剰余類に関する証明問題②(連続する整数の積)

 

→高校数学TOP

 

 

連続する整数の積の性質について見ていきます。

 

 

・連続する整数の積

①連続する2整数の積 \(n(n+1)\) は\(2\)の倍数である。
②連続する3整数の積 \(n(n+1)(n+2)\) は\(6\)の倍数である。
③一般に、連続する\(n\)個の整数の積は\(n!\)の倍数である。
①だと例えば、\(4×5=20\), \(31×32=992\) などで、必ず\(2\)の倍数となります。

①②については、連続する\(k\)個の整数に\(k\)の倍数が含まれるという性質を利用すると、

①連続する2整数には\(2\)の倍数が含まれるので、積が\(2\)の倍数
②連続する3整数には\(2\)の倍数と、\(3\)の倍数が含まれるので、積が\(6\)の倍数

となることがわかります。

 

丁寧に証明するならば、①では余りによる分類を利用して、
(1)\(n=2m\)のとき、(積)\(=2m(2m+1)\) で\(2\)の倍数
(2)\(n=2m+1\)のとき (積)\(=(2m+1)(2m+2)=\)\(2(2m+1)(m+1)\) で\(2\)の倍数
となります。
同様に②も\(n=3m,3m+1,3m+2\) で場合分けすれば証明できます。

 

なお③については最後に解説します。

 

 

(例題1)
整数\(n\)に対して、\(2n^3-3n^2+n\) は\(6\)の倍数であることを示せ。

 

 

 

余りによる分類を使うなら、\(n=6k,6k+1,\)\(・・・,6k+5\) で場合分けですが(これでも解けます)、\(2n^3-3n^2+n\)を因数分解などでうまく連続する3整数の積の形にもっていきます。
(解答)
\(2n^3-3n^2+n\)
\(=n(2n^2-3n+1)\)
\(=n(n-1)(2n-1)\) ←(\(n(n-1)\)が連続する2整数なので、\(2n-1\)を変形します)
\(=n(n-1)\{(n+1)+(n-2)\}\)
\(=(n-1)n(n+1)+(n-2)(n-1)n\)・・・①

 

連続する3整数の積は\(6\)の倍数だから、\(M,N\)を整数として
①\(=6M+6N=6(M+N)\)

 

よって\(6\)の倍数であることが示された。

 

 

(例題2)

\(n\)を\(2\)以上の整数とするとき、\(n^5-n\)が\(30\)で割り切れることを示せ。

 

先ほどと同様に因数分解していきます。
(解答)
\(n^5-n\)
\(=n(n^4-1)\)
\(=n(n^2-1)(n^2+1)\)
\(=(n-1)n(n+1)(n^2+1)\)・・・①

 

連続する3整数の積が表れたので\(6\)の倍数であることは分かります。
あとは\(5\)の倍数であれば\(30\)の倍数であることが示せるので、\(5\)で割った余りで分類してみます。
分類方法は、\(n=5k,5k+1,・・・,5k+4\) ではなく、\(n=5k,5k±1\)\(,5k±2\) で分類してみます。
①より、\((n-1)n(n+1)\)は連続する3整数の積であり、\(6\)の倍数であるので、\(n^5-n\)が\(5\)の倍数であることを示せばよい。

 

(1)\(n=5k\) (\(k\)は整数) のとき
①\(=5k(n-1)(n+1)(n^2+1)\)
\(=5A\) (\(A\)は整数) と表せるので、\(n^5-n\)は\(5\)の倍数となる。

 

(2)\(n=5k±1\) (\(k\)は整数) のとき
\(n=5k+1\) のとき \(n-1=5k\)、
\(n=5k-1\) のとき \(n+1=5k\) なので
①\(=5B\) (\(B\)は整数) と表せ、\(n^5-n\)は\(5\)の倍数となる。

 

(3)\(n=5k±2\) (\(k\)は整数) のとき
\(n^2+1\)
\(=(5k±2)^2+1\)
\(=25k^2±20k+4+1\)
\(=5(5k^2±4k+1)\)
だから
①\(=5C\) (\(C\)は整数) と表せ、\(n^5-n\)は\(5\)の倍数となる。

