2直線のなす角

2直線のなす角を\(\tan\)の加法定理を用いて求める方法にについて見ていきます。
まずは例題から始めて、最後に一般論について見ていきます。

 

(例題)
(1)2直線 \(3x-y+1=0\),  \(x-2y+4=0\) のなす角\(θ\) (\(0°≦θ≦90°\)) を求めよ。
(2)直線 \(y=-x+3\) と\(\displaystyle\frac{π}{3}\) の角をなす直線の傾きを求めよ。

 

 

どちらも、図を描いてみて状況を判断します。

(解答)
(1)

分かりやすくするために、まず交点が原点にくるように平行移動します(なす角は変わらない)。
すると、\(y=3x\)・・・①,  \(y=\displaystyle\frac{1}{2}x\)・・・② のなす角を求めればよいことになります。① or ②と\(x\)軸の正の向きとなす角を\(α,β\) とすれば、\(\tanα=3\),\(\tanβ=\displaystyle\frac{1}{2}\)。
求める角は図より \(α-β\) なので、\(\tan(α-β)\) を計算します。

tan なす角 例題(1)

2直線の交点が原点にくるように平行移動すると、2直線は
\(y=3x\)・・・①,  \(y=\displaystyle\frac{1}{2}x\)・・・②

①,②と\(x\)軸の正の向きとなす角をそれぞれ\(α,β\) とすると
\(\tanα=3\),\(\tanβ=\displaystyle\frac{1}{2}\)

①②のなす角が求める角\(θ\)で、図よりそれは \(α-β\) となる。

ここで図より、\(α-β≠90°\) だから
\(\tan(α-β)\)\(=\displaystyle\frac{3-\displaystyle\frac{1}{2}}{1+3\cdot\displaystyle\frac{1}{2}}\)\(=1\)

\(0≦α-β≦90°\) より
\(θ\)\(=α-β\)\(=45°\)

 

(2)

同様に交点が原点になるようにします。
\(y=-x\) と \(\displaystyle\frac{π}{3}\) の角をなす,原点を通る直線 \(y=mx\) の傾き\(m\)を求めればよいですが、2パターンあることに注意です。

tan 傾き 例題(2)

直線 \(x=k\) は条件を満たさないので、求める直線の傾きを\(m\)とすると、
\(y=-x\) と \(\displaystyle\frac{π}{3}\) の角をなす,直線 \(y=mx\) を考えればよい。

\(y=-x\) と\(x\)軸の正の向きとなす角は \(\displaystyle\frac{3}{4}π\) なので
\(m=\tan(\displaystyle\frac{3}{4}π±\displaystyle\frac{π}{3})\)

\(\tan(\displaystyle\frac{3}{4}π+\displaystyle\frac{π}{3})\)

\(=\displaystyle\frac{-1+\sqrt{3}}{1-(-1)\cdot\sqrt{3}}\)

\(=\displaystyle\frac{(-1+\sqrt{3})^2}{(1+\sqrt{3})(-1+\sqrt{3})}\)

\(=2-\sqrt{3}\)

\(\tan(\displaystyle\frac{3}{4}π-\displaystyle\frac{π}{3})\)

\(=\displaystyle\frac{-1-\sqrt{3}}{1+(-1)\cdot\sqrt{3}}\)

\(=\displaystyle\frac{(-1-\sqrt{3})(1+\sqrt{3})}{(1-\sqrt{3})(1+\sqrt{3})}\)

\(=\displaystyle\frac{(1+\sqrt{3})^2}{2}\)

\(=2+\sqrt{3}\)

したがって求める傾きは
\(2±\sqrt{3}\)

 

 

・2直線のなす角(鋭角)

傾きが異なる交わる2直線
\(y=m_1x+n_1\)・・・①, \(y=m_2x+n_2\)・・・② (\(m_1≠m_2\))
のなす鋭角を\(θ\)とすると、①②が垂直に交わらない つまり\(θ≠\displaystyle\frac{π}{2}\)(\(m_1m_2≠-1\)) のとき
\(\tanθ\)\(=|\displaystyle\frac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}|\)

