ガウス記号の例題②

 

→高校数学TOP

 

引き続きガウス記号の問題について見ていきます。

 

 

(例題1)
実数\(x\)に対して、\(x\)以下の最大の整数を\([x]\)で表す。次の等式を満たす最大の整数\(a\)を求めよ。
\([\displaystyle\frac{a}{2}]+[\displaystyle\frac{2a}{3}]=a\)

 

 

 

2つの解法を紹介します。

 

(解法1)不等式で範囲を絞る方法

\(x-1<[x]≦x\) を利用して、範囲を絞ってみます。

\(\displaystyle\frac{a}{2}-1<[\displaystyle\frac{a}{2}]≦\displaystyle\frac{a}{2}\)・・・①
\(\displaystyle\frac{2a}{3}-1<[\displaystyle\frac{2a}{3}]≦\displaystyle\frac{2a}{3}\)・・・②

①②より
\(\displaystyle\frac{7a}{6}-2<[\displaystyle\frac{a}{2}]+[\displaystyle\frac{2a}{3}]≦\displaystyle\frac{7a}{6}\)
よって
\(\displaystyle\frac{7a}{6}-2<a≦\displaystyle\frac{7a}{6}\)・・・③

③を解くと
\(0≦a<12\)

 

\(a\)は\(12\)より小さい整数であることが分かったので、あとは\(11\)から順に代入して確かめます。

\(f(a)=[\displaystyle\frac{a}{2}]+[\displaystyle\frac{2a}{3}]\) とおくと

\(f(11)=[\displaystyle\frac{11}{2}]+[\displaystyle\frac{22}{3}]\)\(=5+7=12≠11\)

\(f(10)=[\displaystyle\frac{10}{2}]+[\displaystyle\frac{20}{3}]\)\(=5+6=11≠10\)
\(f(9)=[\displaystyle\frac{9}{2}]+[\displaystyle\frac{18}{3}]\)\(=4+6=10≠9\)
\(f(8)=[\displaystyle\frac{8}{2}]+[\displaystyle\frac{16}{3}]\)\(=4+5=9≠8\)
\(f(7)=[\displaystyle\frac{7}{2}]+[\displaystyle\frac{14}{3}]\)\(=3+4=7=a\)

 

よって最大の整数\(a\)は\(a=7\)

 

 

 

(解法2)余りで分類する方法

\(\displaystyle\frac{a}{2}\)は、\(a\)が偶数のとき整数となり、\(a\)が奇数のとき整数ではないので、偶奇で場合分けすればよさそうです。
同様に、\(\displaystyle\frac{2a}{3}\)は、\(3\)で割った余りで場合分けすればよさそうなので、全体としては\(6\)で割ったときの余りで場合分けしてみます。

\(a=6k+r\) (\(k\)は整数、\(r=0,1,2,3,4,5\)) とおく。

\([\displaystyle\frac{a}{2}]+[\displaystyle\frac{2a}{3}]\)
\(=[\displaystyle\frac{6k+r}{2}]+[\displaystyle\frac{2(6k+r)}{3}]\)
\(=[3k+\displaystyle\frac{r}{2}]+[4k+\displaystyle\frac{2r}{3}]\)・・・(A)

①\(r=0\)のとき
(A)\(=[3k]+[4k]=7k\)
\(7k=a=6k+0\) を満たす\(k\)は\(k=0\) よって、\(a=0\)

②\(r=1\)のとき
(A)\(=[3k+\displaystyle\frac{1}{2}]+[4k+\displaystyle\frac{2}{3}]\)\(=7k\)
\(7k=a=6k+1\) を満たす\(k\)は \(k=1\) よって、\(a=7\)

③\(r=2\) のとき
(A)\(=[3k+\displaystyle\frac{2}{2}]+[4k+\displaystyle\frac{4}{3}]\)\(=7k+2\)
\(7k+2=a=6k+2\) を満たす\(k\)は \(k=0\) よって、\(a=2\)

④\(r=3\) のとき
(A)\(=[3k+\displaystyle\frac{3}{2}]+[4k+\displaystyle\frac{6}{3}]\)\(=7k+3\)
\(7k+3=a=6k+3\) を満たす\(k\)は \(k=0\) よって、\(a=3\)

⑤\(r=4\) のとき
(A)\(=[3k+\displaystyle\frac{4}{2}]+[4k+\displaystyle\frac{8}{3}]\)\(=7k+4\)
\(7k+4=a=6k+4\) を満たす\(k\)は \(k=0\) よって、\(a=4\)

⑥\(r=5\) のとき
(A)\(=[3k+\displaystyle\frac{5}{2}]+[4k+\displaystyle\frac{10}{3}]\)\(=7k+5\)
\(7k+5=a=6k+5\) を満たす\(k\)は \(k=0\) よって、\(a=5\)

 

以上より、\(a=7\) が最大の整数。

 

 

\(a=0,2,3,4,5\) も与えられた方程式の解となることもわかります。

 

 

 

 

 

最後に、ある自然数のある素因数の個数をガウス記号を使って求めてみます。
(→(1-5)素因数分解と階乗 参照)

 

(例)
\(10!\)を素因数分解したときに、\(2\)は何回掛けられているか。

\(10\)までの\(2,2^2,2^3,2^4・・・\)の倍数の個数を数えればよいですが、
例えば\(2^2\)の倍数の個数は、\(10÷4=2.5\) と計算して\(2\)個と求めますね。
つまり割ったときの答えの整数部分だけが必要なので、ガウス記号をとって
(\(2^2\)の倍数の個数)\(=[\displaystyle\frac{10}{2^2}]\)
となります。

 

\(1\)から\(n\)までの中にある\(p\)の倍数の個数
\([\displaystyle\frac{n}{p}]\)(個) である。

 

\(2\)が何回掛けられているかは、次の計算をすればよいことになります。
\([\displaystyle\frac{10}{2}]+[\displaystyle\frac{10}{2^2}]+[\displaystyle\frac{10}{2^3}]+[\displaystyle\frac{10}{2^4}]+・・・\)\(=5+2+1+0+0+0+・・・\)
\(=\)\(8\) (回)

 

 

 

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。
→高校数学TOP next→フェルマーの小定理 back→ガウス記号の例題①

タイトルとURLをコピーしました