無限等比級数①

等比数列の和の極限について見ていきます。

同じく部分和\(S_n\)を考えることがポイントです。

 

・無限等比級数
初項\(a\)、公比\(r\)の無限等比数列から作られた無限級数

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}ar^{n-1}=a+ar+ar^2+\cdots+ar^{n-1}+\cdots\)

無限等比級数、または単に等比級数といいます。この級数の収束・発散については

まず初項が\(0\)かどうかで場合分けします。
次に公比\(r\)が\(1\)かどうかで\(S_n\)の式が違うので場合分け。
さらに\(r^{n}\)の極限を考えることになるので、\(|r|<1\), \(r>1\), \(r≦-1\) で場合分けします。

\(a=0\) のとき
\(r\)の値に関わらず、数列は \(0,0,0,0,\cdots\) とすべての項が\(0\)になるので、級数は\(0\)に収束する。

\(a≠0\) のとき
部分和\(S_n\)は

(i)\(r=1\) のとき、すべての項が\(a\)だから
\(S_n=na\) であり、\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}S_n=\infty\) (発散する)

(ii)\(r≠1\) のとき
等比数列の和の公式から
\(S_n=\displaystyle\frac{a(1-r^{n})}{1-r}\)

(ア)\(|r|<1\) のとき
\(\displaystyle\lim_{n \to \infty}S_n\)\(=\displaystyle\frac{a(1-0)}{1-r}\)\(=\displaystyle\frac{a}{1-r}\) (収束する)

(イ)\(r>1\), \(r≦-1\) のとき
数列\(\{r^n\}\)は発散する(負のときは振動する)から、級数も発散する。

したがって以上のことをまとめると次のようになります。

(無限等比級数の収束・発散)
\(a=0\) のとき、収束してその\(0\) (\(r\)は任意)
\(a≠0\) のとき
\(|r|<1\) のとき、収束してその\(\displaystyle\frac{a}{1-r}\)
\(|r|≧1\)
のとき、発散する。
収束条件は、「\(a=0\) または \(-1<r<1\)」となります。
無限等比数列の収束条件は、\(-1<r≦1\) で \(r=1\) を含むところが違います。これは、\(r=1\) のときは数列が \(a,a,a,\cdots\) とすべての項が\(a\)になるので、数列としては\(a\)に収束しますが、級数としては\(a\)を加え続けることになるので発散するからです。

 

 

 

(例題)
無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{2^{n+3}+3^{n+2}}{6^n}\) を求めよ。

 

分子の和を分割します。公比が\(1\)より小さくなるのでどちらも収束します。

(解答)
\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{2^{n+3}+3^{n+2}}{6^n}\)

\(=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\displaystyle\frac{8\cdot2^{n}+9\cdot3^{n}}{2^n\cdot3^n}\)

\(=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\left\{8(\displaystyle\frac{1}{3})^n+9(\displaystyle\frac{1}{2})^n\right\}\)

(\(\displaystyle\frac{初項}{1-公比}\) に収束するから)

\(=8\cdot\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{3}}{1-\displaystyle\frac{1}{3}}+9\cdot\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{2}}{1-\displaystyle\frac{1}{2}}\)

\(=4+9\)

\(=13\)

分からなくなったら、部分和 \(\displaystyle\frac{a(1-r^{n})}{1-r}\) をイメージするとよいです。収束するときは、\(r^{n}\)が\(0\)になります。

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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