二項係数

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二項係数に関する問題について見ていきます。

 

二項定理
\((a+b)^n\)
\(={}_n\mathrm{C}_0a^{n}+{}_n\mathrm{C}_1a^{n-1}b+{}_n\mathrm{C}_2a^{n-2}b^{2}+・・・\)
\(+\)\({}_n\mathrm{C}_ra^{n-r}b^{r}\)\(+・・・+{}_n\mathrm{C}_{n-1}ab^{n-1}+{}_n\mathrm{C}_{n}b^{n}\)

 

(例題1)
(1)\((x-2y)^5\)を展開したときの、\(x^2y^3\)の係数を求めよ。
(2)\((x^2-\displaystyle\frac{1}{2x})^7\)の展開式における\(x^5\)の係数を求めよ。

 

\({}_n\mathrm{C}_ra^{n-r}b^{r}\)の\(n\)と\(r\)に適当な数値を入れて計算します。
(2)については\(r\)の値(\(-\displaystyle\frac{1}{2x}\)の選ぶ個数)を方程式をたてて求めましょう。

(解答)
(1)
\({}_n\mathrm{C}_rx^{n-r}(-2y)^{r}\)において
\(n=5\),\(r=3\) を代入すると
\({}_5\mathrm{C}_3x^{2}(-2y)^{3}=-80x^2y^3\)

よって係数は \(-80\)

(2)
\({}_n\mathrm{C}_r(x^2)^{n-r}(-\displaystyle\frac{1}{2x})^{r}\)において \(n=7\) を代入して

\({}_7\mathrm{C}_r(x^2)^{7-r}(-\displaystyle\frac{1}{2x})^{r}\)

\(={}_7\mathrm{C}_rx^{14-2r}(-\displaystyle\frac{1}{2})^{r}(\displaystyle\frac{1}{x})^r\)

\(={}_7\mathrm{C}_r(-\displaystyle\frac{1}{2})^{r}x^{14-3r}\)・・・①

\(14-3r=5\) より \(r=3\)

①に代入して
\({}_7\mathrm{C}_3(-\displaystyle\frac{1}{2})^{3}x^{5}=-\displaystyle\frac{35}{8}x^5\)
よって係数は \(-\displaystyle\frac{35}{8}\)

 

※(2)では以下の指数法則と\(\displaystyle\frac{1}{a^n}=a^{-n}\)を利用しました。(詳しくは数Ⅱの指数関数で扱います)

\(a≠0,b≠0\)として、整数\(m,n\)について
①\(a^ma^n=a^{m+n}\) (\(a^m×\displaystyle\frac{1}{a^n}=a^{m-n}\))
②\((a^m)^n=a^{mn}\)
③\((ab)^m=a^mb^m\)

 

 

(例題2)
\((x+5)^{80}\)を展開したとき、\(x\)の何乗の係数が最大になるか。

 

二項係数の最大値を答える問題です。
\(x\)の指数を\(k\)とすると、\(x^k\)の項は \({}_{80}\mathrm{C}_{80-k}x^k5^{80-k}\) です。確率の最大値を求めるところでも扱いましたが、係数 \(a_k= {}_{80}\mathrm{C}_{80-k}5^{80-k}\) として、隣どうしの項の係数の比 \(\displaystyle\frac{a_{k+1}}{a_k}\)と\(1\)の大小を比べます。(→確率の最大値 参照) 例えば\(\displaystyle\frac{a_{k+1}}{a_k}>1\)のときは\(a_k>0\)より、\(a_{k+1}>a_k\) となり\(k\)が増えると係数\(a_k\)も増えることになります。

(解答)
\(x^k\)の係数は
\(a_k= {}_{80}\mathrm{C}_{80-k}5^{80-k}\)

\(a_{k+1}={}_{80}\mathrm{C}_{80-(k+1)}5^{80-(k+1)}\) なので

 

\(\displaystyle\frac{a_{k+1}}{a_k}\)
\(=a_{k+1}×\displaystyle\frac{1}{a_k}\)

\(=\displaystyle\frac{80!}{(79-k)!(k+1)!}5^{79-k}×\displaystyle\frac{(80-k)!k!}{80!}\displaystyle\frac{1}{5^{80-k}}\)

\(=\displaystyle\frac{\cancel{80!}}{\cancel{(79-k)!}\cancelto{\color{red}{(k+1)}}{(k+1)!}}\cancel{5^{79-k}}×\displaystyle\frac{\cancelto{\color{red}{80-k}}{(80-k)!}\cancel{k!}}{\cancel{80!}}\displaystyle\frac{1}{\cancelto{\color{red}{5}}{5^{80-k}}}\)

\(=\displaystyle\frac{80-k}{5(k+1)}\)

(ア)
\(\displaystyle\frac{a_{k+1}}{a_k}>1\) つまり \(a_{k+1}>a_k\) のとき

\(\displaystyle\frac{80-k}{5(k+1)}>1\) を解いて

\(80-k>5(k+1)\) より
\(k<\displaystyle\frac{75}{6}=12.5\)

よって、\(k≦12\)のとき \(a_{k+1}>a_k\) だから
\(a_1<a_2<a_3・・・\)\(<a_{12}<a_{13}\)

 

(イ)
\(\displaystyle\frac{a_{k+1}}{a_k}<1\) つまり \(a_{k+1}<a_k\) のとき

\(\displaystyle\frac{80-k}{5(k+1)}<1\) を解いて

\(80-k<5(k+1)\) より
\(k>\displaystyle\frac{75}{6}=12.5\)

よって、\(k≧13\)のとき \(a_{k+1}<a_k\) だから
\(a_{13}>a_{14}>a_{15}・・・\)\(>a_{79}>a_{80}\)

以上より
\(a_1<a_2・・・\)\(<a_{12}<a_{13}>a_{14}>・・・\)
だから係数が最大となるのは、\(x\)の\(13\)乗

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
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