極値を持つ条件

極値をもつ条件に関する例題です。
ポイントは導関数の符号の変化です。

 

(例題)
\(k\)を正の定数とする。関数
\(f(x)=\displaystyle\frac{1}{x}-\displaystyle\frac{k}{(x+1)^2}\) (\(x>0\))
\(g(x)=\displaystyle\frac{(x+1)^3}{x^2}\) (\(x>0\))
について

(1)\(\displaystyle\lim_{x \to +0}g(x)\)、\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}g(x)\) をそれぞれ求めよ。
(2)\(g(x)\)の増減を調べよ。
(3)\(f(x)\)が極値をもつような定数\(k\)の値の範囲を求めよ。
(4)\(f(x)\)が\(x=a\)で極値をとるとき、極値\(f(a)\)を\(a\)だけの式で表せ。
(5)\(k\)が(3)で求めた範囲にあるとき、\(f(x)\)の極大値は\(\displaystyle\frac{1}{8}\)より小さいことを示せ。

 

主役は関数\(f(x)\)ですが、誘導として\(g(x)\)の変化が聞かれています。おそらく\(f'(x)\)と関係があるのでしょう。まずは(1)(2)で\(g(x)\)のグラフをイメージします。

(1)
\(\displaystyle\lim_{x \to +0}\displaystyle\frac{(x+1)^3}{x^2}=+\infty\) (\(\displaystyle\frac{1}{+0}\) より)

\(\displaystyle\lim_{x \to \infty}\displaystyle\frac{(x+1)^3}{x^2}\)\(=\displaystyle\lim_{x \to \infty}(x+3+\displaystyle\frac{3}{x}+\displaystyle\frac{1}{x^2})\)\(=+\infty\)

(2)
\(g(x)=\displaystyle\frac{(x+1)^3}{x^2}\)  (\(x>0\))
を微分して
\(g'(x)=\displaystyle\frac{3(x+1)^2\cdot x^2-(x+1)^3\cdot2x}{x^4}\)

\(=\displaystyle\frac{(x+1)^2(x-2)}{x^3}\)

よって増減表は次の通り。

極値持つ条件 例題1-1

 

(3)

\(f(x)\)を微分して、導関数の符号の変化がある\(k\)の条件を求めます。
\(f'(x)\)をうまく変形すると、\(g(x)\)が出てきます。

\(f(x)=\displaystyle\frac{1}{x}-\displaystyle\frac{k}{(x+1)^2}\) (\(x>0\))

微分して
\(f'(x)=-\displaystyle\frac{1}{x^2}+\displaystyle\frac{2k}{(x+1)^3}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{(x+1)^3}\cdot\left\{2k-\displaystyle\frac{(x+1)^3}{x^2}\right\}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{(x+1)^3}\cdot\{2k-g(x)\}\)

極値を持つ条件 例題1-2

\(f(x)\)が極値をもつためには、\(f'(x)\)の符号の変化があればよい。
\(y=2k\)、\(y=g(x)\) のグラフより、これらが異なる2点で交わればよいので
\(2k>\displaystyle\frac{27}{4}\)
したがって
\(k>\displaystyle\frac{27}{8}\)

1点で交わる \(2k=\displaystyle\frac{27}{4}\) だと\(f'(x)=0\)となる\(x\)は存在しますが(\(x=2\))、符号の変化がないので極値をもちません。

 

(4)

\(x=a\) で極値をもつので、\(f'(a)=0\) です。
つまり、\(2k-g(a)=0\) であり、この式から\(k\)を消去できます。

\(f'(a)=0\) だから(3)より
\(2k-g(a)=0\)
つまり
\(k=\displaystyle\frac{(a+1)^3}{2a^2}\)

よって
\(f(a)=\displaystyle\frac{1}{a}-\displaystyle\frac{k}{(a+1)^2}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{a}-\displaystyle\frac{1}{(a+1)^2}\cdot\displaystyle\frac{(a+1)^3}{2a^2}\)

\(=\displaystyle\frac{a-1}{2a^2}\)

 

(5)

(3)のグラフの2交点の\(x\)座標を小さい順に \(x=α,β\) とおくと、極大値をとるのは\(2k-g(x)\) の符号が正から負に変わるほうなので、\(x=β\) です。(\(x=α\) では極小値になる)
また、\(β\)はどんな値でもよいわけではなく、グラフより\(β>2\)という制限がつきます。あとはこの制限のもとで(4)で求めた式のとりうる値を考えるだけです。

極値をもつ条件 例題1-3

グラフの2交点の\(x\)座標を \(x=α,β\)  (\(α<β\)) とおく。
\(2k-g(x)\) の符号が正から負に変わる境目は \(x=β\) のときで、このとき極大値\(f(β)\)をとる。

また、\(k>\displaystyle\frac{27}{8}\) のとき、グラフより \(β>2\)

(4)より
\(f(β)=\displaystyle\frac{β-1}{2β^2}\)

微分して増減を考えてもよいですが、2次関数とみて平方完成すると楽です。

\(=\displaystyle\frac{1}{2}\left\{-\displaystyle\frac{1}{β^2}+\displaystyle\frac{1}{β}\right\}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}\left\{-(\displaystyle\frac{1}{β}-\displaystyle\frac{1}{2})^2+\displaystyle\frac{1}{4}\right\}\)

\(=-\displaystyle\frac{1}{2}(\displaystyle\frac{1}{β}-\displaystyle\frac{1}{2})^2+\displaystyle\frac{1}{8}\)

\(β>2\) より \(0<\displaystyle\frac{1}{β}<\displaystyle\frac{1}{2}\) だから

\(f(β)<\displaystyle\frac{1}{8}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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