三角関数と対称式・交代式

三角関数の対称式・交代式に関する問題について見ていきます。

 

(例題1)
\(\sinθ+\cosθ=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{5}}\) のとき、次の式の値を求めよ。
(1)\(\sinθ\cosθ\)
(2)\(\tanθ+\displaystyle\frac{1}{\tanθ}\)
(3)\(\tan^3θ+\displaystyle\frac{1}{\tan^3θ}\)

 

 

問題に登場する式はすべて対称式となっています。
2文字\(a,b\)についての対称式の問題は、基本対称式「和\(a+b\)と積\(ab\)」を求めることから始めます。\(a,b\)の対称式は基本対称式のみで表すことができるからです。

(解答)
(1)

問題文で 和 \(\sinθ+\cosθ=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{5}}\)・・・① と与えられていて積 \(\sinθ\cosθ\) を求める問題です。
①から\(\sinθ\cosθ\)という形を作るために、①の両辺を2乗します。
ここで生きてくるのが \(\sin^2θ+\cos^2θ=1\) という関係式です。

\(\sinθ+\cosθ=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{5}}\) の両辺を2乗して
\(\sin^2θ+\cos^2θ+2\sinθ\cosθ\)\(=\displaystyle\frac{1}{5}\)
\(1+2\sinθ\cosθ\)\(=\displaystyle\frac{1}{5}\)
よって
\(\sinθ\cosθ=-\displaystyle\frac{2}{5}\)

 

(2)

(1)と\(\tanθ=\displaystyle\frac{\sinθ}{\cosθ}\) を利用します。

\(\tanθ+\displaystyle\frac{1}{\tanθ}\)

\(=\displaystyle\frac{\sinθ}{\cosθ}+\displaystyle\frac{\cosθ}{\sinθ}\)

\(=\displaystyle\frac{\sin^2θ+\cos^2θ}{\sinθ\cosθ}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{-\displaystyle\frac{2}{5}}\)

\(=\)\(-\displaystyle\frac{5}{2}\)

 

(3)

対称式について2文字\(a,b\)が \(\tanθ\) と \(\displaystyle\frac{1}{\tanθ}\) になっているケースです。
3次式の与式を基本対称式で表していきましょう。
(\(a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)\) )
この式が思いつかなかった場合は、3次の形を作るために
\((\tanθ+\displaystyle\frac{1}{\tanθ})^3\) を計算して式変形してください。

\(\tan^3θ+\displaystyle\frac{1}{\tan^3θ}\)

\(=(\tanθ+\displaystyle\frac{1}{\tanθ})^3\)\(-3\tanθ・\displaystyle\frac{1}{\tanθ}\)\(・(\tanθ+\displaystyle\frac{1}{\tanθ})\)

\(=(\tanθ+\displaystyle\frac{1}{\tanθ})^3\)\(-3(\tanθ+\displaystyle\frac{1}{\tanθ})\)

\(=(-\displaystyle\frac{5}{2})^3-3(-\displaystyle\frac{5}{2})\) ((2)より)

\(=\)\(-\displaystyle\frac{65}{8}\)

 

(1)と問題文より
\(\sinθ+\cosθ=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{5}}\), \(\sinθ\cosθ=-\displaystyle\frac{2}{5}\)
と和と積が求まっているので、2次方程式 \(t^2-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{5}}t-\displaystyle\frac{2}{5}=0\) を解くことで具体的に \(\sinθ\),\(\cosθ\) の値は出ます。しかし本問のように対称式で表すことができる場合は、具体的な値を求めない方向性のほうが楽です。

 

 

(例題2)
\(\sinθ+\cosθ=\displaystyle\frac{1}{5}\)  (\(-\displaystyle\frac{π}{2}<θ<0\)) のとき、次の式の値を求めよ。
(1)\(\sinθ-\cosθ\)
(2)\(\sin^3θ-\cos^3θ\)

 

 

今回は交代式ですが、やることは対称式のときと同じです。
まず積 \(\sinθ\cosθ\) から求めていきます。

(解答)
(1)
\(\sinθ+\cosθ=\displaystyle\frac{1}{5}\) の両辺を2乗して
\(\sin^2θ+\cos^2θ+2\sinθ\cosθ\)\(=\displaystyle\frac{1}{25}\)
\(1+2\sinθ\cosθ\)\(=\displaystyle\frac{1}{25}\)
よって
\(\sinθ\cosθ=-\displaystyle\frac{12}{25}\)

 

つづいて \(\sinθ-\cosθ\) を求めていきます。
今回も \(\sin^2θ+\cos^2θ=1\) を利用するために、\((\sinθ-\cosθ)^2\)を考えます。ただし最後に平方根をとるときには正負がどうなるかに注意です。

\((\sinθ-\cosθ)^2\)\(=\sin^2θ+\cos^2θ-2\sinθ\cosθ\) より

\((\sinθ-\cosθ)^2\)\(=1-2(-\displaystyle\frac{12}{25})\)

\((\sinθ-\cosθ)^2\)\(=\displaystyle\frac{49}{25}\)

ここで、\(-\displaystyle\frac{π}{2}<θ<0\) より、\(\sinθ<0\),\(\cosθ>0\) だから、\(\sinθ-\cosθ<0\)

よって
\(\sinθ-\cosθ=-\displaystyle\frac{7}{5}\)

 

(2)

因数分解します。
もしくは、\((\sinθ-\cosθ)^3\)を計算して式変形してもよいです。

\(\sin^3θ-\cos^3θ\)

\(=(\sinθ-\cosθ)\)\((\sin^2θ+\sinθ\cosθ+\cos^2θ)\)

\(=(\sinθ-\cosθ)\)\((1+\sinθ\cosθ)\)

\(=-\displaystyle\frac{7}{5}(1-\displaystyle\frac{12}{25})\)

\(=\)\(-\displaystyle\frac{91}{125}\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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