分数式の恒等式

分数式の恒等式の係数決定に関する問題について見ていきます。

 

(例題)次の恒等式が成り立つように、定数\(a,b,c\)の値を定めよ。
\(\displaystyle\frac{x^2+2x-1}{x^3+x^2}\)\(=\displaystyle\frac{a}{x^2}\)\(+\displaystyle\frac{b}{x}\)\(+\displaystyle\frac{c}{x+1}\)

 

 

(解答1)係数比較する方法
右辺を計算すると
\(\displaystyle\frac{x^2+2x-1}{x^3+x^2}\)\(=\displaystyle\frac{a(x+1)+bx(x+1)+cx^2}{x^2(x+1)}\)

\(\displaystyle\frac{x^2+2x-1}{x^3+x^2}\)\(=\displaystyle\frac{(b+c)x^2+(a+b)x+a}{x^2(x+1)}\)

両辺に\(x^3+x^2(=x^2(x+1))\)を掛けて

\(x^2+2x-1=(b+c)x^2+(a+b)x+a\)
この等式も恒等式なので、両辺の係数を比較すると

\(b+c=1\), \(a+b=2\), \(a=-1\)

以上より
\(a=-1\), \(b=3\), \(c=-2\)

 

(解答2)数値を代入する方法
与式の両辺に \(x^3+x^2(=x^2(x+1))\)を掛けると

\(x^2+2x-1=a(x+1)+bx(x+1)+cx^2\)・・・①

\(x=-1,0,1\)を代入して・・・(注)

\(-2=c\), \(-1=a\), \(2=2a+2b+c\)

よって、\(a=-1\), \(b=3\), \(c=-2\)

このとき、①の両辺は2次式であり、異なる3個の\(x\)の値に対して成り立つから
①は\(x\)の恒等式となる。

したがって、\(a=-1\), \(b=3\), \(c=-2\)

 

(注)について
代入した\(x=-1,0\)は、もとの分数式の分母を\(0\)にするものですが、問題ありません。なぜかというと、①式が\(x=-1,0\)以外任意の\(x\)について成り立つということは、3つ以上の\(x\)について成り立っているわけなので、①式が\(x\)の恒等式となり、結局は\(x=-1,0\)を含む任意の\(x\)で成り立つからです。

「①式が\(x=-1,0\)以外の任意の\(x\)について成り立つ
\(\leftrightarrow\)
①式が任意の\(x\)について成り立つ」(逆\(←\)は自明でしょう)

ただし、求めた\(a,b,c\)を代入して①の両辺を\(x^2(x+1)(≠0)\)で割った、もとの分数型の恒等式は、\(x=-1,0\)以外の\(x\)で成り立ちます。

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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