\(n\)で表されたある確率\(P_n\)の最大値を求めるには、\(\displaystyle\frac{P_{n+1}}{P_n}\)と\(1\)の大小を比べることがポイントとなります。
(例題)
10本のくじの中に2本の当たりくじがある。当たりくじを3回ひくまで繰り返しくじを引くものとする。ただし、1度ひいたくじは毎回もとに戻す。\(n\)回目で終わる確率を\(P_n\)とする。
(1)\(P_n\)を求めよ。
(2)\(P_n\)が最大となる\(n\)を求めよ。
(解答)
(1)
\(n\)回目で終わるので、
「\(n-1\)回目までに、当たりくじを2回、はずれを\(\{(n-1)-2\}\)回」ひき、
\(n\)回目に当たりくじを引くことになります。
最低でも3回はかかるので、\(n≧3\)としておきます。
「\(n-1\)回目までに、当たりくじを2回、はずれを\(n-3\)回」ひき、\(n\)回目に当たりくじを引く場合を考えると、
(2)では\(n\)を変化させたとき、\(P_n\)が最大値をとる\(n\)を求めることになるのですが、\(n\)の2次式と指数が\(n\)の式の積となっているので、\(P_n\)のままで考えると大変です。
そこで、\(P_{n+1}\)と\(P_n\)の大小関係を調べて、\(P_n\)は\(n\)が増えると増加するのか減少するのかを考えます。
例えば、\(P_{n+1}-P_n>0\) のときは、\(P_{n+1}>P_n\)、つまり\(n\)が増えると\(P_n\)が増加することになりますが、差 \(P_{n+1}-P_n\)のままだと累乗などが残り面倒です。
そこで、\(P_n>0\)より \(P_{n+1}>P_n\) の両辺を \(P_n\)で割って
\(\displaystyle\frac{P_{n+1}}{P_n}\)\(>1\)・・・①
と分数の形にすることで、累乗などを一気に約分してしまいます。
①は\(P_{n+1}>P_n\)のときなので、他の
②\(P_{n+1}=P_n\) \(\leftrightarrow \) \(\displaystyle\frac{P_{n+1}}{P_n}=1\)
③\(P_{n+1}<P_n\) \(\leftrightarrow \) \(\displaystyle\frac{P_{n+1}}{P_n}<1\)
のときも調べていきます。
\(\displaystyle\frac{P_{n+1}}{P_n}\)\(=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{n(n-1)}{2}(\displaystyle\frac{4}{5})^{n-2}(\displaystyle\frac{1}{5})^3}{\displaystyle\frac{(n-1)(n-2)}{2}(\displaystyle\frac{4}{5})^{n-3}(\displaystyle\frac{1}{5})^3}\)
①\(\displaystyle\frac{P_{n+1}}{P_n}\)\(>1\) のとき
\(\displaystyle\frac{4n}{5(n-2)}>1\) で、これを解くと
\(4n>5(n-2)\) より \(n<10\) だから、\(3≦n<10\) のとき \(P_{n+1}>P_n\) となる。よって
\(P_3<P_4<・・・<P_9<P_{10}\)
②\(\displaystyle\frac{P_{n+1}}{P_n}\)\(=1\) のとき
\(n=10\) だから、\(P_{n+1}=P_n\) より
\(P_{10}=P_{11}\)
③\(\displaystyle\frac{P_{n+1}}{P_n}<1\) のとき
\(n>10\) だから、\(P_{n+1}<P_n\) より
\(P_{11}>P_{12}>P_{13}>・・・\)
以上①~③より
\(P_3<P_4<・・・<P_9<P_{10}\)\(=P_{11}>P_{12}>・・・\)
である。よって最大値をとる\(n\)は
\(n=10,11\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。