ド・モアブルの定理と実数条件・整数問題

ド・モアブルの定理を利用した実数条件などの問題について見ていきます。

 

(例題1)
\(a\)は正の実数で、複素数
\(z=\displaystyle\frac{(1+i)^3(a-i)^2}{\sqrt{2}(a-3i)^2}\)
は、\(|z|=\displaystyle\frac{2}{3}\) を満たす。

(1)\(a\)の値を求めよ。また\(z\)を極形式で表せ。(偏角\(θ\)は \(0≦θ<2π\) とする)
(2)\(z^n\)が実数となるような自然数\(n\)の最小値を求めよ。またそのときの\(z^n\)の値を求めよ。

 

(解答)
(1)

まずは、\(|z|=\displaystyle\frac{2}{3}\) より\(a\)を求めます。
(1)(2)のどちらもド・モアブルの定理を駆使していきます。

\(a\)は実数であるから
\(|z|=\displaystyle\frac{|1+i|^3|a-i|^2}{\sqrt{2}|a-3i|^2}\)

\(=\displaystyle\frac{(\sqrt{2})^3(a^2+1)}{\sqrt{2}(a^2+9)}\)

\(|z|=\displaystyle\frac{2}{3}\) より
\(\displaystyle\frac{2(a^2+1)}{a^2+9}=\displaystyle\frac{2}{3}\)
よって
\(3(a^2+1)=a^2+9\)
\(a^2=3\)
\(a>0\) より
\(a=\sqrt{3}\)

ゆえに
\(z=\displaystyle\frac{(1+i)^3(\sqrt{3}-i)^2}{\sqrt{2}(\sqrt{3}-3i)^2}\)

(分母分子を極形式で表して整理していきます)

\(=\displaystyle\frac{\left\{\sqrt{2}(\cos\displaystyle\frac{π}{4}+i\sin\displaystyle\frac{π}{4})\right\}^3\left\{2\left(\cos(-\displaystyle\frac{π}{6})+i\sin(-\displaystyle\frac{π}{6})\right)\right\}^2}{\sqrt{2}\left\{2\sqrt{3}\left(\cos(-\displaystyle\frac{π}{3})+i\sin(-\displaystyle\frac{π}{3})\right)\right\}^2}\)

\(=\displaystyle\frac{2}{3}\cdot\displaystyle\frac{(\cos\displaystyle\frac{3π}{4}+i\sin\displaystyle\frac{3π}{4})\left(\cos(-\displaystyle\frac{π}{3})+i\sin(-\displaystyle\frac{π}{3})\right)}{\cos(-\displaystyle\frac{2π}{3})+i\sin(-\displaystyle\frac{2π}{3})}\)

(\(\displaystyle\frac{3π}{4}-\displaystyle\frac{π}{3}+\displaystyle\frac{2π}{3}=\displaystyle\frac{13}{12}π\) だから)

\(=\displaystyle\frac{2}{3}(\cos\displaystyle\frac{13}{12}π+i\sin\displaystyle\frac{13}{12}π)\)

 

(2)
(1)の結果から
\(z^n=(\displaystyle\frac{2}{3})^n(\cos\displaystyle\frac{13n}{12}π+i\sin\displaystyle\frac{13n}{12}π)\)

\(z^n\)が実数になるためには、虚部が\(0\)になればよいので
\(\displaystyle\frac{13n}{12}π\) が \(π\) の整数倍になればよい。
よって、自然数\(n\)の最小値は \(n=12\)

このとき
\(z^{n}=(\displaystyle\frac{2}{3})^{12}(\cos13π+i\sin13π)\)

\(=-(\displaystyle\frac{2}{3})^{12}\)

 

 

 

(例題2)
複素数
\(α=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}+\displaystyle\frac{1}{2}i\),  \(β=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}+\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}i\)
が与えられている。

(1)\(-2i=α^{n}(1+\sqrt{3}i)\) となるような自然数\(n\)のうちで最小のものを求めよ。
(2)\(-2i=α^{n}β^{m}(1+\sqrt{3}i)\) となるような自然数の組 \((n,m)\) のうちで、\(n+m\) が最小となるものを求めよ。

 

もちろんド・モアブルの定理を利用しますが、今回は整数の色合いが強い問題になっています。

(解答)
(1)
\(-2i=(\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}+\displaystyle\frac{1}{2}i)^{n}(1+\sqrt{3}i)\) より

