2次曲線の平行移動(標準形の平行移動)について見ていきます。
・2次曲線の平行移動
2次曲線に限らず、一般に 曲線 \(F(x,y)=0\) のグラフを\(x\)軸方向に\(p\)、\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動した曲線の方程式は次のようになります。
\(F(x-p,y-q)=0\)
(証明)
\(F(x,y)=0\)・・・① の点 \(P(x,y)\) が \(Q(X,Y)\) に移動したとすると
\(X=x+p\)・・・②
\(Y=y+q\)・・・③
②③より
\(x=X-p\)、\(y=Y-q\)
これらを①に代入して変数を\(x,y\)に変えると
\(F(x-p,y-q)=0\)
標準形で表された2次曲線(放物線・楕円・双曲線)を平行移動させると、焦点や漸近線などもその分だけ平行移動することになります。
また例えば次の楕円
\(\displaystyle\frac{(x-p)^2}{a^2}+\displaystyle\frac{(x-q)^2}{b^2}=1\)
は、中心を原点とする楕円を平行移動した曲線の方程式ですが、展開して整理すると、\(xy\)の項がない2次式で表されることになります。よって標準形で表された2次曲線を平行移動させた曲線の方程式は\(xy\)の項がない2次式になります。なお\(xy\)の項がある場合にはそれが2次曲線を表すならば、回転移動させた2次曲線になります。
(注)
2次式で表された曲線が必ず2次曲線を表すとは限りません。例えば
\(x^2+y^2=0\)
は座標平面上で表すと1点(原点)のみになります。
(例題)
(1)双曲線 \(2x^2-y^2+8x+2y+11=0\) の焦点の座標と漸近線の方程式を求めよ。
(2)2点 \((2,7),(2,-1)\) を焦点として、長軸の長さが\(10\)である楕円の方程式を求めよ。
(3)放物線 \(y=x^2-2x+3\) の焦点の座標と準線の方程式を求めよ。
(解答)
(1)
\(2x^2-y^2+8x+2y+11=0\) より
\(2(x^2+4x)-(y^2-2y)=-11\)
\(2(x+2)^2-(y-1)^2-8+1=-11\)
\(2(x+2)^2-(y-1)^2=-4\)
両辺\(4\)で割って
\(\displaystyle\frac{(x+2)^2}{(\sqrt{2})^2}-\displaystyle\frac{(y-1)^2}{2^2}=-1\)・・・①
よって①は双曲線
\(\displaystyle\frac{x^2}{(\sqrt{2})^2}-\displaystyle\frac{y^2}{2^2}=-1\)・・・②
を\(x\)軸方向に\(-2\)、\(y\)軸方向に\(1\)だけ平行移動した曲線となる。
②の焦点の座標は \(\sqrt{2+4}=\sqrt{6}\) より
\((0,\sqrt{6}),(0,-\sqrt{6})\)
漸近線の方程式は
\(y=±\displaystyle\frac{2}{\sqrt{2}}x=±\sqrt{2}x\)
したがって①の焦点の座標は
\((-2,\sqrt{6}+1),(-2,-\sqrt{6}+1)\)
漸近線の方程式は
\(y-1=±\sqrt{2}(x+2)\) より
\(y=±\sqrt{2}(x+2)+1\)
(2)
平行移動後の標準形の楕円は縦長型です。この方程式を求めて元に戻せば題意の楕円の方程式が求まります。
2焦点 \((2,7),(2,-1)\) を 「\(x\)軸方向に\(-2\)、\(y\)軸方向に\(-3\)」だけ平行移動すると
\((0,4),(0,-4)\) となる。
\((0,4),(0,-4)\) (\(y\)軸上にある) を焦点とする、長軸の長さが\(10\)である楕円の方程式は
\(\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+\displaystyle\frac{y^2}{b^2}=1\)・・・③ (\(b>a>0\))
で表され
\(2b=10\) より、\(b=5\)
また、\(b^2-a^2=4^2\) より
\(a^2=9\)
平行移動後の楕円の方程式③は
\(\displaystyle\frac{x^2}{9}+\displaystyle\frac{y^2}{25}=1\)・・・④
④を\(x\)軸方向に\(2\)、\(y\)軸方向に\(3\)だけ平行移動した曲線の方程式が求めるものだからそれは
\(\displaystyle\frac{(x-2)^2}{9}+\displaystyle\frac{(y-3)^2}{25}=1\)
(3)
\(y=x^2-2x+3\) より
\((x-1)^2+2=y\)
\((x-1)^2=4\cdot\displaystyle\frac{1}{4}\cdot(y-2)\)・・・⑤
放物線
\(x^2=4\cdot\displaystyle\frac{1}{4}\cdot y\)
の焦点の座標は \((0,\displaystyle\frac{1}{4})\)、準線の方程式は \(y=-\displaystyle\frac{1}{4}\)
よって⑤の焦点の座標は
\((1,\displaystyle\frac{1}{4}+2)\)
つまり \((1,\displaystyle\frac{9}{4})\)
また準線の方程式は
\(y-2=-\displaystyle\frac{1}{4}\) だから
\(y=\displaystyle\frac{7}{4}\)
以上になります。以上になります。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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