平方根で表された式が、整数や有理数となる条件に関する問題について見ていきます。
(例題1)
(1)\(\sqrt{126n}\) が自然数となるような、自然数\(n\)で最小のものを求めよ。
(2)\(\sqrt{\displaystyle\frac{275n}{126}}\) が有理数となるような最小の自然数\(n\)を求めよ。
(3)\(\sqrt{c^2+72}\) が整数となるような正の整数\(c\)をすべて求めよ。
(解答)
(1)
素因数分解して、\(2\)乗の形になる最小の\(n\)を求めます。
\(126=3^2×2×7\) より
\(\sqrt{126n}=\sqrt{3^2・2・7n}\)\(=3\sqrt{2\cdot7n}\)
よって整数となる最小の自然数\(n\)は \(n=2×7=\)\(14\)
(2)
\(275=5^2×11\)
\(126=3^2×2×7\) より
\(\sqrt{\displaystyle\frac{275n}{126}}\)\(=\sqrt{\displaystyle\frac{5^2\cdot11n}{3^2\cdot2\cdot 7}}\)\(=\displaystyle\frac{5}{3}\sqrt{\displaystyle\frac{11n}{2 \cdot 7}}\)
よって有理数となる最小の自然数\(n\)は
\(n=11×2×7=\)\(154\)
(3)
不定方程式の形にもちこみます。
最初からルートの中身が(整数)\(^2\)だから、\(c^2+72=k^2\) としてもよいです。
\(\sqrt{c^2+72}=k\) (\(k\)は自然数) とおける。
両辺2乗して
\(c^2+72=k^2\)
\(k^2-c^2=72\)
\((k+c)(k-c)=2^3・3^2\)・・・①
まず、\(k+c\)は正の整数です。よって①より\(k-c\)も正の整数となります。
次に、\(k+c\)と\(k-c\)の大小関係と偶奇を調べます。
\((k+c)-(k-c)=2c>0\) より、\(k+c\)\(>k-c\)で、\(2c\)は偶数なので、偶奇は一致します。①の右辺は偶数なので、\(k+c\)と\(k-c\)はともに奇数となることはありえないので、両方偶数です。これでかなり絞られました。
まず\(k+c\) と \(k-c\) はともに偶数なので、右辺の因数のうち\(2^2\)の分がそれぞれに\(2\)が1個ずつ割り振られます。あと残りの\(2・3^2\) を\(k+c\)\(>k-c\)に注意して割り振ると、考えられる組合せは3通りしかありません。
ここで、\(k+c>0\) だから①より \(k-c>0\)
また、\((k+c)-(k-c)=2c>0\) より、\(k+c\)\(>k-c\)で、\(2c\)は偶数なので、偶奇は一致し、①の右辺は偶数なので、\(k+c\)と\(k-c\)はともに偶数である。
以上のことを踏まえると
(ア)\(k+c=2・2・3^2=36\) \(k-c=2\)
(イ)\(k+c=2・3^2=18\) \(k-c=2・2=4\)
(ウ)\(k+c=2・2・3=12\) \(k-c=2・3=6\)
の場合が考えられるので、それぞれを解くと
(ア)\(k=19\), \(c=17\)
(イ)\(k=11\), \(c=7\)
(ウ)\(k=9\), \(c=3\)
以上より、\(c=3,7,17\)
(例題2)
2次方程式 \(x^2-(m+1)x+2m-3=0\)・・・(A) について考える。
(1)(A)の2つの解がともに整数であるとき、\(m\)は整数であることを示せ。
(2)(A)の2つの解がともに整数であるような\(m\)の値を求めよ。
(解答)
(1)
\(x=\displaystyle\frac{m+1±\sqrt{(m+1)^2-4(2m-3)}}{2}\)・・・①
2解を\(α,β\)とすると
\(α+β=m+1\)
\(α,β\) は整数なので、\(m\)も整数である。
(2)
よって例題1の(3)のように解くことができます。例題1(3)と違って\(m\)の一次の項があるので、\(m\)の2次式を平方完成すると、因数分解の形が見えやすくなります。
(1)より2解が整数のとき、\(m\)も整数。
また、①より整数解をもつとき、平方根内が(整数)\(^2\) となる必要がある。
よって
\((m+1)^2-4(2m-3)=m^2-6m+13=k^2\) (\(k\)は\(0\)以上の整数)
とおける。
\((m-3)^2+4=k^2\) より
\(k^2-(m-3)^2=4\)
\((k+m-3)(k-m+3)=4\)・・・②
ここで
\((k+m-3)-(k-m+3)=2m-6=2(m-3)\) より
\(k+m-3\)と\(k-m+3\)の偶奇は一致し、②よりともに偶数となる。
よって
(ア)\(k+m-3=2\) かつ \(k-m+3=2\)
または
(イ)\(k+m-3=-2\) かつ \(k-m+3=-2\) となり それぞれを解くと
(ア)\(k=2\), \(m=3\) (イ)\(k=-2\),\(m=3\)
\(k≧0\) だから (ア)より\(m=3\)
このとき、①より2解は
\(x=\displaystyle\frac{3+1±\sqrt{4}}{2}\)
\(x=3,1\) となり整数となる。
したがって、\(m=3\)
以上になります。お疲れさまでした。
ここまで見ていただきありがとうございました。