\(2(\cos\displaystyle\frac{3π}{2}+i\sin\displaystyle\frac{3π}{2})=(\cos\displaystyle\frac{π}{6}+i\sin\displaystyle\frac{π}{6})^n\cdot2(\cos\displaystyle\frac{π}{3}+i\sin\displaystyle\frac{π}{3})\)

\(\cos\displaystyle\frac{3π}{2}+i\sin\displaystyle\frac{3π}{2}=(\cos\displaystyle\frac{nπ}{6}+i\sin\displaystyle\frac{nπ}{6})(\cos\displaystyle\frac{π}{3}+i\sin\displaystyle\frac{π}{3})\)

\(\cos\displaystyle\frac{3π}{2}+i\sin\displaystyle\frac{3π}{2}=\cos(\displaystyle\frac{nπ}{6}+\displaystyle\frac{π}{3})+i\sin(\displaystyle\frac{nπ}{6}+\displaystyle\frac{π}{3})\)

偏角を比較しますが、\(2kπ\) のズレが生じることがあることに注意です。

よって、\(k\)を整数として
\(\displaystyle\frac{3π}{2}+2kπ=\displaystyle\frac{nπ}{6}+\displaystyle\frac{π}{3}\)
整理すると
\(n=7+12k\)

したがって最小の自然数\(n\)は、\(k=0\) として
\(n=7\)

 

(2)
\(-2i=α^{n}β^{m}(1+\sqrt{3}i)\)

\(β=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}+\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}i=\cos\displaystyle\frac{π}{4}+i\sin\displaystyle\frac{π}{4}\)
だから、(1)の途中式を利用すると

\(\cos\displaystyle\frac{3π}{2}+i\sin\displaystyle\frac{3π}{2}=(\cos\displaystyle\frac{mπ}{4}+i\sin\displaystyle\frac{mπ}{4})\left(\cos(\displaystyle\frac{nπ}{6}+\displaystyle\frac{π}{3})+i\sin(\displaystyle\frac{nπ}{6}+\displaystyle\frac{π}{3})\right)\)

よって
\(\cos\displaystyle\frac{3π}{2}+i\sin\displaystyle\frac{3π}{2}=\cos(\displaystyle\frac{mπ}{4}+\displaystyle\frac{nπ}{6}+\displaystyle\frac{π}{3})+i\sin(\displaystyle\frac{mπ}{4}+\displaystyle\frac{nπ}{6}+\displaystyle\frac{π}{3})\)

となるから、\(l\)を整数として
\(\displaystyle\frac{3π}{2}+2lπ=\displaystyle\frac{mπ}{4}+\displaystyle\frac{nπ}{6}+\displaystyle\frac{π}{3}\)
整理して
\(2n+3m=14+24l\)・・・①

先ほどより1つ文字が増えていて少し難しくなってますが、①を満たすような\(n,m\)(自然数)のうち \(n+m\) が最小となるものを探すので、なるべく\(n,m\)が小さくなるようにすればよく、とりあえず\(l=0\)で探ります。

\(n,m\)は自然数なので、①より \(l≧0\)

(ア)\(l=0\) のとき
\(2n+3m=14\) (1次不定方程式)

解き方は色々あると思いますが(互除法など)、\(2\)でくくる方法でやりたいと思います。

\(3m=2(7-n)\)・・・②
\(2\)と\(3\)は互いに素なので、\(7-n\)は\(3\)の倍数。
よって、\(n=1,4\) だから、②からそれぞれ対応する\(m\)を求めて
\((n,m)=(1,4),\ (4,2)\)
このうち \(m+n\) が最小となるのは
\((n,m)=(1,4)\) (\(n+m=5\))

ほとんどこれで正解ですが、\(l≧1\) のときの検討もするのを忘れずに。

(イ)\(l≧1\) のとき
①より \(2n+3m≧38\)・・・③
(自然数\(n,m\)が③を満たすには \(n+m>5\) となることを示します)
ここで、\(n+m≦5\) となるには \(n≦5,m≦5\) が必要で、このとき
\(2n+3m≦10+15≦25\)
だから、③を満たす自然数\(n,m\)は、\(n+m>5\) とならなければならない。
したがって \(l≧1\) の場合には \(n+m\) は最小とならない。

以上より
\((n,m)=(1,4)\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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