高次導関数

高次導関数の基礎について見ていきます。

 

・高次導関数
(以下 微分可能であることを前提とします)

関数 \(y=f(x)\) の導関数 \(f'(x)\) (第1次導関数ともよぶ) をさらに微分することで得られる導関数を、\(f(x)\) の第2次導関数といいます。第2次導関数の表し方は次のようになります。

\(y^{\prime\prime}\)、 \(f^{\prime\prime}(x)\)、 \(\displaystyle\frac{d^2y}{dx^2}\)、 \(\displaystyle\frac{d^2}{dx^2}f(x)\)

第2次導関数は、\(\displaystyle\frac{dy}{dx}\) を\(x\)で微分するということなので
\(y^{\prime\prime}=\displaystyle\frac{d}{dx}(\displaystyle\frac{dy}{dx})\)
と表すこともあります。この右辺の文字を形式的にまとめると、\(\displaystyle\frac{d^2y}{(dx)^2}\) となるので、これに対応するように、\(\displaystyle\frac{d^2y}{dx^2}\) が第2次導関数の表し方になっています。

また、第2次導関数の導関数を\(f(x)\)の第3次導関数といい、同様に次のように表します。

\(y^{\prime\prime\prime}\)、 \(f^{\prime\prime\prime}(x)\)、 \(\displaystyle\frac{d^3y}{dx^3}\)、 \(\displaystyle\frac{d^3}{dx^3}f(x)\)

一般に、関数 \(y=f(x)\) を\(n\)回微分することで得られる導関数を、\(f(x)\)の第\(n\)次導関数といい

\(y^{(n)}\)、 \(f^{(n)}(x)\)、 \(\displaystyle\frac{d^ny}{dx^n}\)、 \(\displaystyle\frac{d^n}{dx^n}f(x)\)

で表します。(前半2つは、\(\prime\) の数が多すぎるので\((n)\)で表す)

したがって、\(y’,y^{\prime},y^{\prime\prime\prime}\) は、\(y^{(1)},y^{(2)},y^{(3)}\) とも表されます。なお、もとの関数 \(y=f(x)\) については、\(y^{(0)}\) と表されることがあります。

そして、第2次以上の導関数はまとめて高次導関数とよばれます。

 

第2次導関数は、グラフの凹凸を調べたり、加速度を求めるのに利用します。(3次以上については高校数学ではあまり使わないかもしれませんが、問題ではたまに出てきます)

 

 

(例題)
(1)関数 \(y(x)\) が第2次導関数 \(y^{\prime\prime}(x)\) をもち、
\(x^3+(x+1)\{y(x)\}^3=1\) を満たすとき、\(y^{\prime\prime}(0)\) を求めよ。

(2)\(y=\cos x\)  (\(0≦x≦π\)) の逆関数を \(y=f(x)\) とおく。\(x=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) における、\(f(x)\) の第2次導関数の値 \(f^{\prime\prime}(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2})\) はいくらか。

 

 

(解答)
(1)

第2次導関数をもつので、第1次導関数をもつとしてよいでしょう。
与えられた等式を\(x\)で微分していきますが、等式は自由に使っていいので、\(x=0\) を代入して\(y(0)\)などの値を求めていきます。

\(x^3+(x+1)\{y(x)\}^3=1\)・・・①

①の両辺を\(x\)で微分すると
\(3x^2+1\cdot\{y(x)\}^3+(x+1)\cdot3\{y(x)\}^{2}\cdot y'(x)=0\)・・・②

②の両辺をさらに\(x\)で微分すると(後半は3つの積の微分を利用して)
\(6x+3\{y(x)\}^2\cdot y'(x)\)
\(+1\cdot3\{y(x)\}^{2}\cdot y'(x)+(x+1)\cdot6\{y(x)\}\cdot y'(x)\cdot y'(x)+(x+1)\cdot3\{y(x)\}^{2}\cdot y^{\prime\prime}(x)=0\)・・・③

③に\(x=0\)を代入すると、\(y^{\prime\prime}(0)\) を含む式になります。よって\(y(0)\)と\(y^{\prime}(0)\)が分かれば、\(y^{\prime\prime}(0)\) が求まるので、①②よりこれらを求めます。

ここで①に\(x=0\)を代入して
\(\{y(0)\}^3=1\)
左辺によせて因数分解すると
\(\{y(0)-1\}\{(y(0))^2+y(0)+1\}=0\)
\(y(0)\)は実数だから
\(y(0)=1\)

また②に\(x=0\)を代入して
\(\{y(0)\}^3+3\{y(0)\}^{2}\cdot y'(0)=0\)
よって
\(1+3y'(0)=0\)
\(y'(0)=-\displaystyle\frac{1}{3}\)

ゆえに③に\(x=0\)を代入すると
\(3\{y(0)\}^2\cdot y'(0)\)
\(+3\{y(0)\}^{2}\cdot y'(0)+6y(0)\cdot\{y'(0)\}^2+3\{y(0)\}^{2}\cdot y^{\prime\prime}(0)=0\)

したがって
\(-1-1+\displaystyle\frac{6}{9}+3y^{\prime\prime}(0)=0\)

\(y^{\prime\prime}(0)=\displaystyle\frac{4}{9}\)

 

(2)

逆関数が具体的に分からないので、逆関数の微分を利用します。

逆関数 \(y=f(x)\) の方程式は
\(x=\cos y\)・・・(i) (\(0≦y≦π\))

(i)を\(y\)で微分して
\(\displaystyle\frac{dx}{dy}=-\sin y\)

よって
\(\displaystyle\frac{dy}{dx}=-\displaystyle\frac{1}{\sin y}\)・・・(ii)

(i)を利用すると、\(\displaystyle\frac{dy}{dx}=-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}\) と求まるので、あとはこれをさらに微分(\(x\)で微分)してもOKですが、今回はあえて\(y\)の式のままで進めたいと思います。

(ii)の両辺を\(x\)で微分すると、右辺は合成関数の微分を利用して
\(\displaystyle\frac{d^2y}{dx^2}=\displaystyle\frac{d}{dy}(-\displaystyle\frac{1}{\sin y})\cdot\displaystyle\frac{dy}{dx}\)

(ii)も用いると
\(\displaystyle\frac{d^2y}{dx^2}=-(\displaystyle\frac{-\cos y}{\sin^2y})\cdot(-\displaystyle\frac{1}{\sin y})\)

\(=-\displaystyle\frac{\cos y}{\sin^3y}\)

\(f^{\prime\prime}(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2})\) が求めたいものですが、これは \(x=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) における値、つまり \(x\) に対する値です。今求めた第2次導関数は\(y\)の式なので、対応する\(y\)を求めておきます。

\(x=\cos y\)・・・(i)
に \(x=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) を代入して
\(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}=\cos y\)

\(0≦y≦π\) だから
\(y=\displaystyle\frac{π}{6}\)

したがって
\(f^{\prime\prime}(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2})=-\displaystyle\frac{\cos \displaystyle\frac{π}{6}}{\sin^3\displaystyle\frac{π}{6}}\)

\(=-4\sqrt{3}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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