文字係数の1次不等式

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今回は、\(x\)の1次不等式で、\(x\)の係数が文字であるときの解について見ていきます。\(ax≦b\)で、解を求めるとき両辺を\(a\)で割りますが、\(a\)の正負で不等号の向きが変わったり変わらなかったりしますね。よって場合分けが必要となってきます。他はほとんど基本的な1次不等式の解法と変わりません。

 

例題を解いてみます。

(例題1)
不等式  \(ax-a^2>2x-4\)を解け。ただし\(a\)は定数とする。

(解答)
基本的な1次不等式と同様に解いてきます。

移項して
\(ax-2x>a^2-4\)
\((a-2)x>(a+2)(a-2)\)・・・①

\(x\)の係数 \((a-2)\) の正負と\(0\)で場合分けします。
1) \(a-2>0\) つまり \(a>2\)のとき
①の両辺を \(a-2\)で割って
\(x>a+2\)
2) \(a-2=0\)  つまり \(a=2\)のとき
①は \(0×x>0\)
これを満たす\(x\)は存在しない。
よって解なし。
\(0×x>0\)の\(x\)にどんな実数を代入しても不等式は成り立ちません。よって解なしです。 \(0>0\)が成り立っていないことからも分かります。
3) \(a-2<0\) つまり \(a<2\)のとき
①の両辺を \(a-2\)(\(<0\)) で割って
\(x<a+2\) ←(不等号入れ替わる)
1)~3)より
\(a>2\)のとき \(x>a+2\)
\(a=2\)のとき 解なし
\(a<2\)のとき \(x<a+2\)

 

 

もう1問例題です。
(例題2)
\(x\)の不等式 \(ax+a+3>0\)の解が \(x<2\)のとき、定数\(a\)の値を求めよ。
(解答)
先ほどと同様に場合分けです。
与式から
\(ax>-a-3\)・・・②
1)\(a>0\)のとき
②の両辺を\(a\)で割って
\(x>-\displaystyle\frac{a+3}{a}\)
これは\(x<2\)と一致しないので不適。(不等号の向きが逆です)
2)\(a=0\)のとき
②から \(0×x>-3\)
解はすべての実数となるので不適。
\(x\)にどんな実数を入れても、\(0×x>-3\)は成り立ちます。\(0>-3\)が正しいことからも分かります。
3)\(a<0\)のとき
②の両辺を\(a\)(\(<0\))で割って
\(x<-\displaystyle\frac{a+3}{a}\) (←不等号が入れ替わる)
これが\(x<2\)と一致するとき
\(-\displaystyle\frac{a+3}{a}\)\(=2\)
よって\(a=-1\)
\(a=-1\) は \(a<0\) を満たす。
この確認は必要です。仮に問題が\(x<-4\)という設定の場合、1)2)は同様に不適、3)で\(a<0\)のとき、同様に\(-\displaystyle\frac{a+3}{a}\)\(=-4\)
これを解くと、\(a=1\)で \(a<0\) を満たしません。つまり、\(a\)がどんな値をとったとしても、不等式の解が \(x<-4\) となることはあり得ないことを意味しています。
以上1)~3)から \(a=-1\)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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