合成を利用する、三角関数の最大最小値問題について見ていきます。
(例題1)
(1)\(0°≦θ≦50°\) とする。関数 \(f(θ)=\sin3θ+\sqrt{3}\cos3θ\) の最大値とそのときの\(θ\)の値を求めよ。また、\(f(θ)\)の最小値を求めよ。
(2)関数
\(f(x)=6\sin^2x+2\sqrt{3}\sin x\cos x+8\cos^2x\)
(\(0°≦x≦180°\)) の最大値と最小値、およびそのときの\(x\)の値を求めよ。
(解答)
(1)
\(f(θ)\)
\(=\sin3θ+\sqrt{3}\cos3θ\)
\(=2\sin(3θ+60°)\)
\(0°≦θ≦50°\) より
\(60°≦3θ+60°≦210°\) だから
最大値は \(3θ+60°=90°\)
つまり \(θ=10°\) のとき \(2\)
また 最小値は \(3θ+60°=210°\)
つまり \(θ=50°\) のとき \(2\cdot(-\displaystyle\frac{1}{2})=\)\(-1\)
(2)
これは2項目に \(\sin x\cos x\)の形があるためです。
よって別の公式である倍角(半角)の公式を使います。\(\cos^2x\) と\(\sin^2x\) は\(\cos2x\)の式、\(\sin x\cos x\)は\(\sin2x\)の式になるので、全体として\(2x\)の式になり合成が使える形になります。この問題のように\(\sin x\),\(\cos x\)の2次式(1次の項がない)は、\(2x\)の形に変形できます。
\(f(x)\)
\(=6\sin^2x+2\sqrt{3}\sin x\cos x+8\cos^2x\)
\(=6\cdot\displaystyle\frac{1-\cos2x}{2}+\sqrt{3}\sin2x\)\(+8\cdot\displaystyle\frac{1+\cos2x}{2}\)
\(=\sqrt{3}\sin2x+\cos2x+7\)
\(=2\sin(2x+30°)+7\)
ここで
\(0°≦x≦180°\) より
\(30°≦2x+30°≦390°\) だから
最大値 \(2x+30°=90°\)
つまり \(x=30°\) のとき \(f(x)=2+7=\)\(9\)
最小値 \(2x+30°=270°\)
つまり \(x=120°\) のとき \(f(x)=-2+7=\)\(5\)
(例題2)
関数
\(f(x)=a\sin^2x+b\cos^2x+c\sin x\cos x\)
の最大値が\(2\),最小値が\(-1\)となる。このような\(a,b,c\) をすべて求めよ。ただし、\(a\)は整数、\(b,c\)は実数とする。
(解答)
\(f(x)\)
\(=a\sin^2x+b\cos^2x+c\sin x\cos x\)
\(=a\cdot\displaystyle\frac{1-\cos2x}{2}+b\cdot\displaystyle\frac{1+\cos2x}{2}\)\(+\displaystyle\frac{c}{2}\sin2x\)
\(=\displaystyle\frac{c}{2}\sin2x+\displaystyle\frac{b-a}{2}\cos2x\)\(+\displaystyle\frac{a+b}{2}\)・・・①
\(=\sqrt{(\displaystyle\frac{c}{2})^2+(\displaystyle\frac{b-a}{2})^2}\sin(2x+α)\)\(+\displaystyle\frac{a+b}{2}\)
(ただし\(c=0\) かつ \(b-a=0\)を除く)
ここで、 \(c=0\) かつ \(b-a=0\) とすると
①より \(f(x)\)が定数関数となるので条件に合わず不適。
よって以下それ以外について考える。
\(-1≦\sin(2x+α)≦1\) だから、\(f(x)\)の
(最大値)\(=\sqrt{(\displaystyle\frac{c}{2})^2+(\displaystyle\frac{b-a}{2})^2}+\displaystyle\frac{a+b}{2}\)\(=2\)・・・③
(最小値)\(=-\sqrt{(\displaystyle\frac{c}{2})^2+(\displaystyle\frac{b-a}{2})^2}+\displaystyle\frac{a+b}{2}\)\(=-1\)・・・④
③+④ と ③-④ より
\(a+b=1\)・・・⑤
\(\sqrt{c^2+(b-a)^2}=3\)・・・⑥
⑥の両辺は正で \(c^2+(b-a)^2=9\)・・・⑦
⑤より \(b=1-a\) を⑦に代入して
\(c^2+(1-2a)^2=9\)・・・⑧
⑧式の右辺は\(9\)で、\(c^2\)も\((1-2a)^2\)も\(0\)以上なので、ざっくりとですが\(a\)が大きすぎたり小さすぎると左辺が\(9\)を超えてしまうために\(a\)はある程度の範囲内におさまることが分かります。数式表現するなら移項して、\(c^2≧0\) となります。
\(c^2=9-(1-2a)^2\)・・・⑨
\(c\)は実数なので \(c≧0\) だから
\(9-(1-2a)^2≧0\)
\((1-2a)^2≦9\)
\(-3≦1-2a≦3\)
\(-1≦a≦2\)
\(a\)は整数だから
\(a=-1,0,1,2\)
⑤⑨より 対応する\(b,c\)を求めると
\((a,b,c)=\)\((-1,2,0)\),\((0,1,±2\sqrt{2})\),\((1,0,±2\sqrt{2})\),\((2,-1,0)\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
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