離心率

2次曲線の別の定義について見ていきます。

 

(例題)
\(e\)を正の定数とし、\(F(1,0)\) とする。点\(F\)からの距離と\(y\)軸からの距離の比が \(e:1\) であるような点\(P\)の軌跡を\(C\)とする。

(1)\(P(x,y)\) とするとき、\(x,y\)の満たすべき式を求めよ。
(2)\(e=1\) のとき、\(C\)はどのような図形か。
(3)\(0<e<1\) のとき、\(C\)はどのような図形か。
(4)\(e>1\) のとき、\(C\)はどのような図形か。
(5)\(e=\displaystyle\frac{1}{2},1,2\) の3つの場合について、\(C\)の概形を同一平面上に図示せよ。

 

\(e\)は離心率とよばれます。詳しくは後述します。

(解答)
(1)

離心率 例題1

\(P\)から\(y\)軸に下ろした垂線の足を\(H\)とする。
\(PF:PH=e:1\) より
\(PF=ePH\)
\(\sqrt{(x-1)^2+y^2}=e|x|\)
両辺\(0\)以上の値だから2乗して
\((x-1)^2+y^2=e^2x^2\)
整理すると
\((1-e^2)x^2-2x+y^2+1=0\)・・・①

(2)

放物線の定義そのものになるので、\(C\)は放物線になります。

(1)の結果①に\(e=1\)を代入して
\(-2x+y^2+1=0\)
\(y^2=2x-1\)
\(y^2=4\cdot\displaystyle\frac{1}{2}\cdot(x-\displaystyle\frac{1}{2})\)
よって\(C\)は放物線

(3)

\(1-e^2\) の符号に注意しながら処理します。(4)も同様です。

\((1-e^2)x^2-2x+y^2+1=0\)・・・①
\(0<e<1\) より \(1-e^2>0\)
①より平方完成して
\((1-e^2)(x-\displaystyle\frac{1}{1-e^2})^2+y^2=\displaystyle\frac{1}{1-e^2}-1\)

\((1-e^2)(x-\displaystyle\frac{1}{1-e^2})^2+y^2=\displaystyle\frac{e^2}{1-e^2}\)・・・(※)

\(\displaystyle\frac{(x-\displaystyle\frac{1}{1-e^2})^2}{\displaystyle\frac{e^2}{(1-e^2)^2}}+\displaystyle\frac{y^2}{\displaystyle\frac{e^2}{1-e^2}}=1\)・・・②

\(1-e^2>0\) より、係数は正の値になるので②つまり\(C\)は楕円である。

(4)
\(e>1\) より \(e^2-1>0\)
(3)と同様の変形をすると、②より
\(\displaystyle\frac{(x-\displaystyle\frac{1}{1-e^2})^2}{\displaystyle\frac{e^2}{(e^2-1)^2}}-\displaystyle\frac{y^2}{\displaystyle\frac{e^2}{e^2-1}}=1\)・・・③

よって③つまり\(C\)は双曲線である。

(5)
(2)~(4)より、\(e=\displaystyle\frac{1}{2},1,2\) のときの\(C\)の方程式はそれぞれ

\(\displaystyle\frac{(x-\displaystyle\frac{4}{3})^2}{\displaystyle\frac{4}{9}}+\displaystyle\frac{y^2}{\displaystyle\frac{1}{3}}=1\)

\(y^2=2x-1\)

\(\displaystyle\frac{(x+\displaystyle\frac{1}{3})^2}{\displaystyle\frac{4}{9}}-\displaystyle\frac{y^2}{\displaystyle\frac{4}{3}}=1\)

図示すると次の通り。

離心率 例題1-2

(参考1)
3つの曲線は交わりません。例えば \(0<e<1\) のとき
\((1-e^2)x^2-2x+y^2+1=0\)・・・①
について、\(x=0\) は①を満たさないので
\(1-e^2=\displaystyle\frac{2x-y^2-1}{x^2}\)
\(1-e^2>0\) だから
\(\displaystyle\frac{2x-y^2-1}{x^2}>0\)
よって
\(2x-y^2-1>0\) より
\(y^2<2x-1\)
これは\(P(x,y)\)が \(e=1\) の場合の放物線の右側に位置することを示しています。
(\(e>1\)の時も同様に放物線の左側に位置することを示せる)

 

(参考2)
一般に2次曲線(円を除く)を統一的に次のように定義できる。
定点\(F\)と\(F\)を通らない定直線からの距離の比が一定である軌跡
つまり \(P(x,y)\) から定直線に下ろした垂線の足を\(H\)、\(e\)を正の定数として

\(PF:PH=e:1\)

を満たす\(P\)の軌跡は2次曲線になる。また\(F\)を焦点、定直線を準線、\(e\)を離心率とよぶ。
上記例題では、焦点が\(F(1,0)\)、準線が\(y\)軸になっている。

\(e\)の値によって\(P\)の軌跡は次のように分類される。
\(0<e<1\) :楕円、\(e=1\) :放物線、\(e>1\) :双曲線

そして焦点\(F\)は2次曲線の焦点の1つになる。放物線の場合は自明で、楕円と双曲線の場合では上記例題だと
楕円:\(\displaystyle\frac{(x-\displaystyle\frac{1}{1-e^2})^2}{\displaystyle\frac{e^2}{(1-e^2)^2}}+\displaystyle\frac{y^2}{\displaystyle\frac{e^2}{1-e^2}}=1\)・・・②

より2つの焦点は、
\(\sqrt{\displaystyle\frac{e^2}{(1-e^2)^2}-\displaystyle\frac{e^2}{1-e^2}}=\displaystyle\frac{e^2}{1-e^2}\) より
\((\displaystyle\frac{e^2}{1-e^2}+\displaystyle\frac{1}{1-e^2},0),\ (-\displaystyle\frac{e^2}{1-e^2}+\displaystyle\frac{1}{1-e^2},0)\)
\((\displaystyle\frac{1+e^2}{1-e^2},0)\ ,(1,0)\)

双曲線:\(\displaystyle\frac{(x-\displaystyle\frac{1}{1-e^2})^2}{\displaystyle\frac{e^2}{(e^2-1)^2}}-\displaystyle\frac{y^2}{\displaystyle\frac{e^2}{e^2-1}}=1\)・・・③

より2つの焦点は(途中計算省略)
\((1,0),\ (-\displaystyle\frac{e^2+1}{e^2-1},0)\)

となるので、焦点の1つが\(F(1,0)\)になっている。

ところで境目である、\(e=0,1\) について検討してみると
\(e \to +0\) のとき
\((1-e^2)(x-\displaystyle\frac{1}{1-e^2})^2+y^2=\displaystyle\frac{e^2}{1-e^2}\)・・・(※)
より、2次の係数が近づくので円に近づくことが分かり、楕円の極限状態が円となることが言える。

同様に
\((1-e^2)x^2-2x+y^2+1=0\)・・・①
より \(e \to 1-0\) とすると、放物線を楕円の極限状態とみることもできる。(\(e \to 1+0\) とすると、放物線を双曲線の極限状態とみることもできる)

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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