与えられた三角関数の等式より、値を決定する問題について見ていきます。
(例題)
\(0°<θ<90°\) とする。
\(4\cosθ\sinθ\sin3θ\)\(=\cos3θ\)
が成り立つとき、\(\cosθ\),\(\cos2θ\),\(\cos4θ\) の値を求めよ。
なお、\(\cosθ\),\(\cos2θ\),\(\cos4θ\)のどれか1つでも値が分かれば、2倍角(半角)の公式より残りの2つの値を求めることができます。
(解法1)積和・和積により角を統一する方法
与式より
\(2\sin3θ\sin2θ\)\(=\cos3θ\)
積和の公式より
\(-(\cos5θ-\cosθ)\)\(=\cos3θ\)
\(\cos5θ+\cos3θ=\cosθ\)
和積の公式より
\(2\cos4θ\cosθ=\cosθ\)
左辺に寄せて因数分解すると
\(\cosθ(2\cos4θ-1)=0\)
\(0°<θ<90°\) より \(\cosθ≠0\) だから
\(\cos4θ=\displaystyle\frac{1}{2}\)・・・①
\(0°<4θ<360°\) と①より
\(4θ=60°,300°\)
よって\(2θ=30°,150°\) だから
\(\cos2θ=±\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)
また、\(θ=15°,75°\) だから
加法定理により
\(\cos15°\)
\(=\cos(45°-30°)\)
\(=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\cdot\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}+\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\cdot\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(=\displaystyle\frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}\)
\(\cos75°\)
\(=\cos(45°+30°)\)
\(=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\cdot\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{2}}\cdot\displaystyle\frac{1}{2}\)
\(=\displaystyle\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}\)
したがって
\(\cosθ=\displaystyle\frac{\sqrt{6}±\sqrt{2}}{4}\)
(解法2)3倍角の公式を利用して、\(θ\)に統一する方法
\(4\cosθ\sinθ\sin3θ\)\(=\cos3θ\) より
(以下式を見やすくするために、\(\cosθ=c\), \(\sin=s\) とする)
\(4cs(3s-4s^3)\)\(=4c^3-3c\)
\(0°<θ<90°\) だから \(c≠0\)。よって両辺\(c\)で割ると
\(4s^2(3-4s^2)\)\(=4c^2-3\)
\(s^2=1-c^2\) より
\(4(1-c^2)(-1+4c^2)\)\(=4c^2-3\)
展開して整理すると
\(16c^4-16c^2+1=0\)
\(c^2=\displaystyle\frac{8±\sqrt{48}}{16}\)
\(=\displaystyle\frac{4±2\sqrt{3}}{8}\)
(あとで2重根号になるので、あえて\(2\sqrt{3}\)の形に)
よって
\(c=\displaystyle\frac{\sqrt{4±2\sqrt{3}}}{2\sqrt{2}}\)
ここで
\(\sqrt{4±2\sqrt{3}}\)
\(=\sqrt{(\sqrt{3}±\sqrt{1})^2}\)
\(=\sqrt{3}±1\) (\(>0\))
より
\(c=\displaystyle\frac{\sqrt{6}±\sqrt{2}}{4}\)
また
\(\cos2θ\)
\(=2c^2-1\)
\(=\displaystyle\frac{4±2\sqrt{3}}{4}-1\)
\(=±\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)
\(\cos4θ\)
\(=2\cos^22θ-1\)
\(=2(±\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2})^2-1\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\)
以上になります。お疲れさまでした。
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