 

以上より、\(n^5-n\)は\(6\)の倍数かつ\(5\)の倍数なので
\(30\)の倍数である。

 

 

細かいことを言うと、\(n\)が\(2\)以上の整数なので、例えば\(n=5k+1\) では、\(k\)は自然数です。ですが、整数のとき(広いイメージ)に\(5\)の倍数であることを示せているので、整数の一部である自然数(狭いイメージ)でも\(5\)の倍数であることが示せていることになります。

 

 

 

最後に「連続する\(n\)個の整数の積は\(n!\)の倍数である」を証明しておきます。

 

(証明)
まず、\(n\)個の整数がすべて自然数であるときについて示す。
\(m≧n≧1\) について
\({}_m\mathrm{C}_n\)\(=\displaystyle\frac{m(m-1)(m-2)・・・(m-n+1)}{n!}\)

よって

\({}_m\mathrm{C}_n×n!\)\(=m(m-1)(m-2)\)\(・・・(m-n+1)\) ・・・(A)

 

\({}_m\mathrm{C}_n\)は\(m\)個から\(n\)個とる組合せなので整数で、(A)の左辺は\(n!\)の倍数。右辺は連続する\(n\)個の整数の積である。

 

\(n\)個の整数がすべて負の数であるときは、その積の絶対値を考えれば同様に示せる。

また、\(n\)個の整数に\(0\)が含まれている場合は、積は\(0\)だから\(n!\)の倍数。
\(n\)個の整数に負の数と正の数が含まれるときは、\(n\)個のうち、\(0\)が含まれるので積は\(0\)。よって\(n!\)の倍数。

 

以上より、題意は示された。

 

 

\({}_m\mathrm{C}_n\)が整数であることの証明も腑に落ちない方のためにしておきます。証明には、
\({}_m\mathrm{C}_n\)\(={}_{m-1}\mathrm{C}_{n-1}+{}_{m-1}\mathrm{C}_{n}\) (\(1≦n≦m-1\))
の\(m\)を\(m+1\)とした式を利用します。
\(n=0\)の場合もせっかくなので、まとめて示しておきます。

 

(証明)
\(m\)を自然数として、\(0≦n≦m\)で\({}_m\mathrm{C}_n\)が整数であることを数学的帰納法を用いて示す。

 

(ア)\(m=1\)のとき
\(0≦n≦1\) なので、
\(n=0\) のとき \({}_1\mathrm{C}_0=1\)
\(n=1\) のとき \({}_1\mathrm{C}_1=1\)

よって整数。

 

(イ)\(m=k\) のとき \(0≦n≦k\) で、\({}_k\mathrm{C}_n\)が整数であると仮定し、\(m=k+1\) のときを考える。

 

①\(n=0,k+1\) のとき
\({}_{k+1}\mathrm{C}_0=1\)
\({}_{k+1}\mathrm{C}_{k+1}=1\)
よって整数。

 

②\(1≦n≦k\) のとき

\({}_{k+1}\mathrm{C}_n\)\(={}_{k}\mathrm{C}_{n-1}+{}_{k}\mathrm{C}_{n}\) (\(1≦n≦k\))
より、\(0≦n-1≦k-1<k\)だから、仮定から\({}_{k}\mathrm{C}_{n-1}\),\({}_{k}\mathrm{C}_{n}\) は整数。よって、\({}_{k+1}\mathrm{C}_n\)も整数。

 

①②より \(m=k+1\) のときも、\({}_m\mathrm{C}_n\) (\(0≦n≦k+1\)) は整数。

(ア)(イ)より、
\(m\)を自然数として、\(0≦n≦m\)で\({}_m\mathrm{C}_n\)は整数である。

 

 

②の等式が、(\(1≦n≦k\))の範囲でしか使えないので、\(n=0,k+1\)の場合は別途①で考えました。

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

→高校数学TOP next→素数と剰余類 back→剰余類に関する証明問題①

タイトルとURLをコピーしました