整式・方程式と整数②

 

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引き続き、整式・方程式と整数に関する問題について見ていきます。

 

 

(例題)
最高次の係数が\(1\)である、整数係数の\(n\)次方程式
\(x^n+a_{n-1}x^{n-1}+a_{n-2}x^{n-2}\)\(+・・・+a_1x+a_0=0\)
が有理数解\(α\)をもつとき
(1)\(α\)は整数であることを示せ。
(2)\(α\)は定数項\(a_0\)の約数であることを示せ。

 

 

 

(解答)
(1)

\(α=\displaystyle\frac{q}{p}\) (\(p,q\)は互いに素である整数、 \(p>0\))として、\(p=1\)を示します。\(p\)の条件を\(p≠0\)として、\(p=±1\)を示してもよいです。

\(α=\displaystyle\frac{q}{p}\) (\(p,q\)は互いに素である整数、 \(p>0\))とする。

方程式に代入して
\((\displaystyle\frac{q}{p})^n+a_{n-1}(\displaystyle\frac{q}{p})^{n-1}+a_{n-2}(\displaystyle\frac{q}{p})^{n-2}\)\(+・・・+a_1\displaystyle\frac{q}{p}+a_0=0\)

 

分母はらう意味で、両辺を\(p^n\)倍して、\(p\)でくくってもよいですが、今回の解法では\(p^{n-1}\)倍して、\(p\)と\(q\)の分数を1つだけ残しました。

両辺\(p^{n-1}\)倍して、移項すると

\(\displaystyle\frac{q^n}{p}=\)\(-(a_{n-1}q^{n-1}+a_{n-2}pq^{n-2}+・・・\)\(+a_1p^{n-2}q+a_0p^{n-1})\)

右辺は整数なので、左辺も整数。\(p,q\)は互いに素であり、\(p>0\)より
\(p=1\)
よって解\(α\)は整数である。

 

 

(2)
(1)より、解\(α\)は整数であるので、\(α=m\) (\(m\)は整数) とおける。

方程式に代入して
\(m^n+a_{n-1}m^{n-1}+a_{n-2}m^{n-2}\)\(+・・・+a_1m+a_0=0\)

 

\(a_0\)以外は\(m\)でくくれます。最終的に\(m\)が\(a_0\)の約数、つまり\(a_0\)が\(m\)の倍数であることを示せればよいので、\(a_0\)だけを移項します。

\(a_0\)を移項して、\(m\)でくくると
\(m(m^{n-1}+a_{n-1}m^{n-2}\)\(+a_{n-2}m^{n-3}\)\(+・・・+a_1)=-a_0\)

左辺は\(m\)の倍数なので、右辺\(a_0\)も\(m\)の倍数。
よって、\(m\)は\(a_0\)の約数である。

 

 

 

この例題は定理として覚えてしまってもよいです。役に立つときがあります。
定理のポイントは、①最高次の係数が\(1\) ②係数がすべて整数
です。有理数解をもつという条件つきなので、①②が成り立っていても有理数解をもたない場合もあります。(例:\(x^2+4x+2=0\) など)

 

 

 

 

 

 

 

 

以上になります。お疲れ様でした。
ここまで見て頂きありがとうございました。

 

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