極小値と極大値の和・差

極値の和・差に関する問題について見ていきます。

 

(例題)
関数 \(f(x)=x^3-3ax^2+3bx\) の極大値と極小値の和および差がそれぞれ \(-18\), \(32\) であるとき、定数 \(a,b\) の値を求めよ。

 

 

極値をとる\(x\)を求めるために微分をしていきます。
\(f'(x)=0\) の解がキレイに求まらないので、異なる2実解を \(α,β\) として解と係数の関係を使っていくことになります。和と差 \(f(α)+f(β)\), \(f(α)-f(β)\) を最終的に \(a,b\) で表すことになりますが、その途中計算について
(解法1)割り算を使う方法  (解法2)対称式による計算
の2通りを紹介します。また(参考)で他の方についても検討していくので興味のある方は参考にしてください。

 

(解法1)割り算の利用
\(f(x)=x^3-3ax^2+3bx\) において

\(f'(x)=3(x^2-2ax+b)\)

極値をもつので、\(f'(x)=0\) が異なる2つの実数解をもつため
\(\displaystyle\frac{D}{4}>0\)
\(a^2-b>0\)・・・①

また、異なる実数解を \(α,β\) (\(α<β\)) とおくと、解と係数の関係から
\(α+β=2a\)・・・②
\(αβ=b\)・・・③

極大値は\(f'(x)\)が正から負に符号が変わるほうなので、小さいほうの解 \(x=α\) のときです。
②③を使って、\(f(α)+f(β)\), \(f(α)-f(β)\) を計算していきますが、そのまま代入するのではなく、\(f'(α)=f'(β)=0\) をうまく利用するために、\(f(x)\)を\(f'(x)\)で割って余り(1次式になる)で計算できるようにします(計算しやすいように\(f'(x)\)の最高次を1にして割ります)。 この割り算の方法は、解が虚数解や根号が混じった複雑な式のときなどにも使える解法です。

ここで、\(f(x)\) を \(\displaystyle\frac{1}{3}f'(x)\) で割ることにより次の等式が得られる。

\(f(x)=(x^2-2ax+b)(x-a)+2(b-a^2)x+ab\)

\(x^2-2ax+b=0\) の解が\(α,β\) だから
\(x=α\)のとき極大値となることに注意すると

\(f(α)=2(b-a^2)α+ab\) (極大値)
\(f(β)=2(b-a^2)β+ab\) (極小値)

よって条件より
\(f(α)+f(β)=2(b-a^2)(α+β)+2ab\)\(=-18\)・・・④
\(f(α)-f(β)=2(b-a^2)(α-β)\)\(=32\)・・・⑤

②③より
\((α-β)^2\)
\(=α^2+β^2-2αβ\)
\(=(α+β)^2-4αβ\)
\(=4a^2-4b\)

\(α-β<0\) だから
\(α-β=-2\sqrt{a^2-b}\)

したがって④⑤は
\(4(b-a^2)a+2ab\)\(=-18\)・・・⑥
\(4(a^2-b)^{\frac{3}{2}}\)\(=32\)・・・⑦

あとは\(a,b\)の連立方程式を解くだけです。

⑦より
\(a^2-b=4\)・・・⑧ (このとき \(a^2-b>0\)・・・① を満たす)

⑥に代入して
\(4\cdot(-4)\cdot a+2a(a^2-4)=-18\)
\(a^3-12a+9=0\)
\((a-3)(a^2+3a-3)=0\)

\(a=3,\displaystyle\frac{-3±\sqrt{21}}{2}\)

また⑧より\(b\)の値はそれぞれ
\(b=5,\displaystyle\frac{7\color{red}{∓}3\sqrt{21}}{2}\)

答 \((a,b)=(3,5),(\displaystyle\frac{-3+\sqrt{21}}{2},\displaystyle\frac{7-3\sqrt{21}}{2})\)\(,(\displaystyle\frac{-3-\sqrt{21}}{2},\displaystyle\frac{7+3\sqrt{21}}{2})\)

 

(解法2)対称式による計算

こちらは素直に \(f(x)\)に \(x=α,β\) を代入して計算する方法です。大部分が対称式になっているので、基本対称式でどんどん表していきます。

\(f(x)=x^3-3ax^2+3bx\) において

\(f'(x)=3(x^2-2ax+b)\)

極値をもつので、\(f'(x)=0\) が異なる2つの実数解をもつため
\(\displaystyle\frac{D}{4}>0\)
\(a^2-b>0\)・・・①

また、異なる実数解を \(α,β\) (\(α<β\)) とおくと、解と係数の関係から
\(α+β=2a\)・・・②
\(αβ=b\)・・・③

\(f(α)\)が極大値になるので

\(f(α)+f(β)\)
\(=\color{blue}{(α^3+β^3)}-3a(α^2+β^2)+3b(α+β)\)
\(=\color{blue}{(α+β)^3-3αβ(α+β)}-3a\{(α+β)^2-2αβ\}+3b(α+β)\)
(②③を代入して整理すると)
\(=-4a^3+6ab\)

\(f(α)-f(β)\)
\(=(α^3-β^3)-3a(α^2-β^2)+3b(α-β)\)
(\(α-β\) でくくって)
\(=(α-β)\{(α^2+αβ+β^2)-3a(α+β)+3b\}\)
\(=(α-β)\{(α+β)^2-αβ-3a(α+β)+3b\}\)
(②③を代入して整理すると)
\(=(α-β)(2b-2a^2)\)

したがって
\(-4a^3+6ab=-18\)
\(2(α-β)(b-a^2)=32\)

(これらは(解法1)の④⑤と同じで、以下(解法1)と同様になる)

 

(参考)
和については、
極大値と極小値は曲線上のある点(対称の中心)について対称なので、極大値と極小値の中点が、\(y=f(x)\)上にあることを利用すると

\(f(\displaystyle\frac{α+β}{2})=\displaystyle\frac{f(α)+f(β)}{2}\)・・・(1)

極値の和が\(-18\)
また、\(α+β=2a\) だから (1)より

\((a)^3-3a(a)^2+3b(a)=\displaystyle\frac{-18}{2}\)
よって和の方の条件式
\(-4a^3+6ab=-18\) が得られる。

 

差について定積分を利用すると、
\(f'(x)=0\) の解が\(α,β\)だから、因数定理より
\(f'(x)=3(x-α)(x-β)\) と表されることから

\(f(α)-f(β)=\left[f(x)\right]_β^{α}=\displaystyle\int_β^{α}f'(x)dx\)

\(=\displaystyle\int_β^{α}3(x-α)(x-β)dx\)

(\(\displaystyle\frac{1}{6}\)公式が使える)

\(=-\displaystyle\frac{3}{6}(α-β)^3\)

あとは、\(α-β\) を(解法1)のように\(a,b\)で表せば同じ条件式が得られる。

 

これらの方法は計算が格段に楽になります。
積分のほうは、わざわざ導関数の積分を考えていますが、\(\displaystyle\frac{1}{6}\) 公式が使える形になるので計算が楽になっています。

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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