条件付き最大・最小値②(円の媒介変数)

引き続き条件付き最大最小値に関する問題です。
今回は条件式が円周上の点である場合です。

 

(例題)
正の数 \(x,y\) が \(x^2+y^2=1\) を満たして変わるとき、\(x^5+y^5\) の値の範囲を求めよ。

 

 

 

文字2つの条件式1個なので\(x^5+y^5\)は実質1変数関数ですが、ダイレクトな文字消去は難しく、\(x^5+y^5=k\) などとしてもダメそうです。
そこで条件式が半径1の円(単位円)を表していることから、\(x=\cosθ\), \(y=\sinθ\) とおける(しかも1変数になる)ことに着目します。なお \(x,y\) が正の数なので、\(0<θ<90°\) です。

(解答)
正の数 \(x,y\) が \(x^2+y^2=1\) を満たしているので

\(x=\cosθ\), \(y=\sinθ\) (\(0<θ<90°\))

とおける。

対称式 \(x^5+y^5\) は、基本対称式 \(x+y\), \(xy\) で表すことができ、\(x^2+y^2=1\) より、\(x+y\) を \(t\) とおくことで、\(xy\)を\(t\)で表します。
(\(xy\)のほうを文字でおくと\(x+y\)がルートつきになり面倒)
最終的に \(x^5+y^5\) が\(t\) の関数になるので、\(t(=x+y)\) の範囲も求めておきます。

ここで
\(x+y=t\) とおくと
\(x^2+y^2=(x+y)^2-2xy\) より
\(1=t^2-2xy\)
\(xy=\displaystyle\frac{t^2-1}{2}\)

\(xy\) が\(t\)で表せたので、次に\(t\)の範囲を求めていきます。

また、
\(t=\cosθ+\sinθ=\sqrt{2}\sin(θ+45°)\) より
\(45°<θ+45°<135°\) だから
\(1<t≦\sqrt{2}\)

最後に \(x^5+y^5\) を \(x+y\), \(xy\) で表していきます。

よって
\(x^5+y^5\)
\(=\color{blue}{(x^3+y^3)}(x^2+y^2)-x^2y^2(x+y)\)
\(=\color{blue}{(x+y)(x^2-xy+y^2)}\cdot1-(xy)^2(x+y)\)
\(=t(1-\displaystyle\frac{t^2-1}{2})-(\displaystyle\frac{t^2-1}{2})^2\cdot t\)

\(=-\displaystyle\frac{1}{4}t^5+\displaystyle\frac{5}{4}t\)

\(t\)の5次式なので、微分して最大最小値を求めます。

\(f(t)=-\displaystyle\frac{1}{4}t^5+\displaystyle\frac{5}{4}t\) (\(1<t≦\sqrt{2}\))
とおくと

\(f'(t)=\displaystyle\frac{5}{4}(1-t^4)\)
\(=\displaystyle\frac{5}{4}(1+t^2)(1-t^2)<0\) (\(∵ 1-t^2<0\))

したがって、\(f(t)\)は単調減少するから
\(f(\sqrt{2})≦f(t)<f(1)\)
\(\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{4}≦x^5+y^5<1\)

 

結局三角関数の置き換えは、\(t=x+y\) の範囲を出すことにしか使っておらず、
\(x^5+y^5\) は \(t(=x+y)\) の関数 として扱っているので、\(t=x+y\)の範囲を出すところを別の方法でやっても解答の内容に大差はないです。(例えば 4分の1円 (第1象限) と 直線 \(x+y=t\) の共有点をもつときを図示する、和と積 \(x+y\), \(xy\) から2次方程式が正の実数解をもつ条件を調べるなど)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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