解と係数の関係を利用する2次方程式の2解が、ともに正・ともに負・異符号である条件を応用させて、「ある実数\(k\)より」①ともに大きい・②ともに小さい・③一方は大きく一方は小さい条件を考えていきます。
・2次方程式の実数解\(α,β\)と実数\(k\)の大小
実数係数2次方程式 \(ax^2+bx+c=0\) の2つの実数解を\(α,β\)、判別式を\(D\)、\(k\)を実数とすると以下のことが成り立ちます。
\(\leftrightarrow\) \(D≧0\), \((α-k)+(β-k)>0\), \((α-k)(β-k)>0\)
②ともに\(k\)より小さい:\(α<k,β<k\)
\(\leftrightarrow\) \(D≧0\), \((α-k)+(β-k)<0\), \((α-k)(β-k)\)\(>0\)
③\(k\)が\(α,β\)の間 \(\leftrightarrow\) \((α-k)(β-k)<0\)
(解説)
\(α>k\) \(\leftrightarrow\) \(α-k>0\)
\(α=k\) \(\leftrightarrow\) \(α-k=0\)
\(α<k\) \(\leftrightarrow\) \(α-k<0\)
なので、\(α,β\)と\(k\)の大小は、\(α-k,β-k\)の正負を考えればよいことになります。
つまり、\(α-k=α’\), \(β-k=β’\) とすれば、\(α’,β’\)の正負の関係に帰着でき、上の通りになります。
なお細かい議論ですが、
①の(\(←\))について
\((α-k)+(β-k)>0\), \((α-k)(β-k)>0\) の条件だけだと、\(α-k=2+i\),\(β-k=2-i\)のような虚数である可能性がでてきますが、\(D≧0\)より\(α,β\)は実数で、\(k\)も実数だから\(α-k,β-k\)は実数となります。
③の(\(←\))について\(D>0\)が不要な点について
\((α-k)(β-k)<0\) のとき \(k^2-(α+β)k+αβ<0\) で、解と係数の関係より
\(k^2+\displaystyle\frac{b}{a}k+\displaystyle\frac{c}{a}<0\)・・・(ア)
\(k\)は実数なので、(ア)を満たす実数\(k\)が存在するとき \(f(k)=k^2+\displaystyle\frac{b}{a}k+\displaystyle\frac{c}{a}\) のグラフが\(k\)軸と異なる2点で交わるので
判別式 \(D’=(\displaystyle\frac{b}{a})^2-4・\displaystyle\frac{c}{a}>0\)
整理すると \(D’=\displaystyle\frac{b^2-4ac}{a^2}>0\) だから
\(b^2-4ac>0\) であり、\(D>0\)が導かれるので条件に\(D>0\)は不要です。
(例題)
\(a\)を実数とするとき \(x\)の方程式\(x^2-2ax+2a^2-5=0\) の解について
(1)2つの解がともに1より大きいときの\(a\)の値の範囲を求めよ。
(2)1つは1より大きく、1つは1より小さいときの\(a\)の値の範囲を求めよ。
(解答)
解と係数の関係から
\(α+β=2a\), \(αβ=2a^2-5\)
(1)
2解がともに1より大きい条件は
\(D≧0\), \((α-1)+(β-1)>0\), \((α-1)(β-1)>0\)
\(\displaystyle\frac{D}{4}=a^2-(2a^2-5)\)\(=-a^2+5≧0\) より
\(-\sqrt{5}≦a≦\sqrt{5}\)・・・②
\((α-1)+(β-1)=α+β-2=2a-2>0\) より
\(a>1\)・・・③
\((α-1)(β-1)=αβ-(α+β)+1=2a^2-5-2a+1\)\(=2a^2-2a-4>0\) より
\(a^2-a-2>0\) \((a-2)(a+1)>0\) から
\(a<-1\) または \(a>2\)・・・④
②③④の共通範囲を考えて
\(2<a≦\sqrt{5}\)
(2)
求める条件は
\((α-1)(β-1)<0\)
\(αβ-(α+β)+1\)\(=2a^2-2a-4<0\) より
\(a^2-a-2<0\) \((a-2)(a+1)<0\)だから
\(-1<a<2\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。