合同式の利用②(証明問題)

 

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合同式を利用して、証明問題を解いていきます。

 

 

(例題1)
\(n\)を\(2\)以上の整数とするとき、\(n^5-n\)が\(30\)で割り切れることを示せ。

 

 

\(30=2×3×5\) です。
\(2\),\(3\),\(5\)の倍数であることが示せればよいので、それぞれの\(\mathrm{mod}\) を考えます。
(解答)
(ア)\(\mathrm{mod}\) \(2\) について
(1)\(n≡0\) のとき
\(n^5-n≡0\)
(2)\(n≡1\) のとき
\(n^5-n≡1^5-1≡0\)
よって、\(n^5-n\)は\(2\)の倍数

 

(イ)\(\mathrm{mod}\) \(3\) について
(1)\(n≡0\) のとき
\(n^5-n≡0\)
(2)\(n≡1\) のとき
\(n^5-n≡1^5-1≡0\)
(3)\(n≡2\) のとき
\(n^5-n≡32-2≡30≡0\)
よって、\(n^5-n\)は\(3\)の倍数

 

(ウ)\(\mathrm{mod}\) \(5\) について
(1)\(n≡0\) のとき
\(n^5-n≡0\)
(2)\(n≡1\) のとき
\(n^5-n≡1^5-1≡0\)
(3)\(n≡2\) のとき
\(n^5-n≡32-2≡30≡0\)
(4)\(n≡3\) のとき
\(n^5-n≡243-3≡240≡0\)
(5)\(n≡4\) のとき
\(n^5-n≡1024-4≡1020≡0\)
よって、\(n^5-n\)は\(5\)の倍数

 

以上より、\(n^5-n\)は、\(2\)の倍数 かつ \(3\)の倍数 かつ \(5\)の倍数なので、
\(30\)の倍数である。

 

ちなみにこの問題は、→(2-4)剰余類に関する証明問題② の、例題2と全く同じ問題です。

 

 

 

(例題2)
すべての自然数\(n\)に対して、整数
\(a_{n}=19^{n}+(-1)^{n-1}2^{4n-3}\) \((n=1,2,3・・・)\)
のすべてを割り切る素数を求めよ。

 

 

式が複雑で、割り切る素数の見当がつかないので、とりあえず具体的に\(n=1,2,・・・\)と代入して実験します。素数の見当がついたら(予想できたら)証明します。
(解答)
\(a_1=19+2=21=3×7\)
\(a_2=19^2+(-1)2^5=329=7×47\)
よって、割り切る素数は\(7\)であると推測できる。

 

以下\(\mathrm{mod}\) \(7\)として
\(a_n\)
\(≡(-2)^n+(-1)^{n-1}×2^{4(n-1)+1}\)
\(≡(-2)^n+(-1)^{n-1}×16^{n-1}×2\)
\(≡(-2)^n+(-1)^{n-1}×2^{n-1}×2\)
\(≡(-2)^n-(-1)^{n}×2^{n}\)
\(≡(-2)^n-(-2)^n\)
\(≡0\)
よってすべての\(n\)について、\(a_n\)は\(7\)で割り切れる。
したがって求める素数は\(7\)

 

 

後半部分の、すべての\(n\)について\(a_n\)が\(7\)で割り切れることの証明は、二項定理(数Ⅱ)や数学的帰納法(数B)を利用してもできます。

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

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