グラフの増減と高次導関数

1回微分しただけではグラフの増減が分からない場合には、さらに微分していくことでうまくいく場合があります。

 

(例題)
関数 \(f(t)=\displaystyle\frac{t\log t}{t^2-1}\)
は、\(t>1\) においてつねに減少することを示せ。

 

目標は、\(f'(t)<0\) を示すことです。

(解答)
\(f(t)=\displaystyle\frac{t\log t}{t^2-1}\) (\(t>1\))

\(f'(t)=\displaystyle\frac{(\log t+1)(t^2-1)-(t\log t)\cdot2t}{(t^2-1)^2}\)

\(=\displaystyle\frac{t^2-1-(t^2+1)\log t}{(t^2-1)^2}\)

\(f'(t)\)の分子の式が複雑で、これだけでは増減がよく分かりません。
そこで分母は正の値なので、分子についてさらに微分することを考えます。
そのまま微分しても解けますが(別解参照、複数回微分が必要)、\(\log t\) に掛かっている\((t^2+1)\) が邪魔なので、これでくくりだすと楽になります。

\(=\displaystyle\frac{(t^2+1)(\displaystyle\frac{t^2-1}{t^2+1}-\log t)}{(t^2-1)^2}\)

\(g(t)=\displaystyle\frac{t^2-1}{t^2+1}-\log t\)

とおくと、\(g(t)\)と\(f'(t)\)の符号は同じ。

\(g'(t)=\displaystyle\frac{2t(t^2+1)-(t^2-1)\cdot2t}{(t^2+1)^2}-\displaystyle\frac{1}{t}\)

\(=\displaystyle\frac{4t^2-(t^2+1)^2}{t(t^2+1)^2}\)

\(=\displaystyle\frac{-(t^4-2t^2+1)}{t(t^2+1)^2}\)

\(=\displaystyle\frac{-(t^2-1)^2}{t(t^2+1)^2}\)

よって \(t>1\) において、\(g'(t)<0\) となるから、\(g(t)\)は単調減少
\(g(1)=0\) より、\(g(t)<0\)
つまり \(f'(t)<0\) となるから、\(f(t)\)は \(t>1\) において常に減少する

 

(別解)
\(f'(t)=\displaystyle\frac{t^2-1-(t^2+1)\log t}{(t^2-1)^2}\)

\(h(t)=t^2-1-(t^2+1)\log t\)
とおくと

\(h'(t)=2t-2t\log t-(t^2+1)\cdot\displaystyle\frac{1}{t}\)

\(=t-2t\log t-\displaystyle\frac{1}{t}\)

\(h”(t)=1-2\log t-2+\displaystyle\frac{1}{t^2}\)

\(=\displaystyle\frac{1-t^2-2t^2\log t}{t^2}\)

\(t>1\) において、\(1-t^2<0\)、\(-2t^2\log t<0\) だから
\(h”(t)<0\)。これと \(h'(1)=0\) より \(h'(t)<0\)
また \(h(1)=0\) だから、\(h(t)<0\)

\(h(t)\)と\(f'(t)\)の符号は同じなので、\(f'(t)<0\)
したがって、\(t>1\)において\(f(t)\)は常に減少する

 

 

以上なります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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