余りの決定②(高次式)

高次式を割ったときの余りを求める問題について見ていきます。

 

(例題)
(1)\(x^n\) (\(n\)は2以上の自然数)を\(x^2-x-2\) で割ったときの余りを求めよ。
(2)\(x^{43}-3x^{38}\) を \(x^2+1\) で割ったときの余りを求めよ。
(3)\(x^{1000}\) を \(x^2-x+1\) で割ったときの余りを求めよ。

 

 

今まで通り、余りを\(ax+b\)とおいて\(a,b\)を決定していきます。

(1)

\(x^2-x-2\)は、\((x-2)(x+1)\) と因数分解できるので、\(x=2,x=-1\)を代入していきます。

2次式で割った余りなので、求める余りを\(ax+b\) (\(a,b\)は定数)とおくと

\(x^n=(x^2-x-2)Q_1(x)\)\(+ax+b\)
\(=(x-2)(x+1)Q_1(x)\)\(+ax+b\)

\(x=2,-1\)を代入して
\(2^n=2a+b\)・・・①, \((-1)^n=-a+b\)・・・②

①ー②より
\(2^n-(-1)^n=3a\)
よって \(a=\displaystyle\frac{2^n-(-1)^n}{3}\)

②に代入して
\(b=a+(-1)^n\)
\(=\displaystyle\frac{2^n-(-1)^n}{3}+\displaystyle\frac{3・(-1)^n}{3}\)
\(=\displaystyle\frac{2^n+2・(-1)^n}{3}\)

したがって余りは
\(\displaystyle\frac{2^n-(-1)^n}{3}x+\displaystyle\frac{2^n+2・(-1)^n}{3}\)

 

(2)

\(x^{43}-3x^{38}\)\(=(x^2+1)Q_2(x)+ax+b\)
とおけるので、\(x^2+1=0\)となる\(x\)を考えると、\(x=±i\)です。
これを代入しても \(i^2=-1\) より左辺は簡単に計算できます。

\(x^{43}-3x^{38}\)\(=(x^2+1)Q_2(x)+ax+b\) とおく。

\(x=i\)を代入して
\(i^{43}-3i^{38}=ai+b\)

\(i^{43}-3i^{38}\)
\(=(i^2)^{21}・i-3・(i^2)^19\)
\(=(-1)^{21}・i-3・(-1)^19\)
\(=-i+3\) より

\(-i+3=ai+b\)
\(ax+b\)は実数係数の整式を実数係数の整式で割った余りなので、\(a,b\)は実数。
よって \(a=-1\), \(b=3\)

したがって余りは \(-x+3\)

 

(3)

\(x^{1000}\)\(=(x^2-x+1)Q_3(x)+ax+b\)
で、\(x^2-x+1=0\) を満たす\(x\)は、\(x=\displaystyle\frac{1±\sqrt{3}i}{2}\) です。
ここで、\(x^2-x+1=0\) の両辺に\(x+1\)をかけると \(x^3+1=0\) より
\(x^3=-1\) となります。
(\(\displaystyle\frac{1±\sqrt{3}i}{2}\)を3乗すると\(-1\)になるということです)

\(x^{1000}\)\(=(x^2-x+1)Q_3(x)\)\(+ax+b\)・・・③ (\(a,b\)は実数の定数) とおく。

\(x^2-x+1=0\) を満たす\(x\)の1つを \(α=\displaystyle\frac{1+\sqrt{3}i}{2}\) とすると

\(α^2-α+1=0\)
両辺に \(α+1\)をかけて
\(α^3+1=0\)
\(α^3=-1\)

③に\(x=α\)を代入して
\(α^{1000}\)\(=(α^2-α+1)Q_3(x)\)\(+aα+b\)
\(α^{1000}\)\(=aα+b\)

\(α^{1000}=(α^3)^{333}α\)\(=(-1)^{333}α\)\(=-α\) だから
\(-α=aα+b\)・・・④

\(a,b\)は実数、\(α\)は虚数なので
\(a=-1\), \(b=0\)・・・(注)

したがって余りは \(-x\)

 

(注)について
虚数\(α\)について、\(i\)のときのように係数比較できるのは
\(a≠-1\) を仮定すると、④の両辺の虚部が異なることになるので矛盾。
よって、\(a=-1\) であり、④は\(-α=-α+b\) であるから \(b=0\)
となるからです。

 

因数分解公式 \(x^3+1=(x+1)(x^2-x+1)\)を意識すれば、\(x^2-x+1=0\) の両辺に\(x+1\) をかけることが思いつきやすくなります。
また、
\(x=\displaystyle\frac{1±\sqrt{3}i}{2}\)\(=\cos (±60°)+i\sin (±60°)\)
より、ド・モアブルの定理(数Ⅲ)を用いても \(x^3=-1\) となることがわかります。

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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