余りの決定①

剰余の定理や因数定理を用いて、余りを決定する問題について見ていきます。

 

(例題1)
(1)整式\(f(x)\)を\(x-1\)で割ったときの余りが\(-3\)、\(x+2\)で割ったときの余りが\(9\)のとき、\(f(x)\)を\((x-1)(x+2)\)で割った余りを求めよ。

(2)\(x\)の整式\(P(x)\)を、\(x^2-3x+2\) , \(x^2-5x+6\)で割ったときの余りがそれぞれ \(x+1\), \(5x-5\)であった。この整式を\(x^2-4x+3\)で割ったときの余りを求めよ。

 

求める余りを文字\(a,b,c\)などを使って表して、その文字の値を求めます。

(解答)
(1)

\(f(x)\)を2次式\((x-1)(x+2)\)で割った余りは1次以下の式なので、余りは \(ax+b\) とおけます。
\(f(x)\)\(=(x-1)(x+2)Q(x)+ax+b\)
この式に\(x=1,-2\)を代入すると、\((x-1)(x+2)Q(x)\)の部分が\(0\)なので、\(f(1),f(-2)\)を\(a,b\)で表すことができます。\(f(1),f(-2)\)の値は条件から求めます。

\(f(x)\)\(=(x-1)(x+2)Q(x)+ax+b\)・・・① (\(a,b\)は定数)
とおく。

条件より
\(f(x)=(x-1)Q_1(x)-3\)
\(f(x)=(x+2)Q_2(x)+9\) なので
\(f(1)=-3\), \(f(-2)=9\)

よって①に\(x=1,-2\)を代入して
\(-3=a+b\), \(9=-2a+b\)

\(a,b\)について解くと
\(a=-4\), \(b=1\)

ゆえに求める余りは \(-4x+1\)

 

(2)

(1)と同様に考えると、\(P(x)\)を2次式\(x^2-4x+3\)で割るので余りは1次以下の式\(ax+b\)です。\(x^2-4x+3\)\(=(x-1)(x-3)\) と因数分解できるので、
\(P(x)=(x-1)(x-3)Q(x)\)\(+ax+b\)
この式に\(x=1,3\)を代入すると、\((x-1)(x-3)Q(x)\)の部分が\(0\)となるので、\(P(1),P(3)\)が\(a,b\)で表せます。\(P(1),P(3)\)の値は条件から求めましょう。

\(x^2-4x+3\)\(=(x-1)(x-3)\)より
\(P(x)=(x-1)(x-3)Q(x)\)\(+ax+b\)・・・①  (\(a,b\)は定数)
とおける。

また
\(x^2-3x+2=(x-1)(x-2)\), \(x^2-5x+6\)\(=(x-2)(x-3)\) より
\(P(x)=(x-1)(x-2)Q_1(x)\)\(+x+1\)・・・②
\(P(x)=(x-2)(x-3)Q_2(x)\)\(+5x-5\)・・・③ と表せる。

②より \(P(1)=1+1=2\), ③より\(P(3)=15-10=10\)

また①に\(x=1,3\)を代入して
\(P(1)=a+b\), \(P(3)=3a+b\)

よって \(a+b=2\), \(3a+b=10\)
\(a,b\)について解くと \(a=4\), \(b=-2\)

したがって求める余りは \(4x-2\)

 

 

(例題2)
\(x\)の整式\(P(x)\)を\(x+1\)で割ると\(8\)余り、\(x^2-x+3\)で割ると\(3x+1\)余るという。
\(P(x)\)を\((x+1)(x^2-x+3)\) で割ったときの余りを求めよ。

 

(例題1)の方針でいくと、\((x+1)(x^2-x+3)\)は3次式なので余りは2次以下の式であり
\(P(x)=(x+1)(x^2-x+3)Q(x)\)\(+ax^2+bx+c\)
とおけます。
\(P(-1)\)はすぐに求まりそうですが、\(x^2-x+3=0\)を満たす\(x=α\)については\(α=\displaystyle\frac{1±\sqrt{11}i}{2}\) なので、これを代入するのは面倒です。そこで次のような工夫を考えます。

