(y=2x-2\) となるから
\(2t+a=2\)・・・③
\(-t^2+b=-2\)・・・④

①③④から、\(a,b,t\) を決定します。

①より \(b=-2a-2\)
④に代入して
\(t^2+2a=0\)・・・⑤
⑤に③を代入して
\(t^2-4t+4=0\)
\((t-2)^2=0\)
\(t=2\)

③④より
\(a=-2\), \(b=2\)

また接点の座標は \((t,t^2+at+b)\) より
\((2,2)\)

 

 

(例題3)
放物線 \(y=x^2\) の動点を\(P\)とする。\(P\)におけるこの放物線の接線と\(y\)軸の交点を\(Q\)とする。\(P\)が原点と異なるとき、線分\(PQ\)の垂直二等分線は常に\(y\)軸上の定点を通ることを証明せよ。

 

 

動点\(P\)(接点)を \((t,t^2)\) とおいて、条件に沿って垂直二等分線の方程式を求めます。

(解答)

接線② 例題3

 

\(P(t,t^2)\) \((t≠0)\)とおく。

\(y’=2x\) より 点\(P\)における接線の方程式は
\(y=2t(x-t)+t^2\)・・・①

①で \(x=0\) とすると
\(y=-t^2\) だから
\(Q(0,-t^2)\)

\(P,Q\)の中点は \((\displaystyle\frac{t}{2},0)\) で
垂直二等分線の傾きは①に垂直であるから、\(-\displaystyle\frac{1}{2t}\)

よって垂直二等分線の方程式は
\(y=-\displaystyle\frac{1}{2t}(x-\displaystyle\frac{t}{2})\)・・・②

②が動点\(P\)の位置によらないで定点を通る、つまり②が\(t\)によらない定点を通ることを示します。\(t\)によらず②が成り立つ\(x,y\)を求めることになるので、\(t\)の恒等式とみて②を整理します。

②を\(t\)について整理すると
\(\displaystyle\frac{1}{2t}x+(y-\displaystyle\frac{1}{4})=0\)・・・③

\(x=0\), \(y=\displaystyle\frac{1}{4}\) のとき、③は\(t\)によらず成り立つ。

したがって垂直二等分線は\(t\)の値によらず、\(y\)軸上の定点 \((0,\displaystyle\frac{1}{4})\) を通る

 

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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