因数分解できる不定方程式に関するやや応用的な問題について見ていきます。
(例題1)
\(a,b\)は正の整数とし、\(x,y\)は \(xy+ax+by=0\) を満たす整数とする。
このとき、整数\(x,y\)の組\((x,y)\)がちょうど10組できるような\(a,b\)の中で、積\(ab\)が最小になるような\(ab\)の値を求めよ。
(解答)
与式より
\((x+b)(y+a)=ab\)
\(5=5×1\) なので、正の約数が\(5\)個となる自然数は\(m\)を\(2\)以上の整数として、\(m^4\) で表される。
よって求める最小の数は\(m=2\) のときであり、
\(ab=2^4=\)\(16\)
(例題2)
\(m\)を自然数として、\(x,y\)についての方程式 \(2x^2+5xy-3y^2=m\) を考える。この方程式が自然数の解\(x,y\)をもつような2番目に小さい\(m\)の値と、そのときの解を求めよ。
(解答)
\((2x-y)(x+3y)=m\)
続いて、\(m≧4\)で\(x,y\)が自然数となるものを順番に探すとすると、例えば、\(m=4\) のときは、\(2x-y≧1\), \(x+3y≧4\)より \(2x-y=1\),\(x+3y=4\) となるわけですが、毎回連立方程式を解いて\(x,y\)が自然数となるかを確かめるのは面倒なので、\(2x-y=p\), \(x+3y=q\) として、\(x,y\)についてあらかじめ解いてしまって、あとから\(p,q\)を代入する形にします。
\(x,y,m\)は自然数であることから
\(x+3y≧4\), \(2x-y≧1\) \(m≧4\)
ここで、\(p,q\)を自然数として
\(2x-y=p\)・・・①
\(x+3y=q\)・・・②
とおく。ただし、\(pq=m\), \(p≧1\),\(q≧4\)
①②より
\(x=\displaystyle\frac{3p+q}{7}(>0)\)・・・③
\(y=\displaystyle\frac{-p+2q}{7}\)・・・④
③より\(3p+q\)は\(7\)の倍数となる。
\(m≧4\) で\(p,q\)について調べると
\(m=4\): \(p=1\) ,\(q=4\)
\(m=5\): \(p=1\) ,\(q=5\)
\(m=6\): \(p=1\) ,\(q=6\)
\(m=7\): \(p=1\) ,\(q=7\)
\(m=8\): \(p=1\) ,\(q=8\) or \(p=2\) ,\(q=4\)
\(m=9\): \(p=1\) ,\(q=9\)
\(m=10\): \(p=1\) ,\(q=10\) or \(p=2\) ,\(q=5\)
\(m=11\): \(p=1\) ,\(q=11\)
このうち\(3p+q\)が\(7\)の倍数となるのは
\(m=4,11\) のときで
\(m=4\) のとき \(x=1\)であり、④より\(y=1\) となり、\(x,y\)は自然数。
\(m=11\) のとき \(x=2\)であり、④より\(y=3\) となり、\(x,y\)は自然数。
よって2番目に小さい\(m\)は\(m=11\)
このとき、\(x=2\), \(y=3\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見て頂きありがとうございました。