割られる式の決定

割られる式\(P(x)\)で次数が最小のものを求める問題について見ていきます。

 

(例題)
\(x\)の整式\(P(x)\)は \(x^2+1\) で割り切れる。さらに \(P(x)+1\) が \(x^2+x+1\) で割りきれるとき、\(x\)についての次数が最小の\(P(x)\)を求めよ。

 

 

3つの解法を紹介します。
まずは次数が最小のものを探すので、素直に順番に低いものから探していく方法です。

(解法1)次数が低いものから順番に調べる方法
条件より
\(P(x)=(x^2+1)Q(x)\)
\(P(x)+1=(x^2+x+1)S(x)\) なので

\(P(x)=(x^2+1)Q(x)\)\(=(x^2+x+1)S(x)-1\)・・・(1)

①\(Q(x)=a\) (定数)とすると
(1)の\(x^2\)の係数より \(S(x)=a\) となるが、左辺の\(x\)の係数は\(0\)、右辺の\(x\)の係数は\(a\)なので、\(a=0\)である。しかし\(a=0\)だと(1)は \(0=0-1\) となるので不適。

②\(Q(x)=ax+b\) (\(a≠0\))とすると
(1)は
\((x^2+1)(ax+b)\)\(=(x^2+x+1)S(x)-1\)

左辺は3次式なので、右辺も3次式。よって\(S(x)\)は1次式で\(x^2\)の係数に着目すると、\(S(x)=ax+c\) とおける。ゆえに

\((x^2+1)(ax+b)\)\(=(x^2+x+1)(ax+c)-1\)

展開して整理すると
\(ax^3+bx^2+ax+b\)
\(=ax^3+(a+c)x^2+(a+c)x+c-1\)

係数を比較して
\(b=a+c\), \(a=a+c\), \(b=c-1\)

\(a,b,c\)について解くと
\(a=-1\), \(b=-1\) \(c=0\)

したがって
\(P(x)=(x^2+1)Q(x)\)
\(=(x^2+1)(-x-1)\)
\(=\)\(-x^3-x^2-x-1\)

であり、これが次数が最小のものとなる。

 

(解法2)商\(Q(x)\)を割る方法

1つ目の条件より \(P(x)=(x^2+1)Q(x)\)
ここで、\(Q(x)\)をもう1つの条件の割る式 \(x^2+x+1\)で割り、その余りを\(ax+b\) とすると
\(P(x)=(x^2+1)\{(x^2+x+1)Q_1(x)\)\(+ax+b\}\)
これを展開して、2つ目の条件 \(P(x)+1\) が \(x^2+x+1\) で割りきれることを使って\(a,b\)を決定します。

1つ目の条件より \(P(x)=(x^2+1)Q(x)\)・・・(2)

\(Q(x)\)を\(x^2+x+1\)で割った時の余りを\(ax+b\) とすると
\(Q(x)=(x^2+x+1)Q_1(x)\)\(+ax+b\)・・・(3)

(3)を(2)に代入して
\(P(x)=(x^2+1)\{(x^2+x+1)Q_1(x)\)\(+ax+b\}\)・・・(4)

よって
\(P(x)+1=(x^2+1)\)\((x^2+x+1)Q_1(x)\)\(+ax^3+bx^2\)\(+ax+b+1\)

2つ目の条件 \(P(x)+1\) が \(x^2+x+1\)で割り切れることから
\(ax^3+bx^2+ax+b+1\) は \(x^2+x+1\)で割り切れる。

割り算を実行すると
余りは \((a-b)x+a+1\) であるから

\(a-b=0\), \(a+1=0\)
よって \(a=b=-1\)

したがって2つの条件を満たす\(P(x)\)は(4)より
\(P(x)=(x^2+1)\{(x^2+x+1)Q_1(x)\)\(-x-1\}\)・・・(5)

 

(5)は2つの条件を満たす\(P(x)\)です。
\(Q_1(x)\)は整式で、\(x+1\),\(2x^2+x+3\) などいろいろな場合が考えられますが、\(P(x)\)の次数を最も小さくするのは、\(Q_1(x)=0\)のときです。

この\(P(x)\)のうち最小の次数となるのは \(Q_1(x)=0\) のときで
\(P(x)=(x^2+1)(-x-1)\)\(=\)\(-x^3-x^2-x-1\)

 

 

(解法3)割る数の積 \((x^2+1)\)\((x^2+x+1)\)で\(P(x)\)を割る方法

\(P(x)\)を 条件の割る数の積 \((x^2+1)\)\((x^2+x+1)\) で割ると
\(P(x)=(x^2+1)(x^2+x+1)T(x)\)\(+R(x)\)・・・(A) (\(R(x)\)は3次以下の整式)
と表せ、\(R(x)\)は条件より決定できます。
(A)を満たす\(P(x)\)は\(T(x)\)によりたくさんありますが、最も次数の低いものは、\(T(x)=0\) のときです。
なお\(R(x)\)の決定については、\(R(x)\)を割る方法で解きたいと思います。

\(P(x)=(x^2+1)(x^2+x+1)T(x)\)\(+R(x)\)・・・(A) (\(R(x)\)は3次以下の整式) とおく。

2つ目の条件より \(P(x)+1\) が \(x^2+x+1\) で割りきれるので
\(P(x)+1=(x^2+x+1)L(x)\) と表せ
\(P(x)=(x^2+x+1)L(x)-1\)
よって、\(P(x)\)を\(x^2+x+1\)で割ると余りは\(-1\)である。

(A)より \(P(x)\)を\(x^2+x+1\) で割ったときの余りは、\(R(x)\)を\(x^2+x+1\) で割ったときの余りと等しい。
また、\(P(x)\)は\(x^2+1\)で割り切れるので、\(R(x)\)も\(x^2+1\)で割りきれる。\(R(x)\)は3次以下の整式なので次のようにおける。

\(R(x)=(x^2+x+1)(ax+b)-1\)
\(R(x)=(x^2+1)(ax+c)\)

展開して整理して
\(ax^3+(a+b)x^2+(a+b)x+b-1\)
\(=ax^3+cx^2+ax+c\)

両辺係数を比較して
\(a+b=c\), \(a+b=a\), \(b-1=c\)
よって
\(a=-1\), \(b=0\), \(c=-1\)

したがって
\(R(x)=(x^2+x+1)(-x)-1\)\(=-x^3-x^2-x-1\) となるから(A)は

\(P(x)=(x^2+1)(x^2+x+1)T(x)\)\(-x^3-x^2-x-1\)

この\(P(x)\)のうち最も次数が低いのは\(T(x)=0\)のときで
\(P(x)=\)\(-x^3-x^2-x-1\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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