解の範囲を複素数まで考えた場合の2次方程式についてみていきます。
・2次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の解き方 (\(a,b,c\)は実数)
②\(k>0\)とする。
\(x^2=k\) の解は \(x=±\sqrt{k}\)
\(x^2=-k\) の解は \(x=±\sqrt{k}i\)
③解の公式の利用
\(x=\displaystyle\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)
(解説)
②
\(x^2=-k\) について、解は2乗すると\(-k\)(負の数)になる数なので、\(-k\)の平方根。
つまり\(x=±\sqrt{k}i\)
結局\(x^2=k\)のときと同じように、\(x=±\sqrt{-k}\)とできることになる。・・・(※)
③について、解の公式は複素数まで考えた場合においても成り立ちます。
\(ax^2+bx+c=0\) (\(a≠0)\) のとき、両辺\(a\)で割り、左辺を平方完成して整理すると
\((x+\displaystyle\frac{b}{2a})^2=\displaystyle\frac{b^2-4ac}{4a^2}\)
ここで(※)より、\(b^2-4ac\)が負であっても平方根を求めることができ
\(x+\displaystyle\frac{b}{2a}=±\sqrt{\displaystyle\frac{b^2-4ac}{4a^2}}\)
\(x+\displaystyle\frac{b}{2a}=±\displaystyle\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{\sqrt{4a^2}}\)・・・(注)
\(x+\displaystyle\frac{b}{2a}=±\displaystyle\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2|a|}\)
ここで、
\(a>0\)のとき \(2|a|=2a\)
\(a<0\)のとき \(2|a|=-2a\) だから
\(a\)の正負に関係せず
\(x+\displaystyle\frac{b}{2a}=±\displaystyle\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)
よって
\(x=\displaystyle\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\)
特に\(x\)の係数が\(2×□\)のとき、\(b=2b’\)とすると
\(x=\displaystyle\frac{-2b’±\sqrt{4b’^2-4ac}}{2a}\)
\(=\)\(\displaystyle\frac{-b’±\sqrt{b’^2-ac}}{a}\)
一般に複素数の範囲では \(\sqrt{\displaystyle\frac{q}{p}}=\displaystyle\frac{\sqrt{q}}{\sqrt{p}}\) は成り立ちませんが、\(p>0\)のときは成り立ちます。
(ア)\(q≧0\)のときは両辺実数であり成り立つ
(イ)\(q<0\)のときは
(左辺)\(=\sqrt{\displaystyle\frac{-q}{p}・(-1)}=\sqrt{\displaystyle\frac{-q}{p}}i\)\(=\displaystyle\frac{\sqrt{-q}}{\sqrt{p}}i\)
(右辺)\(=\displaystyle\frac{\sqrt{-q・(-1)}}{\sqrt{p}}\)\(=\displaystyle\frac{\sqrt{-q}}{\sqrt{p}}i\)
(\(-q>0\) より)
(例題)次の2次方程式を解け。
(1)\(4x^2=-1\)
(2)\(2x(3-x)=2x+3\)
(3)\((\sqrt{2}-1)x^2+x+(\sqrt{2}+1)=0\)
(解答)
(1)
\(x^2=-\displaystyle\frac{1}{4}\)
よって
\(x=±\sqrt{\displaystyle\frac{1}{4}}i\)
\(x=±\displaystyle\frac{1}{2}i\)
(2)
\(6x-2x^2=2x+3\) より
\(2x^2-4x+3=0\)
解の公式から \(b’=-2\)として
\(x=\displaystyle\frac{2±\sqrt{4-6}}{2}\)
\(=\)\(\displaystyle\frac{2±\sqrt{2}i}{2}\)
(3)
\(x^2\)の係数を簡単にする方法をとると
両辺に\(\sqrt{2}+1\)をかけて
\(x^2+(\sqrt{2}+1)x+(\sqrt{2}+1)^2=0\)
解の公式から
\(x=\displaystyle\frac{-(\sqrt{2}+1)±\sqrt{(\sqrt{2}+1)^2-4(\sqrt{2}+1)^2}}{2}\)
\(=\displaystyle\frac{-(\sqrt{2}+1)±\sqrt{-3(\sqrt{2}+1)^2}}{2}\)
\(=\displaystyle\frac{-(\sqrt{2}+1)±\sqrt{3}(\sqrt{2}+1)i}{2}\)
\(=\)\(\displaystyle\frac{-(\sqrt{2}+1)±(\sqrt{6}+\sqrt{3})i}{2}\)
※与式のまま解の公式を利用すると
\((\sqrt{2}-1)x^2+x+(\sqrt{2}+1)=0\) より
\(x=\displaystyle\frac{-1±\sqrt{1-4・1}}{2(\sqrt{2}-1)}\)
\(=\displaystyle\frac{-1±\sqrt{3}i}{2(\sqrt{2}-1)}\)
\(=\displaystyle\frac{(-1±\sqrt{3}i)(\sqrt{2}+1)}{2(\sqrt{2}-1)(\sqrt{2}+1)}\)
\(=\displaystyle\frac{-(\sqrt{2}+1)±\sqrt{3}(\sqrt{2}+1)i}{2}\)
\(=\)\(\displaystyle\frac{-(\sqrt{2}+1)±(\sqrt{6}+\sqrt{3})i}{2}\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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