三角方程式・不等式(倍角の公式)

倍角の公式を利用した三角方程式・不等式について見ていきます。

 

まずは簡単な例題から。

 

(例題1)次の方程式・不等式を解け。
(1) \(0°<x<360°\) のとき、 \(\cos2x\)\(=3\cos x-2\)
(2) \(0≦θ<2π\) のとき、 \(\cos2θ+2\sinθ\)\(+\displaystyle\frac{1}{2}\)\(≧-\sqrt{3}\)

 

 

(解答)
(1)

右辺が\(\cos x\)なので、1種類の三角関数にするために左辺の\(\cos2x\) を \(\cos x\) で表します。

\(\cos2x\)\(=3\cos x-2\) より

\(2\cos^2x-1\)\(=3\cos x-2\)
よって
\(2\cos^2x-3\cos x+1=0\)
\((2\cos x-1)(\cos x-1)\)\(=0\)
\(\cos x=\displaystyle\frac{1}{2},1\)

\(0°<x<360°\) より \(\cos x=1\) は不適。
したがって
\(\cos x=\displaystyle\frac{1}{2}\) より
\(x=60°,300°\)

 

(2)

(1)と同様です。今度は\(\sin\)に統一します。

\(\cos2θ+2\sinθ\)\(+\displaystyle\frac{1}{2}\)\(≧-\sqrt{3}\)

\((1-2\sin^2θ)+2\sinθ\)\(+\displaystyle\frac{1}{2}\)\(≧-\sqrt{3}\)
両辺2倍して整理すると
\(4\sin^2θ-4\sinθ\)\(-\sqrt{3}(2+\sqrt{3})\)\(≦0\)
\((2\sinθ+\sqrt{3})\)\(\{2\sinθ-(2+\sqrt{3})\}\)\(≦0\)

\(2+\sqrt{3}≒3.73\) なので、\(\{2\sinθ-(2+\sqrt{3})\}\) は負の値です。

\(\{2\sinθ-(2+\sqrt{3})\}\)\(<0\) より

\((2\sinθ+\sqrt{3})≧0\)
\(\sinθ≧-\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)

\(\sinθ=-\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) を解くと
\(θ=\displaystyle\frac{4}{3}π,\displaystyle\frac{5}{3}π\)
よって
\(0≦θ≦\displaystyle\frac{4}{3}π\), \(\displaystyle\frac{5}{3}π≦θ<2π\)

 

 

(例題2)次の方程式・不等式を解け。
(1)\(\sin2x+\sin x+2\cos x+1\)\(=0\) (\(0°≦x≦180°\))
(2)\(\sin2θ-\cosθ>0\) (\(0≦θ≦2π\))
(3)\(\cos x-\cos2x+\cos3x\)\(=1\) (\(0°≦x<360°\)) を満たす\(x\)の値を求めよ。

 

 

(解答)
(1)

1種類の三角関数で表せませんが、\(\sin2x=2\sin x\cos x\) とすれば、うまく因数分解できます。

\(\sin2x+\sin x+2\cos x+1\)\(=0\) より

\(2\sin x\cos x+\sin x\)\(+2\cos x+1\)\(=0\)
\(\sin x(2\cos x+1)\)\(+2\cos x+1\)\(=0\)
\((2\cos x+1)\)\((\sin x+1)\)\(=0\)
よって
\(\cos x=-\displaystyle\frac{1}{2}\), \(\sin x=-1\)
\(0°≦x≦180°\) だから \(\sin x=-1\) は不適。

したがって \(\cos x=-\displaystyle\frac{1}{2}\)  (\(0°≦x≦180°\)) より
\(x=120°\)

 

(2)
\(\sin2θ-\cosθ>0\) より

\(2\sinθ\cosθ-\cosθ\)\(>0\)
\(\cosθ(2\sinθ-1)\)\(>0\)

よって
(ア)\(\cosθ>0\) かつ \(2\sinθ-1>0\)
(イ)\(\cosθ<0\) かつ \(2\sinθ-1<0\)

(ア)のとき
\(\cosθ>0\) より \(0≦θ<\displaystyle\frac{π}{2}\), \(\displaystyle\frac{3}{2}π<θ≦2π\)・・・(1)
\(2\sinθ-1>0\) より \(\sinθ>\displaystyle\frac{1}{2}\) だから
\(\displaystyle\frac{π}{6}<θ<\displaystyle\frac{5}{6}π\)・・・(2)

(1)(2)の共通部分を求めると
\(\displaystyle\frac{π}{6}<θ<\displaystyle\frac{π}{2}\)

(イ)のとき
\(\cosθ<0\) より \(\displaystyle\frac{π}{2}<θ<\displaystyle\frac{3}{2}π\)・・・(3)
\(2\sinθ-1<0\) より \(\sinθ<\displaystyle\frac{1}{2}\) だから
\(0≦θ<\displaystyle\frac{π}{6}\), \(\displaystyle\frac{5}{6}π<θ≦2π\)・・・(4)

(3)(4)の共通部分を求めると
\(\displaystyle\frac{5}{6}π<θ<\displaystyle\frac{3}{2}π\)

(ア)(イ)を合わせたものが解だから
\(\displaystyle\frac{π}{6}<θ<\displaystyle\frac{π}{2}\), \(\displaystyle\frac{5}{6}π<θ<\displaystyle\frac{3}{2}π\)

 

(3)

2倍角,3倍角の公式より \(\cos x\) に統一します。
すると \(\cos x\)の3次方程式になります。

\(\cos x-\cos2x+\cos3x\)\(=1\) より

\(\cos x-(2\cos^2x-1)\)\(+(4\cos^3x-3\cos x)\)\(=1\)
整理して
\(4\cos^3x-2\cos^2x-2\cos x\)\(=0\)

2で割って \(\cos x\) でくくると
\(\cos x(2\cos^2x-\cos x\)\(-1)\)\(=0\)
\(\cos x(2\cos x+1)\)\((\cos x-1)\)\(=0\)

よって
\(\cos x=0,-\displaystyle\frac{1}{2},1\)

\(0°≦x<360°\) だから
\(\cos x=0\) より \(x=90°,270°\)
\(\cos x=-\displaystyle\frac{1}{2}\) より \(x=120°,240°\)
\(\cos x=1\) より \(x=0°\)

したがって
\(x=0°,90°,120°\)\(,240°,270°\)

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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