円や直線の極方程式について見ていきます。
・極方程式
ある曲線が極座標に関する方程式 \(r=f(θ)\) や \(F(r,θ)=0\) で与えられるとき、この方程式を曲線の極方程式とよびます。
極方程式では極座標のまま曲線の概形を考えることもありますが、直交座標による方程式との変換も重要です。つまり極方程式を直交座標の方程式に直して検討したり、またある曲線の極方程式を求める際に直交座標の方程式を一旦求めてから変換するというのも手段の1つです。
さらに、\(r=f(θ)\) 型の極方程式では、\(x=f(θ)\cosθ\)、\(y=f(θ)\sinθ\) とした媒介変数表示による処理も重要です。
そして極方程式の場合には、\(r<0\) の場合も扱うことに注意です。\(r<0\) の扱いについては正の値であった場合の \((|r|,θ)\) の表す点を\(π\)だけ回転移動します(極\(O\)について点対称移動する)。例えば \((-1,\displaystyle\frac{π}{3})\) は \((1,\displaystyle\frac{π}{3}+π)\) として扱います。
以下、主な円や直線の極方程式の求め方についてまとめます。
曲線(直線)上の点を\(P(r,θ)\)とすると
(円の極方程式)
(1)中心が極\(O\)である半径\(a\)の円
\(O\)からの距離が\(a\)なので、極方程式は
\(r=a\)
\(θ\)は任意である。
(2)中心が \((a,0)\) (極座標表示) である半径\(a\)の円
直角三角形の辺の比より極方程式は
\(r=2a\cosθ\)
なお、\(r≧0\) に限定すると \(-\displaystyle\frac{π}{2}≦θ≦\displaystyle\frac{π}{2}\) となります。\(r<0\) も含めて \(-π≦θ<π\) としても同じ円を表すことなりますが、その場合は円周上の点を2回カウントしていることになります。(例えば \((2a,0)\) と \((-2a,-π)\) は同じ点です)
(3)極\(O\)と 点 \((a,α)\) が直径の両端である円
直角三角形の辺の比より極方程式は
\(r=a\cos(θ-α)\)
特に直径の一端を \((2a,0)\) とすれば
\(r=2a\cosθ\)
となるので、(3)は(2)を一般化したものといえます。
(直線の極方程式)
(i)極\(O\)を通り、始線となす角が\(α\)である直線
\(θ=α\) (\(r\)は任意)
なお \(r≧0\) に限定すると半直線になります。
(ii)点 \((a,0)\) (極座標表示) を通り始線と垂直な直線
直角三角形の辺の比より
\(r\cosθ=a\)
(iii)\(A(a,α)\) を通り、\(OA\)に垂直な直線
直角三角形の辺の比より
\(r\cos(θ-α)=a\)
特に \(A(a,0)\) とすると
\(r\cosθ=a\)
となるので(3)は(2)の一般形になります。また平行な直線なども同様に考えることができ、\(\sin\)を用いることもあります。
※直交座標とのリンクを考えてみます。極\(O\)を原点、始線を\(x\)軸の部分として(iii)を例にしてみます。まず極方程式
\(r\cos(θ-α)=a\)
より直交座標の方程式に変換してみると、加法定理により
\(r\cosθ\cosα+r\sinθ\sinα=a\)
\((\cosα)x+(\sinα)y=a\)・・・①
①は\(A(a\cosα,a\sinα)\) を通り、傾きが \(-\displaystyle\frac{1}{\tanα}\) なので(正確には分母が\(0\)になる場合を除く)、確かに\(A\)を通る\(OA\)に垂直な直線になっています。
逆に直交座標の方程式から極方程式を求めると、\(OA\)方向のベクトルが \((\cosα,\sinα)\) だから
\(\cosα(x-a\cosα)+\sinα(y-a\sinα)=0\)
整理して
\(r(\cosθ\cosα+\sinθ\sinα)=a(\cos^2α+\sin^2α)\)
左辺は加法定理の展開の逆の操作をすることで
\(r\cos(θ-α)=a\)
となり極方程式が導かれます。
(例題)
(1)極方程式 \(r=2(\cosθ+\sinθ)\) が表す図形を求めよ。
(2)円 \((x-x_1)^2+(y-y_1)^2=a^2\) を極方程式で表せ。ただし極は原点、始線は\(x\)軸の正の部分とし、中心\((x_1,y_1)\)の座標を \((l\cosα,l\sinα)\) とせよ。
(解答)
(1)
(直交座標に直すと)
\(r=2(\cosθ+\sinθ)\) より
\(r^2=2(r\cosθ+r\sinθ)\)
\(x^2+y^2=2x+2y\)
\((x-1)^2+(y-1)^2=2\)
よって円になる。
(正確には \((\sqrt{2},\displaystyle\frac{π}{4})\) を中心とする半径\(\sqrt{2}\)の円)
(別解)
三角関数の合成より
\(r=2\sqrt{2}\sin(θ+\displaystyle\frac{π}{4})\)
\(r=2\sqrt{2}\sin(θ-\displaystyle\frac{π}{4}+\displaystyle\frac{π}{2})\)
\(r=2\sqrt{2}\cos(θ-\displaystyle\frac{π}{4})\)
これは上の円(3)のケースで、極\(O\)と\((2\sqrt{2},\displaystyle\frac{π}{4})\)を直径とする円を表す。
(2)
\((x-x_1)^2+(y-y_1)^2=a^2\) より
\((r\cosθ-l\cosα)^2+(r\sinθ-l\sinα)^2=a^2\)
展開して整理すると
\(r^2-2rl(\cosθ\cosα+\sinθ\sinα)+l^2=a^2\)
加法定理の展開の逆の操作をすると
\(r^2-2rl\cos(θ-α)+l^2=a^2\)
(参考)余弦定理を使うと
\(r^2+l^2-2rl\cos(θ-α)=a^2\) (\(θ=α\)でも成立)
が成り立ち、これがそのまま極方程式になる。
(なす角が \(α-θ\) や \(2π-(θ-α)\) などの場合もあるが、\(\cos\) の値は変わらないので同様に成り立つ)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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