 

(解法1)求める余りを割る方法

\(P(x)=(x+1)(x^2-x+3)Q(x)\)\(+ax^2+bx+c\)  において
\((x+1)(x^2-x+3)\)の部分が\(x^2-x+3\)で割り切れるので、「\(P(x)\)を\(x^2-x+3\)で割った余り=\(ax^2+bx+c\)を\(x^2-x+3\)で割った余り」。右辺について2次式を2次式で割るので商は定数で、\(P(x)\)を\(x^2-x+3\)で割った余りは条件より\(3x+1\)なので
\(ax^2+bx+c=a(x^2-x+3)\)\(+3x+1\)
と余りを1文字\(a\)だけを使って表すことができます。あとは\(P(-1)\)を考えるだけです。

\(P(x)=(x+1)(x^2-x+3)Q(x)+ax^2+bx+c\)  (\(a,b,c\)は定数)
とおける。

ここで、(\(P(x)\)を\(x^2-x+3\)で割った余り)=(\(ax^2+bx+c\)を\(x^2-x+3\)で割った余り)
なので、\(ax^2+bx+c\)を\(x^2-x+3\)で割ると余りは \(3x+1\)である。
よって \(ax^2+bx+c=a(x^2-x+3)\)\(+3x+1\) と表すことができる。

ゆえに
\(P(x)=(x+1)(x^2-x+3)Q(x)\)\(+a(x^2-x+3)\)\(+3x+1\)・・・①

また、条件より\(P(x)\)を\(x+1\)で割ると\(8\)余ることから
\(P(x)=(x+1)Q_1(x)+8\) であり
\(P(-1)=8\)

①に\(x=-1\)を代入して
\(P(-1)=5a-2\)

したがって \(5a-2=8\) より \(a=2\)

以上から求める余りは
\(a(x^2-x+3)+3x+1\)
\(=2(x^2-x+3)+3x+1\)
\(=\)\(2x^2+x+7\)

 

 

(解法2)商\(Q(x)\)を割る方法

2番目の条件、\(P(x)\)を\(x^2-x+3\)で割ると\(3x+1\)余ることから
\(P(x)=(x^2-x+3)Q_2(x)\)\(+3x+1\)・・・(A)
ここで、\(Q_2(x)\)をもう1つの条件の割る数\(x+1\)で割ります。この余りは分からないですが、1次式で割った余りで定数なので\(k\)とおいて、
\(Q_2(x)=(x+1)Q’_2(x)+k\)
となり、これを(A)に代入すると
\(P(x)=(x^2-x+3)\{(x+1)Q’_2(x)+k\}\)\(+3x+1\)
展開すると、(解法1)と同じ式①が得られます。

\(P(x)\)を\(x^2-x+3\)で割ると\(3x+1\)余るから

\(P(x)=(x^2-x+3)Q_2(x)\)\(+3x+1\)・・・(A)

\(Q_2(x)\)を\(x+1\)で割った余りを\(k\)(定数)とおくと
\(Q_2(x)=(x+1)Q’_2(x)+k\)・・・(B)

(B)を(A)に代入して
\(P(x)=(x^2-x+3)\{(x+1)Q’_2(x)+k\}\)\(+3x+1\)
\(=(x^2-x+3)(x+1)Q’_2(x)\)\(+k(x^2-x+3)\)\(+3x+1\)・・・(C)

(C)より\(k(x^2-x+3)\)\(+3x+1\)が求める余りとなる。

また、\(P(x)\)を\(x+1\)で割ると\(8\)余るから、剰余の定理より
\(P(-1)=8\)

(C)に\(x=-1\)を代入して
\(P(-1)=5k-2\)
\(8=5k-2\) より \(k=2\)

したがって求める余りは
\(k(x^2-x+3)\)\(+3x+1\)
\(=2(x^2-x+3)+3x+1\)
\(=\)\(2x^2+x+7\)

 

 

(例題2)の解法1,2は、\((x-1)^2\)のような\((x-k)^n\)で割るときの余りの問題にも応用できるのでぜひマスターしておきたいです。

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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