直線と直線の交点

直線と直線の交点に関する例題について見ていきます。

例題に入る前に、空間における2直線の関係を整理しておくと
①平行(交わらない) ②ねじれの位置(交わらない) ③交点をもつ
の3つのパターンとなります。①の特殊例として2直線が一致するということもあります。

 

 

(例題1)
\(A(-5,3,3)\), \(B(-4,1,5)\) を通る直線\(l\)と、\(C(0,3,2)\), \(D(3,7,-3)\) を通る直線\(m\)の交点の座標を求めよ。

 

 

2直線それぞれのベクトル方程式を立てて、成分を比較していきます。

(解答)
\(s,t\)を実数とする。

\(A(-5,3,3)\), \(B(-4,1,5)\) を通る直線\(l\)の方程式は
\(\vec{p}=(-5,3,3)+s(1,-2,2)=(-5+s,3-2s,3+2s)\)・・・①

\(C(0,3,2)\), \(D(3,7,-3)\) を通る直線\(m\)の方程式は
\(\vec{p}=(0,3,2)+t(3,4,-5)=(3t,3+4t,2-5t)\)・・・②

①②の成分が一致するような実数\(s,t\)が存在すれば、そのとき交点の座標となる。
\(-5+s=3t\)・・・③
\(3-2s=3+4t\)・・・④
\(3+2s=2-5t\)・・・⑤

④⑤より \(s=2\), \(t=-1\)
これは③を満たす

よって交点の座標は①に\(s=2\)を代入して
\((-3,-1,7)\)

 

 

 

 

(例題2)
2点 \(O(0,0,0)\) \(A(0,2,1)\) を通る直線を\(l_1\)、2点 \(B(1,0,2)\), \(C(2,1,0)\) を通る直線を\(l_2\)とするとき、直線\(l_1\)と直線\(l_2\)は交わらないことを示せ。

 

 

\(l_1,l_2\)の方程式をたてて、成分比較をしたときに一致するような媒介変数の値が無いことを示します。

(解答)
\(s,t\)を実数とする。

\(O(0,0,0)\) \(A(0,2,1)\) を通る直線\(l_1\)の方程式は
\(\vec{p}=(0,0,0)+s(0,2,1)=(0,2s,s)\)・・・①

\(B(1,0,2)\), \(C(2,1,0)\) を通る直線\(l_2\)の方程式は
\(\vec{p}=(1,0,2)+t(1,1,-2)=(1+t,t,2-2t)\)・・・②

①と②の成分を比較して
\(0=1+t\)・・・③
\(2s=t\)・・・④
\(s=2-2t\)・・・⑤

③より \(t=-1\)
これと④より \(s=-\displaystyle\frac{1}{2}\)
しかし、\(s=-\displaystyle\frac{1}{2}\), \(t=-1\) は⑤を満たさない。

よって成分が一致するような実数\(s,t\)が存在しないので、交点をもたない。

 

 

 

 

(例題3)
点\(O\)を原点とする座標空間の3点を \(A(0,1,2)\), \(B(2,3,0)\), \(P(5+t,9+2t,5+3t)\) とする。線分\(OP\)と線分\(AB\)が交点をもつような実数\(t\)が存在することを示せ。また、そのとき、交点の座標を求めよ。

 

 

今度は線分の交点なので媒介変数の範囲に注意します。
例えば線分\(AB\)については、表し方は媒介変数を1つ or 2つ 使うかで
(1)\(\overrightarrow{OQ}=\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{AB}\) のとき、\(A\)から\(B\)までの移動を考えて \(0≦t≦1\)
(2)\(\overrightarrow{OQ}=s\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{OB}\), \(s+t=1\) のときは \(s≧0\), \(t≧0\)
解答では(1)の方針で解いてきますが、問題文で\(t\)が使われているので別の文字でやっていきます。詳しくは平面の分野ですが内容は同じなので →(5-5)軌跡領域① を参照してください。

(解答)

直線 交点 空間 例題3

線分\(AB\)上の点を\(Q\)とすると
\(\overrightarrow{OQ}=\overrightarrow{OA}+u\overrightarrow{AB}\) (\(0≦u≦1\))
よって、\(A(0,1,2)\), \(B(2,3,0)\) より
\(\overrightarrow{OQ}=(0,1,2)+u(2,2,-2)\)\(=(2u,1+2u,2-2u)\)・・・①

線分\(OP\)上の点を\(R\)とすると
\(\overrightarrow{OR}=k\overrightarrow{OP}\) (\(0≦k≦1\))
よって、\(P(5+t,9+2t,5+3t)\) より
\(\overrightarrow{OR}=(5k+kt,9k+2kt,5k+3kt)\)・・・②

\(\overrightarrow{OQ}=\overrightarrow{OR}\) となる \(u,k\) 及び \(t\) が存在すれば線分が交点をもつ。①②の成分を比較して

\(2u=5k+kt\)・・・③
\(1+2u=9k+2kt\)・・・④
\(2-2u=5k+3kt\)・・・⑤

③④より\(kt\)を消去して
\(2u-1=k\)・・・⑥
③⑤より\(kt\)を消去して
\(8u-2=10k\)・・・⑦
⑥⑦より
\(u=\displaystyle\frac{2}{3}\), \(k=\displaystyle\frac{1}{3}\)
(\(0≦u≦1\), \(0≦k≦1\) を満たす)

よって③より
\(\displaystyle\frac{4}{3}=\displaystyle\frac{5}{3}+\displaystyle\frac{1}{3}t\)
\(t=-1\)

したがって交点をもつような \(t(=-1)\) が存在して、①に\(u=\displaystyle\frac{2}{3}\)を代入するとその座標は

\((2u,1+2u,2-2u)=\)\((\displaystyle\frac{4}{3},\displaystyle\frac{7}{3},\displaystyle\frac{2}{3})\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
next→点と直線の距離、直線と直線の距離 back→直線の方程式

タイトルとURLをコピーしました