その他2解の条件について

 

そのほかの解の配置問題の、解と係数の関係を用いた解法について見ていきます。

 

(例題1)
2次方程式 \(ax^2+3ax+1=0\) のすべての解が \(-3≦x≦3\)の範囲に存在するとき、
実数の定数\(a\)のとる値の範囲を求めよ。

 

2解を\(α,β\)とすると、\(-3≦α≦3\),\(-3≦β≦3\) です。
ここでこの条件を次のように考えると解と係数の関係が使えるようになります。
「\(-3≦α\), \(-3≦β\) かつ \(α≦3\), \(β≦3\)」

(解答)
2次方程式なので、\(a≠0\)
また、解と係数の関係から
\(α+β=-\displaystyle\frac{3a}{a}=-3\)
\(αβ=\displaystyle\frac{1}{a}\)

ここで、「\(-3≦α≦3\),\(-3≦β≦3\) \(\leftrightarrow\) \(-3≦α\), \(-3≦β\) かつ \(α≦3\), \(β≦3\)」なので、2解が\(-3≦x≦3\)の範囲に存在する条件は

①\(D≧0\),
②\((α+3)+(β+3)≧0\), \((α+3)・(β+3)≧0\)
③\((α-3)+(β-3)≦0\), \((α+3)・(β+3)≧0\)

①\(D=9a^2-4a≧0\) より
\(a(9a-4)≧0\)  よって\(a≠0\)とあわせて
\(a<0\), \(a≧\displaystyle\frac{4}{9}\)・・・(1)

②は
\(α+β+6=-3+6=3\) で条件を満たし
\((α+3)・(β+3)=αβ+3(α+β)+9\)\(=\displaystyle\frac{1}{a}-9+9≧0\) より
\(a≠0\)とあわせて \(a>0\)・・・(2)

③は
\(α+β-6=-3-6=-9\) で条件を満たし
\((α-3)・(β-3)=αβ-3(α+β)+9\)\(=\displaystyle\frac{1}{a}+9+9≧0\) より
\(\displaystyle\frac{1}{a}+18≧0\) の両辺に\(a^2(>0)\) をかけて
\(18a^2+a≧0\)  \(a(18a+1)≧0\) より \(a≠0\)とあわせて
\(a>0\) または \(a≦-\displaystyle\frac{1}{18}\)・・・(3)

(1)~(3)の共通範囲を考えると
\(a≧\displaystyle\frac{4}{9}\)

 

 

(例題2)
\(x\)についての2次方程式 \(x^2-ax+a^2-6=0\) が少なくとも1つの正の解をもつように、実数\(a\)の値の範囲を定めよ。

 

 

少なくとも1つが正の解なので
(ア)2解がともに正 (イ)1解が正でもう1解は負 (ウ)1解が\(0\)でもう1解が正
で場合分けします。なお(ア)と(ウ)は、あわせてもよいです(後述)。

(解答)
方程式の2解を\(α,β\)とすると、解と係数の関係から
\(α+β=a\), \(αβ=a^2-6\)

ここで少なくとも1つの正の解をもつときは
(ア)2解がともに正 (イ)1解が正でもう1解は負 (ウ)1解が\(0\)でもう1解が正
の場合が考えられる。

(ア)2解がともに正
\(D≧0\), \(α+β>0\), \(αβ>0\) が条件となる。

\(D=a^2-4a^2+24=-3(a^2-8)≧0\) より
\(-2\sqrt{2}≦a≦2\sqrt{2}\)・・・①

\(α+β=a>0\)・・・②

\(αβ=a^2-6>0\) より \(a<-\sqrt{6}\) または \(a>\sqrt{6}\)・・・③

①②③の共通範囲を考えて
\(\sqrt{6}<a≦2\sqrt{2}\)・・・(A)

 

(イ)1解が正でもう1解は負
\(αβ<0\) が条件なので
\(a^2-6<0\)
よって \(-\sqrt{6}<a<\sqrt{6}\)・・・(B)

 

(ウ)1解が\(0\)でもう1解が正
1解が\(0\)なので\(x=0\)を方程式に代入して
\(a^2-6=0\) より \(a=±\sqrt{6}\)

\(a=\sqrt{6}\)のとき方程式は
\(x^2-\sqrt{6}x=0\) で、もう1つの解は\(x=\sqrt{6}\)であり適する。

\(a=-\sqrt{6}\)のとき方程式は
\(x^2+\sqrt{6}x=0\) で、もう1つの解は\(x=-\sqrt{6}\)であり不適。

よって \(a=\sqrt{6}\)・・・(C)

 

以上より求める\(a\)の範囲は(A)(B)(C)をあわせたものだから
\(-\sqrt{6}<a≦2\sqrt{2}\)

 

 

(ア)と(ウ)を合わせた場合には、1解が\(0\)以上でもう1つの解は正の数となるので
\(D≧0\), \(α+β>0\), \(αβ≧0\)
となります。

 

 

今までに渡って、解と係数の関係を用いた解の配置問題について考えてきましたが、
例えば2次方程式において 「1解が\(-1\)より小さく、もう1解が\(1\)より大きい」、「\(-1≦x≦1\) の範囲にただ1つの実数解をもつ」などといった問題だと、条件の\(α,β\)の対称性がないので、解と係数の関係がうまく使えません。こういった問題については、2次関数のグラフを考えるのが得策となります。
(もちろん今までの問題も2次関数のグラフを考えることで解くこともできます)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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