 

①,②と\(x\)軸の正の向きとのなす角を\(α,β\)とすると、
\(α,β\)の大小にもよらず、\(α-β\)が鋭角・鈍角にもよらない万能な式となっています。

 

(証明)
①②のなす角は、①②の交点が原点にくるように平行移動した
\(y=m_1x\)・・・①’, \(y=m_2x\)・・・②’
のなす角である。

①’,②’と\(x\)軸の正の向きとなす角を\(α,β\) (\(0≦α<π\), \(0≦β<π\))とすると、
\(\tanα=m_1\), \(\tanβ=m_2\)
垂直に交わらないので、\(m_1m_2≠-1\),  \(α-β≠\displaystyle\frac{π}{2}\)\(,-\displaystyle\frac{π}{2}\)

以下①’②’のなす鋭角\(θ\)の正接について検討していく。

なす角 tan 一般

(ア)\(α-β>0\) について
\(0<α-β<π\) となり

(1)\(α-β\)が鋭角のとき
\(θ=α-β\) だから
\(\tanθ\)\(=\tan(α-β)\)\(=\displaystyle\frac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}\)\((>0)\)

(2)\(α-β\)が鈍角のとき
\(θ=π-(α-β)\) だから
\(\tanθ\)\(=\tan\{π-(α-β)\}\)\(=-\tan(α-β)\)\(=-\displaystyle\frac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}\)\((>0)\)

(イ)\(β-α>0\) について
\(0<β-α<π\) となり

(3)\(β-α\)が鋭角のとき
\(θ=β-α\) だから
\(\tanθ\)\(=\tan(β-α)\)\(=-\tan(α-β)\)\(=-\displaystyle\frac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}\)\((>0)\)

(4)\(β-α\)が鈍角のとき
\(θ=π-(β-α)\) だから
\(\tanθ\)\(=\tan\{π-(β-α)\}\)\(=-\tan(β-α)\)\(=\tan(α-β)\)\(=\displaystyle\frac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}\)\((>0)\)

以上より
\(\displaystyle\frac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}\)\(=T\) とおくと

\(T>0\)のときは(1)(4)より、\(\tanθ=T\)
\(T<0\)のときは(2)(3)より、\(\tanθ=-T\)

したがって \(\tanθ\)\(=|T|\)\(=|\displaystyle\frac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}|\)

 

一般論を示しましたが、実際に問題を解くにあたっては
図を描いて、直線の位置関係や角の大小などに着目したほうが楽なことが多いです。

最後にこの公式を利用して例題を解いてみます。

(1)
2直線 \(3x-y+1=0\),  \(x-2y+4=0\) のなす角\(θ\) (\(0°≦θ≦90°\) について

\(m_1=3\), \(m_2=\displaystyle\frac{1}{2}\) として

\(\tanθ=|\displaystyle\frac{3-\displaystyle\frac{1}{2}}{1+3\cdot\displaystyle\frac{1}{2}}|\)\(=|1|=1\)

よって \(θ=45°\)

(2)
直線 \(x=k\) は条件を満たさない。

\(y=-x+3\) と\(\displaystyle\frac{π}{3}\) の角をなす直線の傾きを\(m\)とする。
\(y=-x\) と \(y=mx\) のなす角が \(\displaystyle\frac{π}{3}\) だから、\(m_1=-1\), \(m_2=m\) として

\(\tan\displaystyle\frac{π}{3}\)\(=|\displaystyle\frac{-1-m}{1+(-1)\cdot m}|\)

\(\sqrt{3}\)\(=|\displaystyle\frac{m+1}{m-1}|\)

\(\sqrt{3}|m-1|=|m+1|\)

\(3(m-1)^2=(m+1)^2\)

\(m^2-4m+1=0\)

よって
\(m=2±\sqrt{3}\)

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。
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